第37話 ポメ太郎要求されるー容疑者候補との対峙回(壱)ー
「いやー、急いでたのは、うちの犬が騒がないか心配だっただけで……」
「白を切る必要はないよ、大体全部分かっているから」
「……」
俺が言葉に詰まっていると雨木和豊は、ポメ太郎を指さしながら笑顔を浮かべた。
「その神獣くんさぁ、僕にくれないかい」
「……は?」
え、いまコイツ、なんて言った。
「半端者とは言え、神域の神獣だ。利用価値は幾らでもある」
その言葉を聞いて俺は確信した。コイツはきっとポメ太の一件に何かしら関わっている!!
「…………アンタはどこまで知っているんだ」
「さぁね」
雨木はクスクスと笑いながら首を振る。
うわぁ、ムカつく。しかし、何か知っているのであればどうにかして情報を引き出さないと……あ、いや、待て、腕に抱えているポメ太郎がまた小刻みに震えて!?
「お、お、おのれぇ!!さっきから黙って聞いてれば好き勝手言いおってからにっっ!!」
ああああ、やっぱりブチぎれてたぁああああ!!
「第一に我はこの小童の所有物ではない!!第二にさっきは良くも好き勝手やってくれたな、絶対に許さん、ただちに噛み殺してやるぅぅうう!!」
「やめろぉおお!!ポメ太郎落ちつけぇ!!どうどう」
「これが落ち着けるかぁ、グルルルルぐわぁあああ!!」
今すぐにでも飛びかかっていきそうなポメ太郎を懸命に抑えていると「あはははは!!」という大爆笑が、俺の耳に届いた。
ポメ太郎の方もそれに驚いたのか、ピタリと動きを止めた。
「ああ、面白いなぁ……神獣モドキの頭がそんなに悪かったとは予想外だった」
「も、モドキって……」
今の言葉はポメ太郎も流石に予想外だったのか、まだポカンとしている。
「オマケに一緒にいるガキも想像以上にショボくて、ある意味ビックリだよ」
なんか俺のこともサラって貶されたんだが!?
「あーあー、これなら警戒して回りくどいことをする必要もないか」
一通り笑って満足したらしい雨木は、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて腕を振り上げた。
「ここからは力づくで行かせて貰うよ、その方が早そうだしね」
あ、ヤバい、仕掛けてくる……!
そう思うや否や、俺とポメ太郎は雨木から広がる黒い膜に包まれてしまったのだった。




