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キジン師匠の裏祓い+α  作者: 朝霧 陽月
第2章 救って巣くう人でなし編

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第19話 ポメ太郎の主は八尾雀姫 ー主人公バディ異変調査回(弐)ー

「……それでは社殿の中だ」


 自分で足を洗って拭き、ご満悦の様子のポメ太郎はスタスタと社殿の中へと歩いていく。

 俺はそれに慌てて靴を脱ぎ、靴下だけになった足でポメ太郎の後を追う。

 たくっ、この犬本当にずっとマイペースだな……。


 とっとっとっ。


 廊下には小気味良くポメ太郎の足音が響く。その後ろに追いつき余裕が出来た俺は、改めて立ち入った内部の様子を観察する。

 物凄く立派という訳ではないが、管理の行き届いた綺麗な建物に見える。漆喰の壁に、木張りの廊下はピカピカと飴色に輝いている。うーん、外観もそうだが見事な和風建築だな。師匠の家がトンチキなだけに余計にそう思う。


 ——お、お、なんだ?不敬か?やる気か?


 全然そんなんじゃありません、許してください、やめてください。

 そうこうしていたところ、目の前を歩いていた毛玉ことポメ太郎が立ち止まった。


「ここが客などを通す応接間だ、貴様には縁のない場所だろうが今回は特別だ。調査のために入ることを許可しよう」

「はいはい……」


 色々言いたいところのあるポメ太郎の言葉は最早無視して、サッと応接間と言われた部屋の中へと入る。ここは畳の部屋か?応接間の言葉通りふかふかの座布団が、ポンポンと畳の上に置かれていた。板の間には墨絵の描かれた掛け軸と、花瓶に生けられた花も飾られている。

 なるほどな……細かい作法とかは分からんが、たぶん部屋の中に際立った違和感はないな。部屋も八畳くらいで広くないし、そんなに見るところも——


八尾姫(やおひめ)様……」


 足元にいるポメ太郎が急にそんなことを呟くものだから、俺は思わず動きを止めてしまった。


「えっとー、それは誰ですかねぇ?」

「他でもない我が主、八尾雀姫(やおのすずめびめ)様のことだ」


 はー、へぇー、ここの神様ってそんな名前なんだ……ん?

「つまり雀の神様ってことか?」

「そうだ」


 ふんすっと胸を張ってポメ太郎は今までにも増して偉そうに答える。


「……鳥が犬を飼ってるのか」

「はぁあああ!?貴様今、我が主を取り扱いしたな!!」

「いや、だって雀って鳥じゃん……」

「我が主を愚弄するなぁ!!」

「事実なのに!?」


 すっかり興奮してしまった様子のポメ太郎は、キャンキャンと俺のことを吠えたてる。

 ああああ、小型犬の吠え声、うるさすぎる!!


 ——間抜けすぎて、オモシロ


 師匠、面白がらないで下さいって!!てか、助けて!!


 ——助けない、勝手に頑張れ


 わ、酷い!!


 ——さっきウチを貶した罰だ


 それ根に持ってたんですか!?くっそ、こうなったらプライドは捨てるぞ……!!


「あ、いや、ごめん、本当に申し訳ない。だから許して!!」


 キャンキャンキャン!!

 俺は必死に謝ったものの、ポメ太郎の吠える攻撃は更に三分ほどは続いたのであった……。

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