二十一年前の真実と、両親の馴れ初め
【活動報告】 投稿の長さと今後のスケジュールについて
読者の皆様、こんにちは!
これまでの話を読み返したところ、全体的に少しボリュームが足りていなかったことに気づきました。いつも楽しみにしてくださっている皆様、申し訳ありませんでした。
その分、今後はもっと読みごたえのある内容をお届けしたいと思い、しっかり執筆を重ねてストックをためました!
そこで、これまでの遅れのお詫びとして、本日(金曜日)は特別に 3つの時間帯(8:00、12:00、19:00頃) に分けて合計3話公開いたします!
さらに、この特別なボリュームとペースでの更新は金・土・日の3日間続きます。そして、月曜日からは毎日12:00頃の通常スケジュールに戻ります。
これからも皆様に楽しんでいただけるよう全力で書いていきますので、引き続き温かい応援をよろしくお願いいたします。
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます!
悪名高い「曇り森」におけるシャルロット・フォン・シュラーデン小公爵誘拐事件――後に王国間戦争の引き金となる運命の日まで、残された時間は正確に八十九日だった。
その頃の俺は自室で「あだ名を与える」の魔導書を膝の上に広げ、必死に作戦を練っていた。
――おいカズマ、何を読んでるんだ? エロ本か?
――ぎゃあああああっ!?
あまりの衝撃に椅子から転げ落ちそうになりながら、俺は慌てて魔導書を背中に隠した。
扉が開き、親父のすっぴん顔が現れる。
――何しに来たんだよ、親父。
息を整えながらそう尋ねると、
――可愛い息子に向かってその言い方は何だ? それに俺はまだそんな歳じゃないぞ! まだ二十六歳だからな!
親父は腕を組み、妙に誇らしげに言い返した。
――そんなのどうでもいいよ……。どうせ昨日の夜、母さんとヤるために俺を気絶させたんだろ。
ロベルトは悪びれる様子もなく、ニヤリと笑いながら後頭部を掻いた。
――家族のためだったんだよ、息子よ!
――絶対違うだろ。
*数時間前*
――頼むよマリア……。あいつはぐっすり寝てるんだ。
ロベルトはドアの隙間から部屋の中を覗き込みながら、小声で囁いていた。
マリアは腕を組み、完全に拗ねた顔をしている。
――そうかしら……。もし起きたらどうするの? 私たちの声が聞こえちゃうじゃない。
ロベルトは大げさな動作で彼女の前にひざまずいた。
――大丈夫だって! 首筋への一撃の加減は俺が保証する! あいつが起きるのは明日だよ。まあ、突然変異の化け物でもない限りな!
そう言って両手の親指を立て、満面の笑みを浮かべる。
――それに多少騒いでも問題ない。この部屋の防音は最悪だが、あいつの疲労はそれ以上だからな!
マリアは呆れと軽蔑が入り混じった目で彼を見つめた。
――本当にあなたってどうしようもないわね……。
*回想終了*
――……まあ、言っとくがな。
ロベルトは一度咳払いすると、俺に向き直った。
――マリアを説得するの、本当に大変だったんだぞ。
――でも説得できたんだろ?
――まあな……。あれは俺の涙ぐましい努力の成果だ。
――最低だな。
――褒め言葉として受け取っておく。
ロベルトは得意げに笑っていた。
やっぱり最低だった。
――それはそうとだな。
彼は急に真面目な顔になる。
――お前が母さんに『聖なる滝』について聞いて回ってたって聞いたぞ。
――ああ。それがどうした?
それを聞いた瞬間、ロベルトの目が感動で潤んだ。
――さすが俺の息子だ……! まだ三歳だというのに、すでに人生の真理へ辿り着いていたとは……!
――何言ってんだこのバカ親父。
――説明してやろう。少し昔話になるがな。
*二十一年前*
――俺はいつものように、一部の選ばれし者しか知らない秘密のルートを通って、村の女たちが滝で水浴びしている姿を眺めていたんだ。
ロベルトは懐かしそうな目をしながら語り始めた。
――すると突然、後ろからガキが叫びやがった。
『変態ーっ!』
――俺は慌てて逃げ出したんだが、そいつはしつこくついて来てな。会うたびに『変態』だの『スケベ』だのと呼びやがる。だが気が付けば、そいつとは親友になっていた。
何年も何年も、俺はそいつを男だと思っていた。
最初は腰回りが細くなって、次は胸が膨らみ始めた。
それでも変な病気なんだろうと本気で思っていたんだ。
そして、そいつがワンピースを着始めて初めて気付いた。
実は女だったってな。
*回想終了*
――とにかくだ!
ロベルトは俺にウインクした。
――お前も滝へ行きたいなら、俺が連れて行ってやる。神々に選ばれた者だけが知る秘密のルートも教えてやるぞ!
そう言うと、彼はニヤニヤしながら扉へ向かって歩き出した。
――まあ、『エロ本』の邪魔をするのも悪いしな。
――なあ、親父。
俺は部屋を出ようとする彼を呼び止めた。
――なんだ?
――その、男だと思ってた女の子さ。
ロベルトは足を止める。
――名前は何て言うんだ?
彼は横顔のまま、あっさりと言った。
――マリアだよ。
俺は天井を見上げたまま固まった。
情報量が多すぎて脳が処理を拒否している。
ロベルトは静かに部屋を出ていく。
そしてドアを閉める直前、父親らしい忠告を残した。
――いいか、息子よ。
――現実ってのは、アニメみたいにはいかないもんだ。
――勉強、頑張れよ。
重い足音が廊下の向こうへと消えていった。
>父の旅路(カズマが救出作戦の準備を進める間)。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
まさかのロベルトとマリアの馴れ初めが明かされましたね。カズマの容赦ないツッコミも絶好調な回でした。
残り時間も着実に減っていく中、カズマの運命やいかに……!? 次回もお楽しみに!引き続き応援よろしくお願いします!




