地獄の掃除と抜き打ち監査!? 異世界ブラック労働の幕開け
※勝利の笑みから一転、秒でブラック送り
「おはよう、若者よ。今日の調子はどうかな?」
カズマはビクッと驚き、後ろへ飛び退いた。
「人の背後に回り込むその趣味はなんだってんだ、リュデウス様!?」
「なんだ、やっぱりお前だったのか、この老いぼれが」
ソラは殺意を込めた目で彼をにらみつけ、すぐにでも喧嘩を始めそうな勢いだった。
「おはよう、ソラ嬢。今日の調子はどうかな? ……ふむ、相変わらず背は全く伸びていないようだな?」
「何言ってるのよ! アンタみたいな、権力かざしてふんぞりかえってるだけの老人に比べたら、私の方がよっぽど……!」
「何か言ったか、小娘!? またやり合うか!?」
「そこまでだ! 二人ともやめろ!」
カズマは疲れ果てた様子で割って入った。
「顔を合わせるたびに同じ言い争いをして、お互い殺し合いそうになるのはいい加減にしてくれ」
ソラは肩をすくめて不満そうに顔をそむけ、一方でカズマは恭しく頭を下げた。
「頼むからリュデウス様、ここへ何の用で来たのか教えてくれ」
リュデウスはカズマに歩み寄り、間近でじっと見つめた。
「一体そんなにじろじろ見て何があるんだよ?」
「少し変わったな、カズマ。インターネットで一日中誰彼構わず悪態をついていたあの引きこもりオタクの面影すらない。だがまあ、時間もないことだし本題に入ろう。お前の転生準備はすべて整ったぞ、カズマ」
カズマとソラは目を丸くして驚いた。
「マジかよ?」
「ああ」
「それで……どうやって行くんだ?」
「よく聞いてくれた!」
指を鳴らすと、灰色の回廊が一瞬で消え去った。瞬く間に、二脚の学校の机と黒板が部屋の中心に現れ、リュデウスは教師用の白衣をまとり、カズマとソラは完全な制服姿になっていた。
「席に着きなさい。そうだ、ソラ嬢もだ。今から授業を始める」
リュデウスは咳払いを一つし、教師らしい姿勢をとった。
「ご存知の通り、ここは魂が天国に行くか地獄に行くかを裁く場所だが……現在深刻な定員オーバーのため、地獄行きとなった魂は永久に処分している。しかしお前だけは、カズマ……」
リュデウスは直接彼の胸元を指さした。
「……歴史上唯一、焼却処分にできなかった例外だ。取締役会に大混乱を引き起こした純粋なバグの塊。だからこそ、お前を二度目のチャンスとして別の世界へ送り込むことにした。ただ、向こうに行くにはちょっとした仕込みが必要でね」
「仕込み?」と、カズマが眉をひそめる。
「あいつに何をさせるつもりよ?」と、ソラがすかさず割り込んだ。
「慌てるな、ソラ嬢。彼の者には、特別製の『魔法の書』を持たせる。特定のフレーズが唱えられた時にだけ発動し、任務の全貌や……残された正確な期限を示すガイドさ」
ソラはすばやく手を挙げた。
「先生!」
「言いなさい、ソラ嬢」
「なぜ先生ご自身があの世界に直接干渉しないんですか?」
「素晴らしい着眼点だ、ソラ嬢! 一点追加だね」
リュデウスは満足そうにうなずき続けた。
「私自身は『自由意志』に関する面倒な役所の規定のせいで動けないのだよ。しかし、カズマというバグが現地に混ざることで、そこに抜け道ができるというわけさ」
「先生!」
ソラは再び手を挙げた。
「言いなさい、ソラ嬢」
「で、あいつが言われたことを全部やり遂げたら、何がもらえるのよ?」
「実に素晴らしい質問だ! これまた加点だね!」
ソラの両目は学術的な承認と報酬の約束によって即座に輝きを放った。
「何でも好きなものを望むがいい」(自分だけの王国、不老不死、そしてハーレム)。
「じゃあ何をぐずぐずしてるんだ!? さっさと行こうぜ!」
「その意気だ、若者よ!」
リュデウスは再び指を鳴らす。学校の風景が一瞬で蒸発し、カズマとソラは激しい音とともに尻餅をついて床に倒れ込んだ。
リュデウスは優雅に立ち上がり、カズマに手を差し伸げて起こそうとした。
「さて、若者よ……」
彼はポケットから分厚い表紙の本を取り出し、若者に手渡した。
「これがその魔法の書だ。もし落としたとしても単に消え去るだけで、戻したければ大声で名前を呼べばお前の右手の中に直接現れる。さあ、名付けたまえ」
「名前を付ける……?」
カズマがそう思った瞬間、本の表紙に金色に輝く文字がひとりでに浮かび上がってきた:『名前を付ける』。
「『名前を付ける』って、おい! そのまんまじゃねぇか! 未来を予知する本にしては妙な名前だな……まあいいか、使えるなら」
カズマはぼやいた。
「はあ? もう勝手に決まってたんだけど!? 私まだちゃんと考えてなかったのに!」
とソラは抗議した。
「さあ、ソラ嬢に別れを告げる時間だ」
リュデウスは最後の指パッチンをした。カズマの体が輝き始め、光の粒子へと変わり始めた。
「なっ……!? もうなのか!? まだちゃんと挨拶も……」
彼は消えかけていく中で言葉を濁し、最後の手を振りながら、金髪の女神に目を向けた。
「じゃあな、ソラ! 戻ってきたら、僕のすげえ冒険の思い出を一つ残らず話してやるよ!」
ソラは腕を組んだが、誠実な笑みを浮かべ、振り返して手を振った。
「またね……そしてせいぜい頑張りなさいよ、このクズが。ここで待ってるから!」
視界が暗くなり、体が完全に消えていく中で、カズマは不意に突拍子もない詳細に気づき、ハッとした。
一瞬の間のうちに……ソラが泣いていたのだ。
お読みいただきありがとうございます!
まさかの異世界清掃アルバイト(奴隷)生活がスタートしたカズマさん。しかもそこに上層部の抜き打ち監査まで……!?
次回、査察の行方とカズマの運命はいかに!?感想やブックマークもぜひよろしくお願いします!




