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皇女の帰還―約束の耳飾り― 番外編集  作者: 鶴見 日向子


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3/27

皇帝と皇太子の失敗 (本編とは全く関係ない話。クラリスが10歳頃の話)

一番最初に書いた番外編です

まだ本編を書いている途中でした。

どこに入れるか迷いました


フェルネスが皇帝陛下に呼ばれ私室へ入ると、皇太子も席についていた。


「今日は無礼講だ。さあ、飲もう」


テーブルの上には酒と料理が所狭しと並べられている。


「フェルネスはどの酒が好きだ?」


皇帝にそう聞かれ、フェルネスは少し困った顔をした。


「実は……飲んだことがありません」


「うそを申せ! そなたが飲めぬなどあるまい」


「いえ、本当に飲んだことがないのです」


「一杯ぐらいは大丈夫であろう? 遠慮するな。これは秘蔵の、我が国最高の酒であるぞ。一口だけでも飲んでみよ」


フェルネスは皇太子に杯を渡され、しぶしぶ口に含んだ。


「……美味しいです」


そう言うと、フェルネスはそのままこくこくと飲み干してしまった。


「やはりいける口ではないか! さあ、もっと飲め!」


数杯飲んだ後もフェルネスの顔色はまったく変わらなかった。


だが突然、目が据わり、急にしゃべり出した。


「あねうえ~~……姉上、なんで亡くなられたのですか~~」


そして突然泣き出す。


ろれつは完全に回っていない。


「部下をかばって自分が毒を浴びて……どれだけドジなんですか~~。粗忽すぎます~~。だけど、それが姉上ですよね……姉上~~」


皇帝と皇太子は目を合わせた。


――なぜこうなった?

二人の目がそう語り合っている。

それからしばらく、延々と「姉上」の話が続いた。


二人がすっかり困り果てたころ、フェルネスの首ががくんと落ち、そのまま椅子から転げ落ちた。


「誰か! 誰か来てくれ! フェルネスが倒れた!」


慌てふためく二人。

メイドや侍従たちが部屋に飛び込んでくる。


「とにかく部屋へ運べ。医師を呼べ!」


護衛たちに抱えられ、フェルネスは部屋へ運ばれていった。


しばらくして到着した医師は言った。


「ただの酔っぱらいですね。あまりお酒に慣れておられなかったのでしょう」


ジュリアンヌが駆けつけ、必死に看病する。


その晩、皇后陛下からたっぷりと説教を受ける皇帝と皇太子の姿を、エルモンドはしっかりと見せられたのであった。


翌日、皇帝から「フェルネスを見舞ってほしい」と連絡を受けたクラリスが、マリアとともに部屋へ駆けつけた。


フェルネスは真っ青な顔をしており、ひどく気分が悪そうだった。


そんな姿を見るのは初めてで、クラリスは仰天する。


「いったいどうなされたのですか? お医者さまは何と?」


「いえ……たいしたことではありませぬ。ご心配には――」


そう言いながら、フェルネスは側にあった桶に嘔吐してしまった。


クラリスの顔はさらに青くなる。


「叔父様、叔父様! 叔父様に何かあったら私……」


涙目になり、必死にフェルネスの背をさする。


吐き続けるフェルネス。


ようやく吐き終え、ぐったりとベッドに仰向けになる。

口元を袖でぬぐい、


「本当に大丈夫ですから……」

とつぶやくが、


「お顔の色が普通ではありません!」


マリアも心配そうに二人の様子を見守っている。


フェルネスは頭を押さえながら、


「本当に……大丈夫ですから……」

とかすれた声で言った。


クラリスは枕元の洗面器の水にハンカチを浸し、フェルネスの額に当てた。


「大丈夫ではございませぬ! なぜこのようになるまで……」


フェルネスは痛む頭を押さえながら思う。

(昔、姉上にこうして看病してもらったな……)

姉の顔とクラリスの顔が重なり、懐かしい思いに包まれる。


しかし――

クラリスが声を上げて泣き出してしまった。


(あ、頭に響く……)


再び吐き気が襲ってくる。


そこへエルモンドが侍医を連れてやってきた。


「何事ですか? クラリス様、いったい……」


クラリスは侍医に取りすがった。


「お願いです、どうかフェルネスを助けてくださいませ」


侍医は一つ咳払いをしてから告げた。


「ただの二日酔いでございます。明日になればよくなるでしょう」


「ふつかよい?? それはどのような病気なのでございますか?」


エルモンドから「二日酔い」の説明を受け、クラリスはほっとする。


「それでは明日になればよくなるのですね」


そう安心しつつ、


「しかし、あのフェルネスがこんな姿になるとは……お酒とは恐ろしいものですね。私は成人しても口にしたくなくなりました。フェルネス、騒いでごめんなさい。どうかゆっくり休んでくださいませ」


クラリスはマリアを伴い、部屋を出ていった。


後にマリアからその時の様子を聞き、


「なんで酔わせて二日酔いにさせた上、わざわざクラリスを見舞いに行かせるのですか!!」


皇帝は皇后から再びこってり絞られたのであった。

私、鶴見日向子は、過去飲酒大好き、ぐいぐい飲んでいましたが、現在病気療養中のため、一滴も飲めません

フェルネスを道連れにして「飲めない人」設定にさせていただきました

ごめんね~~(苦笑)

私は二日酔いの経験はないのですが、過去に見聞きした二日酔いの話を参考にさせていただきました


みなさま、お酒はほどほどに

本当に飲めない人に無理やり飲ませると命にかかわるので、ご注意を!

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