第20話 ポメ太郎の心は狭め ー主人公バディ異変調査回(参)ー
「はぁはぁはぁ……」
なんで俺がこんな目に……。
ポメ太郎は吠えた、メチャクチャ吠えた。オマケに食って掛かってきたのだ、物理的に。そのお陰で俺は噛みつきを躱すのに大変苦労して、今まさに息を切らし疲労困憊で床に座り込んでいた。
「とにかく!!八尾雀姫様をもう二度と悪く言うなよ!?」
そんな俺とは対照的にポメ太郎はあまり疲れていなさそうだった。
くそっ、この犬っころが、所詮は畜生か……。というか雀を鳥扱いするのって、そんなに悪いことなのか?
——正直、自分も雀は鳥だと思っているぞ
「…………以前、師匠も雀は鳥だと言ってたぞ」
「!!」
——立場が上の他人を引き合いに出すとは、セコいな
こういうのは言い負かすことが出来ればいいんですよ!!
「……八尾姫様は、その辺の雀とは違うのだ」
「へぇ」
「いいか、良く聞け!!」
師匠を引き合いに出した為、理不尽にキレることが出来なくなったらしいポメ太郎は、今度は言葉で自分の主人の凄さをアピールしたいらしい。いや、それが出来るなら最初からそうしろよ!!
——まぁ、所詮は犬だからな
おい、師匠からも犬扱いされているぞポメ太郎……!!
「我が主、八尾雀姫様はその名の通り八つの尾を持つ雀の神獣が、神格を得た存在である」
「ふーん、そういうポメ太郎は神獣じゃないのか」
「違う、見ればわかるだろう!!」
「いや、分からないが……」
「神獣はもっと見るからに神々しい」
え……そうなのか?
——思いっきり、主観だぞ
おいおい、この犬大丈夫か?
——それは知らん
「あくまで自分はただの神使である」
「ああ、師匠に言われてた半人前の見習いってやつな」
それを言った瞬間ポメ太郎は「黙れ」と言いつつ、ぐるぐると軽く唸った。
あ、これ以上煽るとまた噛みつかれそうだな、やめておこう。
「ふん……いいか八尾姫様は、それはそれは美しく心優しい女神である」
「逆にポメ太郎の心は狭くて優しくもないけどな」
「グルル噛むぞ」
「……」
——そんなしきりに煽ると話が進まないぞ?
今までのことがムカついて、ついうっかり……。
「それで八尾姫様の長く神々しい八つの尾羽は、美しい栗色に輝いており、その髪の毛も同様の色で大変美しくあらせられる」
髪の毛って……もしかしてその神様って、人間に近い姿をしている感じなのだろうか。
——神が人間と近い姿をしているのは割とある話だ、勿論全てではないがな。八尾雀姫の場合は全体が人型寄りで、そこに雀の尾だけ生えたような姿をしているようだな
へぇ……。
「そんな八尾姫様との出会いは、今から十年前まで遡る」
なんかいつの間にか、ポメ太郎の話が十年前まで遡ろうとしているんだけど!?コイツまさか、わざわざ自分との出会いを語ろうとしているのか……というか、十年前ってポメ太郎中々の老犬じゃないか?
——いや、コイツは犬ではあるが仮にも神使であるから、通常の犬のように年を取ってるわけじゃないぞ。私の見立てでは、あと百年くらいは生きるだろう。
ちょっと馬鹿にしていたけど、神使ってスゲェーな……。
——凄いぞ
いや、ちょっと待て、ポメ太郎があと百年生きるなら、師匠の年は一体……。
——そんなどうでも良いことよりも、話を聞いてやらないとまたうるさいぞ
それは確かにそう!!はぁ、気が進まないけど吠えられるのも、噛みつかれるのも御免だし、しばらくテキトーに話を聞いてやるかな。




