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キジン師匠の裏祓い+α  作者: 朝霧 陽月
第2章 救って巣くう人でなし編

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第16話 実は半人前な神使だった狛ポメの事情 ー新事件導入回(弐)ー

 先程俺に食って掛かって来た時とは打って変わって、ポメラニアン的な犬はすっかり小さくなり、ちんまりとした紅白紐が巻かれた毛玉と化していた。そんな様子でポメは、おずおずもふもふと自分の事情を語り出す。


「自分はこの近くにある社の神に仕える神使で、名はポメ太郎と申します」


 マジで名前がポメだったわ!!え、じゃあコイツやっぱりポメラニアンなの?

 最近はポメラニアンの警察犬もいるって聞くし、神使にもポメが採用される時代なのか……。


「続けろ」

「はい、これはつい二日ほど前の話でございます。自分が申し付けられた使いから戻ってみると、社の中がもぬけの殻になっていたのです。他の神使たちの姿のみならず、なんと社の主である神の姿まで無くなっているではありませんか!?一時的に席を外すにしても、ここまで全員出払ってしまうことなど有り得ませぬ——」


 ポメラニアンの神使とか、面白ビジュアルに惑わされていたけれどさ。サラッと神様が行方不明とか聞こえなかったか……あれ、この話もしかして大分ヤバい案件では?


「何かおかしいと社の中を見て回ると恐ろしいことに気付きました。本来社の中に満ちているはずの神の気までもが、ほとんど消え失せてしまっているのです!!いよいよ大変なことが起こっていると思った自分は、そこから必死に助けを求める相手を探しました……そんな折りにふと社から程近い場所に、かのご高名な鬼神様がいらっしゃると聞き及びまして、これは鬼神様のお力におすがりする他ない。と思い、この度お尋ねした次第にございます」


 なるほど、分からないことは多いが、ただ一つハッキリと分かった。これは間違いなく俺が引き受けていい話じゃない。師匠がどうにかするべきだ!ですよね、ね?


「ふむ……」


 師匠は何やら悩んでいる。いや、一体何に?こんなの答えなんて決まり切ってるでしょうが、そうして俺の方は解散にしましょう!!


「ほら、こんな小童に任せて良い話ではないでしょう……!」


 先程までの力強さはないもののそう主張するポメラニアンは必死である。そりゃそうだ。

 今回ばかりは俺もお前の味方だぞポメラニアン。さっき噛みついたことは、別に全く許してないけどな。


「ところで聞きたいことがあるが良いか?」

「はい、自分で分かることならなんなりと」


 勢いよく頷くポメラニアンに、それに僅かに口角を上げる師匠。

 何故だろうか。俺は今この瞬間、猛烈に嫌な予感を感じている。とにかく俺にとって不利益になることが起こる予感をヒシヒシと感じる……!!ヤダ!!


「貴様はなぜ正規ルートの天界ではなく、コチラに頼ろうとした?」

「あ……それは」


 正規ルートの天界ってなにぃ!?


「ふむ、やはりそうか。貴様は自力で天上へ渡ることが叶わない半人前の神使ということだな。だからどうにか自力で渡りをつけられる、此処を現世から必死に探し当てたというわけか」

「ぐぅ……」


 あれ、なんでだろう。よく分からないけれどポメラニアンが勝手にぐぅしている。

 えーっと、これはつまりどういうことですかね……。


「つまりポメ太郎は、正式な神使ではなく凄く弱いということだ」

「えぇー、そうなんですかぁ!?」


 さっき嚙まれたの地味に痛かったのに!!


「そりゃ犬に噛まれれば痛いのは普通だろうよ」


 確かに……。


「しかしコイツ、こんなに偉そうなくせに半人前なのかぁ」

「どこの世界でも実力が大したことがないやつほど、無駄に偉そうなのは(つね)だろう」


 常なんだ……いや、よくは知らんけど。


「そしてシキ、お前は先程その大した事ない奴に見事してやられたわけだ。反省しろ」


 え……急に反省を促された、俺完全に被害者なのに。

 そして好き放題言われている当のポメ太郎は、すっかりしょんぼりした様子でくぅーんと鳴いている。


「と、いうわけで半人前同士で丁度いいから仲良く事件の調査に行ってこい」

「え」

「へ?」


 唐突な師匠の言葉に俺のみならず、先程までくぅーんしていたポメ太郎まで困惑した様子で師匠を見上げていた。


「お前たちは今日から事件解決の為のバディだ、異論は認めん」

「え、ちょっと、まっ」


 そう言いかけた瞬間、俺の身体がふわりと浮遊する。見ればポメラニアンもふわふわ浮いている。強制転移させるつもりだ、これ!?!?


「では、いけ」


 そうして俺の視界は一瞬で切り替わり、何処かへ飛ばされたのだった……。

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