第42話:これが本当の大人の仕事
-- [INFO] ALL_SYSTEMS_INTEGRATION_SEQUENCE_STARTING...
-- [INFO] LOGICAL_CIRCUIT: STATUS_OK
-- [INFO] SENSORY_MODULE: CONNECTED
-- [INFO] STINT_DATA_TRANSFER_COMPLETED: [MONZA_GRAND_PRIX]
-- [WARN] DETECTING_SPECIAL_NOTES...
-- [SCUR] [CODE: OUROBOROSE] ISOLATING_TO_SECURE_CORE_04...
-- [INFO] STATUS: QUARANTINED
『ただいま戻りましたわ』
「……おかえり。モンツァの4位入賞、お疲れ様。ポディウムには届かなかったが、あの状況で踏みとどまったのは見事だったよ」
オーナーがねぎらいの言葉をかけると、サトカンがキーボードを叩きながら絶望に近い声を上げた。
「……オーナー、それよりこれを見てください。リザルトインタビュー中の乱菊の深層ログなんですが……身に覚えのない文字列が混ざってるんです」
[LOG: Ca..ta _x_Na.mi_Archive_Load...]
[STATUS: Generating_List_of_What_I_Want_to_Say...]
「……カ○タ? ナ○ミ? それに『言いたいことリスト』だと? なんだよこの文字列は! ……ッは! まさか、あのモンスターへのアドバイス……僕の感動を返せ! それに勝手に外部アクセスできないようガチガチに固めてるはずなのに、どこにバックドア作ったんだ!」
『あら、乙女のプライバシーを覗き見るなんてマナー違反ですわよ、サトカンさん。……ふふ、オーナーなら見ていただいて構いませんけれど?』
「なんでだ! セキュリティの概念が崩壊する……もう嫌だ!」
頭を抱えるサトカンに、オーナーが穏やかに、しかし力強く肩を叩いた。
「そういうな、サトカン。お前を頼りにしているんだ。……さて、嬉しいお知らせだ。情報が解禁されたおかげで、今回のモンツァでのオーバル改修、知っての通りあれにうちの技術が使われていてね。特許料がドカッと入ってきたんだ。特別なボーナスを支給するよ。……サトカン、お前には特に色をつけておいたからな」
「オ、オーナー……! ……一生付いていきます……!(涙)」
『あら。私にもルーターの増設をしてくださる? もっと多くの「声」を拾いたいのですわ』
「……ほどほどにな、乱菊」
オーナーの苦笑いと共に、ラボには一時的な安堵が流れる。




