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キジン師匠の裏祓い+α  作者: 朝霧 陽月
第2章 救って巣くう人でなし編

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第22話 八尾姫と初めての会話【ポメ太郎視点】 ー過去回想編(弐)ー

「まぁ大変、このワンちゃん随分と調子が悪そうだわ……近くに飼い主は居なさそうだし、連れて帰って面倒を見てあげようかしら?そうね、そうしましょう」


 八尾姫様はうんうん頷くと、意識を保つのもやっとな自分を抱き上げて下さったのです。


「ええ、寒かったわね、辛かったわね、もう安心して大丈夫よ私が助けてあげるから」


 そんな優しい声を掛けられながら、背中を撫でられると、今までの緊張の糸が途切れたのか自分はたちまち意識を失いました。



 ***



 そうして目を覚ますと、今まで見たことないような美しい建物の中で柔らかく清潔な布団と毛布にくるまれておりました。


「……くぅん?」

「あらあら、目が覚めたのねー」


 部屋に入ってきたのは美しく神々しく、また優し気な雰囲気の女性であった。栗色の長い髪の毛は光り輝くようで、纏った淡い橙色の着物と合わさって、とても温かい雰囲気だった。何より目を引いたのは、髪の色と同じ栗色の長く美しい八つの尾で、八尾姫様の動きに合わして微かに動くそれから目を離せなくなった。


「調子はどうー?」


 目の前までやってきた八尾姫様は、なんとわざわざコチラに目線を合わせてそう問いかけて下さいました。


「んー」


 しかし当時の愚鈍な自分は、訳も分からず辺りの様子をうかがうばかりで、ロクに姫様に答えぬ。それでもお優しい姫様は、優しく自分を撫でながら更にこう続けます。


「そうだ、足が悪かったみたいだから治しておいてあげたわよ。本当は現世を生きてる子にこういうことをしちゃダメなんだけど……秘密ね?」


 なんとなんと姫様は、自分のことをお救いして下さっただけではなく。オマケに病気で上手く動かなかった足を治して下さっていたのです!!これを慈悲深いと言わずして、何を言うのか。


「くくぅーん」


 しかししかし当時の愚かすぎる自分は、またしても何も理解できず、ただ首を傾げました。ハッキリ言ってクズです。


「そうよねー、分からないわよね……ごめんなさい、少しだけアナタに何があったか視せて貰うわね」


 そうして千里眼らしきものを使うために、私の頭に手を置きながら姫様はしばし目を閉じると、しばらくして「ふぅー」と息をつきました。


「そう……アナタには帰る場所がないのね」

「?」

「ならうちの子になる?そうしたら、ずっとここに居ても良いわよ」


 驚嘆に値するほど慈悲深い姫様のお言葉ですが、やはり愚かな自分は首を傾げます。ああ、思い返すと段々腹が立ってくる……!!


「そうね、ご飯を沢山食べれるし理不尽な思いをしなくて済むわよ?」

「わん!!」


 ご飯、その単語だけに反応して、愚かな過去の自分は元気よく吠えました。


「ふふ、それでは決まりね」


 そうして心優しい八尾姫様は、愚かで哀れな子犬を向かい入れて下さったのでした。

【余談】描写では省いているけど、八尾姫の着てる着物柄のイメージは牡丹です。

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