第39話 ポメ太郎やる気満々ー容疑者候補との対峙回(参)ー
「おい……」
俺の腕の中にいるポメ太郎が突然低い声を出した。
「ん、なんだい?」
「貴様、八尾雀姫様のことを知っているか」
「やおの……ふむ」
雨木和豊はやや考えるような素振りを見せてから「ああ~」と何か思い出したような声を上げた。
「アレなら、うちのご主人様が連れて行ったよ」
「な、なに!?」
「雀の女神様でしょう、今頃一体どうなってるかなぁ」
雨木はおどけたように首を傾げて笑う。
「あの方はグルメだからね、あの女神様は最上の贄になるだろうよ」
え、なんだよ……それってつまり雨木のご主人様とか言う奴が、ポメ太郎の主人の神様を攫ったうえに、食べちゃってるかもしれないってことなのかよ!?
俺が衝撃で固まっていると、益々上機嫌の雨木はクスクスと歌うよう告げる。
「ふふふ、残念だったね神獣くん、もうきっと手遅れだよ。そもそも君たちはここで終わりだろうしね~!!」
「……まれ」
そんな中、ポメ太郎が呟くように言った。
「ん?」
「黙れっっ!!」
今度の声は激しく吠えるように鋭い。それを聞いてすぐに分かった。……あ、コイツ完全にキレてやがる。まぁ気持ちは分かるけども。
「貴様などの戯言にコレ以上付き合ってやる気はない!!そして八尾姫様のご無事はコチラで勝手に確かめる……!!」
そう言い切ったポメ太郎はブルンっと身体を震わせ、俺の腕から飛び降りると堂々と雨木と対峙した。
「おい、シキヒト!!」
「お、おう……」
「やるぞ、準備しろ!!」
ヒシヒシと殺気を滲ませながら雨木を威嚇するポメ太郎を見て、状況が状況なのに俺はただこんなことを考えていた。
…………コイツ、俺の名前ちゃんと覚えてたのか。




