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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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魔獣討伐依頼④

魔獣の棲み処もそうだが、この魔獣の縄張り一帯は、大森林ほどではないが、大森林以外の他の場所と比べて少し魔素が多いように思える。


一度魔獣を全て退治しても、また別の魔獣がここを縄張りにするのは、それが理由かもしれないな。



大森林以外の魔獣の生態を、伝聞だけでなく、実態として知れたのは、今回の依頼を受けたことでの大きな収穫だな。



魔獣の棲み処の近くにある林で、頑丈そうな蔦をいくつか採取した。


仕留めた5頭の魔獣を蔦でまとめて縛る。


蔦を身体術で強化して持ち上げ、先に襲ってきた3頭を置いた所に向かう。



3頭も蔦で縛り、強化して、8頭を持ち上げながらコミル村へ向かう。



夜も深くなってきた中で、コミル村が見えてきた。


最初に来たときと変わらず、門を閉めて櫓に見張りを置いているようだ。



俺がコミル村に近づくと、見張りが櫓で鐘を鳴らし始めた。


ふと、自分の姿を省みる。


8頭の魔獣を2つに分けて両肩に持ち上げている。


暗い中で遠目に見たら・・・謎の化物に見えるかな?



「ノバック商会の紹介で来た、アルトだ! 魔獣を退治してきたぞ!」


深夜に大声を上げるのはどうかと思ったが、誤解を早く解く方がいいだろう。


俺が声をかけると鐘の音が止まった。


それほど間を空けずに門が開く。



そのまま真っすぐ通ると魔獣がつっかえそうなので、横向きになって門を通り、門の先の広場になっている所で魔獣を下ろした。


深夜だが、結構な人数が集まっている。


簡易な服装に武器だけ持った者も何人かいる。


急な事態にも対処する意識が村に浸透しているんだろう。



櫓にいた見張り役も下りてここまで来ている。

何人かに小突かれているようだ。


結果は勘違いだが、疑いがあればその対応をする、それほど間違っていないんだが、それはそれとして夜中に叩き起こされた恨みを晴らしているんだろう。

ちょっと報われないな。



見張り役とその周りに、紛らわしい格好で村に近づいて悪かったと詫びる。


「いやいや、やめてくれよ」と見張り役とそれを小突いていた者が、まとめて俺をとりなしてくる。


見張り役を責める雰囲気はなくなったかな。



次期村長がハイテンションで、村長が眠そうにして、俺に近づいてきた。


「全て、退治してくれたのじゃな?」


「ええ。魔獣の縄張り一帯を確認して、他に魔獣がいないことも確かめています」


「ありがとう。本当に、感謝しとるよ」


「いや、本当にありがたいこった! 助かったぜ!」


「礼は、俺を派遣したノバック商会に言ってください」


「それはもちろんじゃ。だが、実際に退治したお主に礼を言わんわけにはいかん」



村長と次期村長以外にも口々に礼を言われた。


夜中だが、テンションが上がって眠くなくなった者が多かったので、有志で軽い宴会をすることになった。


酒や肴が集まり、少しの間賑やかな時間を過ごして、俺が疲れているだろうと気を遣われて解散となった。




次の日の昼が近い午前中に、俺は出立することにした。


村長からノバック商会へ、経緯や感謝を述べる手紙と、村で貯蔵されていた薬草や鉱物資源も受け取った。


昨日、魔獣を抱えて持ってきたことから、荷物もそれなりに持てるだろうということで、結構な量を受け取ることになった。



村長と次期村長に、盗賊のことと、それに対応するための常駐の戦力について、ノバック商会と相談することを約束し、村を出た。


来た時と違って、多くの者が手を振って見送ってくれた。



ノバック商会の依頼にも、コミル村の希望にも、十分に応えられただろう。


今回の成果に満足しながら、王都への帰途についた。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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