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ニセモノの悪役令嬢の私は悪魔に洗脳され、王子様に溺愛されます。  作者: かたりべダンロー


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王子様の花嫁決定

 ダヴィ−ドが黒ローブの男を凝視して、言葉を返す。


「相変わらず気持ち悪いな。"毒の悪魔"さんよぉ。頼むから、うちのアルダに近付かないでくれないか」


「ヒヒヒ、ダヴィ−ド、偉くなったものだな。そんな言葉を俺に吐くなんて。四大悪魔の中で一番弱いと言われているお前が、ヒヒヒ。まぁいい。俺もお前と戦わないで済むなら、面倒臭くなくていいからなぁ。ただ、そこのお嬢ちゃんが嘘をついてなければという条件だけどなぁ」


 黒ローブの男がネットリとした視線で私を見て来る。その時にローブの隙間から男の顔と手がチラリと見える。顔も手も赤く不気味に腫れ上がっている。


 何なの、この人? かなり不気味な感じがする。


 私はダヴィ−ドの後ろに隠れるように移動する。すると、アゲリーナお嬢様が嫌な物を見るような目で黒ローブの男を見る。


「あなたは必要な時に必要な事をしてくれればいいの。余計な事はしないで」


 "毒の悪魔"と呼ばれた男にアゲリーナお嬢様は語気を強める。"毒の悪魔"は首を引っ込め、苦い顔をする。私は警戒心を強め、その悪魔に注意を促す。


 この人が四人の悪魔の内の一人、"毒の悪魔"。何人もの人を殺して来た魔法使い。どんな魔法を使って来るの?


 緊張感のある空気になり掛けた時、アゲリーナお嬢様は再び笑顔に戻る。

 

「お邪魔したわね、アルダさん。あなたの事、信用してるわよ」


 彼女は私に告げると、自分のテントへと戻って行く。私は唇を嚙みながら、彼女の背を見つめる。隣のダヴィ−ドはまた意地悪そうな顔で私を見ている。そんな悪魔にイライラして、私は不満をぶちまける。


「私だって考えて行動してもいいでしょ。もう嫌なの。こんな無駄な争いで、人が死んで行くのは。人を殺すのに何の躊躇いも無い、悪魔さんには分からないかもしれないけど」


「いや、分かるけど」


 意外な答えが帰って来た為、驚いてダヴィ−ドの顔を見る。私に悪かったと思っているような表情をしている。ダヴィ−ドは"毒の悪魔"の背を見ると、眉間のシワを寄せて呟く。


「でも、奴等を殺すのは何の躊躇いも無い。アルダを護る最善の手段を俺は取るだけだ」


「え……」


 ダヴィ−ドは真剣な表情をしている。彼の顔を見ていると、私の胸はドキドキしてしまう。


 そんなやり取りをしていた時だ。急に王族のテントが慌ただしくなる。着飾った王族の人々は皆、驚きの表情を浮かべ、王子様を見ている。すると、王様がテントから飛び出して来る。


「皆のもの、集まれ。ただ今から我が息子の花嫁を発表する」


 王様の声と共に会に参加していた一同が集合する。王族達は皆の前に横一列に並んでいる。王様の横に王子様が居る。私と王子様の視線がぶつかる。王子様は軽く微笑む。


 王子様が王族達の列から一歩前に出る。王子様は貴族達を見回し、息を吸い込む。


「それでは、皆の者。待たせてしまったな。今から私の花嫁となる女性の名前を発表する」


 王子様のその一言で場が静まり返る。皆、王子様の次の言葉を聴くために耳を澄ませている。


「私の花嫁となる女性、それはオガルコフ家のヴァシリーサ嬢だ」


 場が大騒ぎになる。悲鳴と歓声が同時に上がる。


 私は呆然となり、その場に立ち尽くす。元当主サーガと執事長が小躍りして喜んでいる。オガルコフ家陣営はまるでお祭り騒ぎになっている。


 一方、選ばれなかったドン家とキーネ家の面々は絶望の空気の中にいた。泣いて悔しそうな顔をしている者も居る。発狂して叫んで暴れている者も居る。まさにこの世の終わりというような雰囲気だ。


 そんな皆の反応を見ながら、王子様は話を続ける。


「なお、ドン家並びにキーネ家に忠告する。今後、一切のオガルコフ家との争いは認めない。もし争い行為が発覚すれば、その家の貴族の称号を取り消しと致す」


 ドン家とキーネ家からまた悲鳴が上がる。これは文字通り、敗れた貴様たちは私の花嫁に手出しをするなと王子様が忠告しているようだった。


 私は嬉しくなり、涙が流れる。王子様は私の身を案じて、敵貴様たちに注意を促してくれたのだと感じた。


 しかし、私の不安は払拭出来ない。私に対して一番頭に来ている二人の表情をそっと見てみる。


 ファシーお嬢様は呆然として、その場に立ち尽くしている。まるで魂が抜けたような状態になっている。王子様がファシーお嬢様を選ばずに、私を選んだ事が相当ショックなようだ。


 そして、もう一人のライバル、アゲリーナお嬢様の居るテントを気に掛ける。


 ひょっとしたら最後の最後で、彼女はお友達と認めた私と王子様の結婚を祝福してくれているかもしれない。


 そんな淡い期待を抱いて、アゲリーナお嬢様の表情を覗くように見てみる。


 アゲリーナお嬢様は鬼のような形相を浮かべ、顔を真っ赤にし、私を睨んでいる。顔中の血管が今にも噴き出して来そうな表情だ。怒りと憎悪に満ちた彼女の視線と恐怖でオドオドしている私の視線が交わる。


 殺されると本能的に直感する。いつも私に対して笑顔だっただけにその落差に恐怖感を覚える。


 私の身体が震え出す。そんな身体を止めるように肩を優しく叩かれる。私の肩を叩いて来たのはダヴィ−ドだった。



 


小説を読む方は頭が良く、人の気持ちの分かる人だと聴きます。

そんな優秀な読者の皆さんの為に、面白い小説を書いていきますので、これからも読んで頂けると大変嬉しいです。

もし良かったら、今後も宜しくお願いします。


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