第31話 ポメ太郎露見する ー犯人捜索回(肆)ー
テレビで見てた時は感じなかったのに、ソイツはそこにいるだけで物凄い違和感がある。例えるならば騙し絵を見ていて、平面と分かっているのに立体に見える時のような、実像は違うと分かっているのに錯視を起こしていて、違う風に見えている時のような……。
——何かを間に挟めば、事実を偽りやすいからな。実際に目で見た方が真実を掴みやすいものだ
それでは今の違和感の方が正しいと?
——だから、そこ含めて自分で判断してみろ
中々に無茶を言いますね。
——普通に出来ることをさせても、意味なんてないからな
はぁ、そうですか……では改めて肝心の 雨木和豊を観察してみるか。
俺が今感じている違和感は一旦置いておくとして、薄紫色の腰まである長髪と、イマイチ性別が分からない中性的な容姿が、特徴的だよな。
神々しいとか神秘的だというファンもいるらしいが、自分からするとなんか印象が薄めなんだよな……先程の錯視の例えのように、髪色といい一見特徴的で目を引くのに、そうでなく感じるわけだ。
むしろ俺にとってアレは……。
そんなことを考えつつ雨木を見ていたところ、随分と離れているのに一瞬だけ目が合ったような気がした。あくまでも離れているので気がしただけだ。だが何故か、それからやや遅れてゾワッと寒気が走った。
え、もしかして今、何かされ……。
「え、この子って出演予定のタレント犬じゃないんですか!?」
背後からそんな大声が聞こえて、俺は考えるのを中断して思わず振り返る。
するとそこには先程見失った、ふわふわで首に紅白縄を巻いた犬の姿があった。相変わらず、あのアイドルに抱きかかえられているが……。
「じゃあこの犬はなんなんですか?」
「いや、それは聞きたいのはこっちなんだけど」
どうやらポメ太郎が、彼らには何の関係のない犬ということが露見して揉めているらしい。俺からすれば、そりゃそうだろうという話だが。
いや、待てよ、この状況はちょっとマズいのでは……だって俺、あれを回収しなきゃいけないんだぞ?
——はは、頑張れよ
あぁああああ、ポメ太郎てめぇ!!




