第38話 ポメ太郎転移させられるー容疑者候補との対峙回(弐)ー
くっ……さっきと周りの風景が全く違う、強制転移させられたか!? 俺の目に映ったのは、何やら気味が悪いまだら模様の壁に囲われた空間。壁とは言っても真っすぐではなく、妙にデコボコしていて天井は高いのか、そういう特殊な存在なのか見えない。
「ポメ太郎、無事か!?」
「あ、ああ……」
腕の中にいるポメ太郎も今のところは何ともなさそうだ。
しかし無理矢理に転移させられた以上、ここは相手に有利な場所なはず。すぐに状況を把握して、体勢の立て直しを……って、うわぁ!?
目の前にまるで壁のような黒い靄が現れて、俺は咄嗟にそれを散らせる霊力を集めてぶつける。荒い仕事だったものの、その靄はこちらの霊力に押し負けて無事に霧散した。
いや、今の俺を飲み込めそうな程の大きさがあったぞ!? こわっ!!
俺が急に現れた黒靄へ静かにビビっていると、パチパチと乾いた音が耳に届く。
「いやはや、実に見事だ。さっきよりもちゃんと作ったそれも簡単に消せるなんて」
声の方を見ると他でもない、俺たちをこの空間に引きずり込んだ元凶である雨木和豊が笑顔で拍手をしていたのだった。
「アンタ、一体どういうつもりだ……」
「どうとは?」
「こんな場所に連れてきて、何をするつもりかって聞いてるんだよ」
「ああ、なるほど」
得心がいった様子の雨木は、ニヤリと笑ってこう答えた。
「何、君たちには僕の養分になってもらおうと思ってね」
「は?養分だと」
「簡単な話だよ、生物における捕食……つまり殺して取り込むんだ、ここはさながら僕の消化器官なのさ」
なにそれつまり、俺たちはこの激ヤバ男の胃の中に転移させられたのと同義ってことか!?
「ふふ、君もその神獣くんも質も生きも良いからね。良い養分になるよ」
なんだよそれ、最悪だよー!!




