転生早々、理不尽な現実に直面した件について
転生早々、主人公の心と現実に大きなギャップがあるコメディ作品をお届けします。
大人の精神を持った赤ん坊カズマの苦悩(?)とツッコミを、ぜひのんびり楽しんでいってください!
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移行の感覚は、まるでチューブから絞り出された歯磨き粉のようであり、その直後にぬるま湯のバスタブに放り込まれたかのようだった。
カズマが最初に気づいたのは、光でも周囲の音でもなく、いらだたしいほどの運動機能の欠如だった。額を掻こうと腕を持ち上げようとしたが、できたのは、しわだらけの小さな指をぴくぴく動かすことしかできなかった。
待てよ……と彼は考えた。新生児の脳みその中で大人としての思考がフル回転していた。――僕、本当の赤ん坊になっちゃったのか!?
「あら、見て可愛いこと! お目々を開けたわよ!」
甘く疲れた女性の声が彼の頭上から響いた。
明るい茶色の髪と優しい眼差しを持つ女性が彼を上から覗き込み、目尻に感動の涙を浮かべて微笑んでいた。彼女の隣では、肩幅が広く、無精髭を生やした大柄の男が、幸福で震える両手を広げて大声で笑っていた。
「ようこそ世界へ、カズマ……」
父親は前世と同じ名前をそのまま呟いた。
ちょっと待て、名前まで引き継がせたのか? リュデウスの野郎、そこまで仕込みやがったのか?
カズマはため息をつこうとしたが、漏れたのは絞り出したような赤ん坊の鳴き声だった。「ぐあ……ぐぶ……」。
これが赤ん坊というものか? 女の胸元に押し付けられるのも、悪くはないかもしれない……って、なんだこのデカい乳房は! この世界にもシリコンってあるのか!?
「泣いているわね。お乳をあげた方がいいかしら」
「ああ、もちろんだ! パパみたいに強くなるぞ!」
男は誇らしげに立派な上腕二頭筋を見せびらかした。
カズマはしっかりと目を閉じ、頭の中に押し寄せる混沌とした思考の波を感じていた。
おい、待てよ……ってことは、僕これから……このデカいおっぱいでお乳を飲むことになるのか!? これって道徳的にまずいんじゃないのか!?
いや、黙れ、僕は今や新生児なんだ! 生き残るためには食わなきゃいけないんだよ!
しかし、これまでの情けない人生において、タダで女性の胸元から母乳をすするなど夢にも思わなかった……僕の心臓はこんな感情に耐えられるのか?!
行くぞ、カズマ。生きるためだ。口を開けろ……
カズマは口を開き、決意を込めて吸い付いた。
新生児にとって、その味は驚くほど美味しかった。ほんの一瞬、彼の胸は純粋な喜びで満たされた。
彼はその瞬間を味わおうとゆっくり目を開け――そして動きを止めた。
そこにあったのは、ただのプラスチック製のほ乳瓶だった。なぜ大人の精神を持つ新生児にほ乳瓶なんか与える必要があるんだ!?
「ごめんね、カズマ……ママ、おっぱいが出ないみたい……」
父親は気まずそうに言った。
……いや、それ単に見掛け倒しってことじゃねえか、このバカ親父!
「覚えてろよ、リュデウス……」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
無事に(?)赤ちゃんとして転生を果たしたカズマですが、前途多難な生活が待っていそうです。
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次話もお楽しみに!




