第36話 ポメ太郎荒れ狂うー犯人捜索回(玖)ー
なんやかんやあったけど、どう見ても怪しい雨木はその場では何もして来なかったし、撮影も終わってポメ太郎も取り返した!!
——……はぁ、何も起こらんとはつまらんなぁ
いやいや、冗談じゃないですよ!?流石にこのまま逃げますからね……!!
今俺がいるのはテレビ局の廊下。ポメ太郎を受け取り、抱きかかえて小走りで逃走中。
とにかくアレに関わるのはまずい、場所を移して作戦の練り直しだ!!
「……う、う」
今まで静かだったポメ太郎がようやく元気を取り戻したのか、フルフルと震えている。
ん、いや、待てよ、これは……。
「なんだアイツは許さん!!噛み殺してやるぅ!!」
やっぱりブチぎれてたぁ!?
ぎゃんぎゃんと吠えまくるポメ太郎は、俺の腕の中で手足をばたつかせ暴れ狂っている。
「あ、あぶねぇ!!」
「そもそも何が悪霊に憑かれてるだぁ!?この神獣たる自分がっ!!」
「落ちるから、落ちるからやめろ!!」
「悪霊程度にどうこうされるものかぁ!!!!愚弄するのも大概にしろぉぉ!!!!」
「そもそも喋るなぁ!!誰かに聞かれたらどうするつもりだ……痛っ!!」
ああああ、ポメ太郎が暴れまわるせいで、爪で腕に傷が!!
——もう放したらいいのではないか?
そうしたらコイツ絶対、雨木のこと探しに生きますよ!?ダメに決まってるでしょ!!
「おやおや」
そう聞こえてきた声の方に意識を向けると、丁度俺が向かっている曲がり角の方から誰かが出てくる。
「神獣くんは随分とご立腹のようだね」
そこに居たのは先程、俺が足早に立ち去ったスタジオに残してきたはずの雨木和豊だった。……は?
「しかし随分慌ててスタジオを出てきたようだけど、何か心配事でもあったのかい?」
「…………」
待ってくれよ、この状況は……。
——逃げようとしていた相手に回り込まれたようだな
ですよね!!ちくしょう!!というか師匠、如何にも楽しそうな声でいいますね!?
——はは、気のせいだろう~
絶対に気のせいではない!!ああ、最悪だ……。




