第29話 ポメ太郎は意外性の塊 ー犯人捜索回(弐)ー
男性の後をしばらく歩いていると、ざわざわと人の声が聞こえてくる。
「あれは……」
「ほら、着いたぞ。もうはぐれるなよ」
そう言って男は俺の方を一瞥し、つかつかと歩き去ってしまった。
立ち去るのはやっ!!
——うむ、せわしい奴よ
いや、そんなことよりもこれは……。
俺は改めて目の前にいる集団に目を向ける。そこには制服を身に着けた、どう見ても俺と同年代の集団が居てペチャクチャをお喋りをしている。
もしかして俺は、この集団からはぐれたと思われていたのか?
——まぁ客観的に見て、そうだろうな
いやいや、よく見て下さいよ!!制服のデザインとか全然違いますよ!?
——そんなの気にしてみない限りは気づかんだろうが、制服を着た学生なんて、どれも大体同じだ
認識が雑ぅ!!
と、いつまでもここにいる訳には行かない。あまり長居すると仲間ではないとバレてしまう可能性が高いし。
——案外堂々としてればバレないかもしれないぞ?
それでバレたらどうするんですか!!
——お前の無様を楽しく鑑賞する
ええ、師匠はそういう人でしたねぇ!!とにかくもう行きますからね、光る縁の糸 (一般人からは不可視)が向こうに続いていますので。
——なんと残念
頭の中に聞こえるそんな声を無視して、俺は糸の続く方へと歩き出そうとしたが……。
「「「きゃぁあああああ」」」
突然辺りに響いた悲鳴に思わず足を止めた。な、なんだ、何か化け物でも出たのか!?
「あれってアイドルグループのアイちゃんだよね!!」
「凄い、ホントにいるんだ」
「当たり前じゃん、テレビ局なんだからさ!!」
かなりうるさく色々な声が聞こえたが、聞き取れたのはこの辺りの会話くらいだった。
……アイドルにテレビ局?は、テレビ局!?
「しかもなんかふわふわの白い犬を抱きかかえてるよ、可愛い~」
「首に巻いているのはなんだろう……なんか神社とかの縄っぽいような」
「やっぱりあの犬もテレビに出るのかな?」
そうして俺の考えがまとまらない内に、また聞き捨てならない内容が色々と聞こえてきた。
いや、違うよな、同じ特徴の犬をメチャクチャ知ってるけども……そんなことが、あるはず……はずが……。
嫌な予感を抱えながら俺もチラリとそちらを見る。
ド、ドッドンー!!
そんな効果音が付きそうなほど堂々と。どう見てもポメ太郎にしか見えない犬が、件のアイドルに抱きかかえられている姿が、俺の目に飛び込んできた。
「……」
——うむ、間違いなくあの犬っころだな
ポメ太郎てめぇええええ!!




