第33話 ポメ太郎堪える ー犯人捜索回(陸)ー
師匠の言葉を相手にしている余裕がないほど、俺はハラハラしていた。
なぜなら雨木和豊が目の前までやってきて、ポメ太郎をじっと見つめて来ているからだ。
「やっぱりそうか……」
な、何なんだよ……。
「その子さ」
雨木はおもむろにポメ太郎を指さす。
「悪霊に憑かれているよ」
「は?」
——ぷははは!!
呆気に取られる俺をよそに、師匠の大爆笑が俺の頭の中に響いた。
う、うるせぇ……。
「いや、信じられないのは分かるよ。でも間違いないんだ」
絶対に間違っていると思いますけども。
いや、待て、こんなことを言うとポメ太郎が……あ、案の定ぷるぷる震えてブチ切れる寸前だ。ここでキャンキャン吠えたてながら喋ったりされたマズい!!
俺は慌ててポメ太郎の耳元に顔を寄せ、小声で声を掛ける。
「ポメ太郎分かってるよな……ここで暴れたらヤバいことくらい」
「っっ!!」
ポメ太郎は低い唸り声を上げたものの、どうにか怒りを堪えてくれたようで吠えたりはしなかった。
どうにか抑えたけど、まだまだ油断できねぇぞ……。
「だからさ」
あ、なんか知らんけど雨木がまだ話を続けている。正直、これ以上余計なことを言わないで欲しいんだけども!
「君の犬を除霊させてくれないかい」
だから除霊する霊なんていないんですって。確かにポメ太郎自体が悪霊的に性悪ではあるけども。
「いや、結構で……」
「そして折角だから、その子も番組の撮影に参加すればいいと思うんだよ」
「……は」
「絶対に面白いものが見れると思うんだよね~」
いやいやいや、本当に何を言ってるのこの人は!?というかまずは人の話を聞けって!!
「あのスミマセン、だから……」
「いやー、良い提案ですねー!!和豊さん!!」
今度は雨木ではなく、後ろからそんな声が聞こえて俺は間髪入れず振り返る。
そこには如何にもな、テレビ局の偉い人っぽい人物の姿があった。
「それ採用、是非実際に除霊してみせてよ」
「ありがとうございます、山場プロデューサー」
プロデューサーって……。
——確か番組制作とかでは一番偉い人間ではないか?
はぁ!?勘弁してくれよー!!




