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キジン師匠の裏祓い+α  作者: 朝霧 陽月
第2章 救って巣くう人でなし編

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第21話 八尾姫との出会い【ポメ太郎視点】 ー過去回想編(壱)ー

 十年前のあの日、自分は普通の子犬だった。


「ねえ、子犬中でコイツだけずっと歩くときにフラフラしてるんだけど」

「げ、絶対に何かしらの病気持ちじゃん」


 しかも生まれつきの病を患っていたらしい。


「どうするの?」

「捨てるに決まってるんだろ。こんなの売り物にならないハズレだ」

「やっぱそうだよねー」

「もっとテキトーに隠して売れるようなものならよかったんだけどな」


 奴らは酷い人間で、子犬を売りさばくことで生計を立てていたらしいが、犬を飼育している環境はけっして良いものではなかった。それでも売り物にしようとしている子犬の扱いはまだマシな方で、自分のように売り物にならないと判断された犬は食事も与えられず、ある日突然、見知らぬ山奥に捨てられてしまったのだ。


「……くぅーん」


 元々、食事も与えられてない自分はかなり弱っており満足に動ける状態ではなかった。しかし一緒に捨てられた仲間の子犬たちは、それこそ瀕死で声を出すことすら出来ずにいる。

 このままここに居ては危険だと本能的に感じた自分は、重い身体をなんとか動かし、真っ暗な山中をあてもなく歩いた。


 どれほどの時間が流れただろうか。流石に体力も尽き、これ以上動けなくなった自分は、ぐったりと地面に倒れ伏した。もはや声も出すことも出来ず、ただ死を待つのみだと思ったその時……!!


「あら……あら、あら——」


 優しく、だか存在感のある声が耳に届いた。

 どうにか最後の力を振り絞り、目だけを開いてそちらを見る。


「こんなところに小さくて可愛らしいワンちゃんが、一体どうしたのかしら?」


 暗闇に包まれた山中には不自然な和装の若い女性、しかもその暗さに関わらずその人の姿だけが妙にハッキリと見える。

 それこそが我が主、八尾雀姫(やおのすずめびめ)様と初めて対面した瞬間だった。


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