地獄行き確実!? 魂の審判マシーンの恐怖
引きこもりの処刑(?)タイム開始です。
今日も元気に地獄行き!
「イヤアアアァァァッ! クソが……ちくしょおぉぉぉっ!」
終わりを覚悟しながら、彼は叫び、暴れ続けた。自分が消去されてもいなければ燃え盛る炎に包まれているわけではないことに気づきながらも、パニックのあまり叫び声を止めることができなかった。
「嘘だろ! なんて不条理な人生だ! なんで俺みたいな善良な一般人がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ?! あああああっ――!」
バシッ!
ついに我慢の限界に達したソラは、綺麗に握りしめた拳でカズマの顔面を完璧なタイミングで殴り飛ばし、その無駄な絶叫を一瞬で強制終了させた。
「ちょっとは黙ったらどうなの、このドアホが!」
「い、痛っ……!? なんだよ!? 俺、死んでねえのか!?」
「いいから黙って!」
彼女はあからさまに不機嫌そうな顔をして吐き捨てた。
まだ荒く息を整えながら、ソラはポケットから骨董品のように古い折りたたみ式のガラケーを取り出し、手慣れた手つきで番号をプッシュして耳にあてがった。
トゥルルル……。呼び出し音が響き渡る。
「もしもし? おはようございます、突然すみません……あのですね……」
ソラは受話器越しに、オドオドしたトーンで相手に現在の状況を一部始終説明した。
「ええ、そうなんです! 私自身、こんなの初めて見ましたよ。で、これからどうすれば……? ……あ、なるほど。承知いたしました! ありがとうございました、失礼します」
少女はパチンと乾いた音を立てて携帯電話を折りたたみ、ポケットへとしまった。
頭を下げ、深いため息を吐いた後、彼女はただ指をパチンと鳴らした。コンマ一秒後、カズマが座っていた椅子が綺麗に蒸発し、彼はそのまま床へと真っ逆様に転がり落ちた。
「い、痛っ……!? な、なにが起きたんだ!?」
まるで針の上を歩かされているかのように全身を震わせながら床を転がり、彼は周囲の様子を伺った。
青年の大騒ぎを完全無視したまま、ソラは部屋の中央へと歩を進め、完璧な正方形を描く白い祭壇の階段を上っていった。王座に腰を下ろすと、彼女は軽く咳払いをし、よりフォーマルな姿勢へと身構えた。
「ええーっと……前代未聞の事態が起きちゃったわけ。で、上層部のお偉方に相談したところ、『判定が地獄なのに消去されなかったとは、まあ面倒な問題だな。だが、見方を変えれば、そいつはもう自分の運命の代償を前もって支払っちまったようなものだし……後の始末は全部お前に任せるわ! 健闘を祈る!』――だってさ」
彼女は一度言葉を切り、その瞳に宿る光を嫌悪と憤怒の混じった色へと変えた。
「あのクソジジイども……!」
威厳のある態度をすっかり忘れ、彼女は歯ぎしりしながら悪態をついた。
「自分たちが責任を追及されたくないもんだから、面倒な仕事の尻拭い全部私に押し付けやがって……!」
ソラは片手で頭を支えながら、床に這いつくばったままのカズマを、興味なさそうな目で下から見下ろした。
こいつをどうしたものか……。
祭壇の上から、彼女は先ほどと同じ冷酷な問いを投げかけた。先ほどまでの茶目っ気のある挑発的な表情はすっかり影を潜め、空気が重かった。
「ちょっと待てよ……なんだその目は」
カズマは背筋に悪寒を覚え、縮み上がった。部屋の空気が一瞬にして凍りついたように重くなっていた。
「上層部がお前個人の責任だって言ったからって、俺を元の世界に送り返すか、別の場所でのんびり暮らせる人生を用意しろよ!」
「お前、何もわかってないのね」
ソラはゆっくりと階段を降りてきた。彼女の足音が静寂の中で不気味に響き渡る。
――マシーンは地獄の判定を下した。お前の存在はすでに、人間界の台帳からも天界の記録からも完全に抹消されている。あらゆる運命の手続きにおいて……お前はもはや人間ですらないのよ。
「なっ……!?」
彼女は不敵な笑みを浮かべながら間合いを詰め、カズマの耳元へと体を預けるようにして囁いた。
「つまりだな――」
ソラは彼の耳たぶすれすれに唇を寄せた。
「今日からお前は、私の奴隷よ」
Capítulo 4: O Funcionário do Setor 404
思考回路が完全にフリーズし、虚空を見つめたまま、彼女のドレスの襟元に釘付けになっていたカズマは、思わずうっかり口を滑らせた。
「……案外悪くないプランだな」
ソラはあまりの衝撃に文字通り十歩ほど後ろへ飛び退き、両手で自分の胸をかばうようにして怯えた。
カズマは悪党のように豪快に笑い声を上げた。
「おいおい、ポンコツ女神様よ、どうやらお前, 俺と一緒に心中することになっちまったみたいだな!」
声を震わせ、目に涙をいっぱいに溜めながら、彼女は言い返した。
「カズマ、この変態野郎……!」
威厳のあるポーズを取り戻そうと力いっぱい腕を組んでみたものの、恥ずかしさと怒りで真っ赤に染まった頬が、彼女がいかに意表を突かれたかを雄弁に物語っていた。
「何をニヤニヤ笑ってやがるんだ、このゴミクズが!」
彼女は一歩踏み出し、震える指を突きつけて怒声を浴びせた。
「自分がどれだけヤバい立場に置かれてるか忘れたわけ? 判定は地獄よ! 私の気まぐれひとつで、今すぐあのドロドロの虚無の空間に放り込んでやろうか!」
床に座ったまま、カズマは徐々に笑いを引っ込めた。あの「虚無」という単語を聞いた瞬間、自信満々だった笑みがわずかに揺らいだ。彼はごくりと唾を飲み込んだが、それでも強がりを押し通すことにした。
「そうなのか? じゃあさっさとやってみろよ」
彼はあごをしゃくり、ふてぶてしい態度で彼女を挑発した。
「俺を消去したら、マシーンのファーストエラーを起こした原因不明の不良品が、担当管理者の怠慢によって勝手に消えちまったことを、上層部にどう言い訳するつもりだ? お前が怠け癖のせいで『非存在』を野放しにしたって知ったら、連中大喜びするだろうな」
「うぐっ……ぐぬぬ……!」
ソラはその場で言葉に詰まった。大きく見開かれた瞳に、絶望の色が猛烈な勢いで戻ってきた。
彼女には痛いほどよくわかった。もしあの堅物な役人どもに、地獄行きに指定された魂の行方をうっかり見逃したことがバレたら、自分の永遠の余暇は完璧に崩壊してしまう。
自分自身の定めた規則によって追い詰められた彼女の姿を見て、カズマが勝利の笑みを浮かべるのを確認し、少女は奥歯をギリッと噛み締めた。
「わかった、わかったわよ! 私の負けだ、この脅し屋のクソ野郎……!」
悔しさに身悶えしながら目を強くギュッと閉じ、彼女は吐き捨てるように言った。
――いいだろう、この三流脅し屋め。お前の勝ちだ。
ソラは憎しみを噛みしめながら言葉を絞り出した。
「だが、ただで済むと思うなよ。システム上、お前は存在しないことになっている。住む場所もない、加護もない、いわゆる『勇者キット』の類も一切なしだ。ここで生き延びたいなら、死ぬほどこき使ってやるからな!」
カズマは片方の眉をピクリと持ち上げ、侮蔑するように腕を組んだ。
「こき使って何をするんだ? 人工の雲でも売るのか?」
「もっと最悪な仕事よ」
ソラはニヤリと笑い、カズマの血の気をサーッと引かせた。
「お前は『管理上のエラー品』なんだから、臨時清掃および雑務担当セクションへ再配属決定よ。で、お前の直属の教育係はこの私だ」
カズマの勝利の表情が一瞬にして消え去った。
「待て……お前が……!?」
「その通りよ」
次の瞬間、景色が変わった。ツルツルの床は、どこまでも果てしなく続く巨大な灰色の回廊へと変わり、その脇には無数の扉が地平線の彼方まで並んでいた。空気中には、眩しく光る無数のファイルや星屑の埃がフワフワと漂っている。
気づけばカズマの両手には、異様に大きなモップと、青く泡立った液体が入ったバケツが握られていた。
「ようこそ、新しい職場へ、カズマ!」
ソラは宙にフワフワと浮きながら、足を組んで楽しそうに笑った。
「日暮れまでにセクション404をピカピカにしなさい! もしゴミのひと粒でも残ってたら、今度の腹への一撃には一滴の慈悲も与えないからね!」
「嘘だろ、マジかよ……!」
勝ったと思った矢先、異次元のブラック労働環境へと強制送還されてしまった。自分の失言を激しく後悔する絶望の叫びが、回廊の中に空しく響き渡った。
時間の感覚などとうの昔に失われていた。だが、ひとつだけ確かなことがあった。それは、両腕がちぎれそうなくらい痛むということだ。
「もし冥界で腱鞘炎になったら、天界の労働基準監督署に訴えてやるからな……」
モップの柄に全体重を預けながら、カズマはラベンダーの香りがする洗浄液を使ってひたすら石畳をこすり続けた。
数メートル離れた場所では、ソラが星屑クッキーを優雅にモグモグと食べながら宙に浮いていた。彼女は指先で口元を軽く拭い、退屈そうな笑みを浮かべた。
「文句は手を動かしてから言いなさい、臨時アルバイトくん! ほら、そこの404-B号室の扉の隅っこ、汚れが残ってるわよ。星屑の埃が固まっちまったら、お前の架空の給料から天引きだからね!」
カズマはモップを動かす手を止め、モップの柄に顎を乗せた。
「給料ってなんだよ、おい!? 泊まる場所もなければ食うものもないし、その上この中央文書室の床掃除までさせられて……これじゃあ奴隷労働じゃねえか!」
「それがこの職場の醍醐味なのよ!」
ソラは肩をすくめ、またひとつクッキーを口放り込んだ。
「あのマシーンが『地獄』の判定を下した瞬間、お前が文字通りの塵になって消え失せなかっただけありがたいと思いなさいよ」
カズマが言い返すより早く、床がわずかに揺れた。重々しい金属音が響き渡り、セクションの扉の上部で赤色の警告ランプが狂ったように点滅を始めた。
ピーッ、ピーッ、ピーッ。
ソラの勝ち誇った態度が一瞬で消え去った。手に持っていたクッキーの袋が手から滑り落ち、床に触れる前に消滅した。
「なんだこの音は……?」
背筋が冷え、カズマは尋ねた。
「また機械が爆発するのか?」
「ちがう……」
ソラは青ざめた顔で慌てて宙から舞い降り、自分のドレスの裾をバタバタと整えた。
「上層部による抜き打ち監査のアラームよ。セクション404の査察にきやがったんだ!」
お読みいただきありがとうございます!
まさかの即堕ち(物理)エンド……カズマさんの命運やいかに!?
次回、引きこもり青年の運命はどうなってしまうのか。ぜひお楽しみに!感想やブックマークもよろしくお願いします!




