三歳児、玉の輿を疑われる
【お礼とお知らせ:ラストスパート連動スケジュール!】
皆様、こんばんは!
いつも温かい応援とたくさんのブックマーク・評価を本当にありがとうございます。お陰様で前回の連動も大好評だったため、本アークを最高の形で締めくくうべく、追加のラストスパート連動を開催することが決定しました!
日時は 10月30日・31日・11月1日 の3日間、毎日12時と19時の2回更新となります。
その後は通常通り、毎日12時更新に戻ります。
本日のエピソード、そしていよいよクライマックスを迎えるこの展開を楽しんでいただけたら嬉しいです。もしよろしければ、感想欄やレビューで「ここまでの感想」などを教えていただけると、執筆の何よりの励みになります!
これからも作品を応援していただけたら幸いです。それでは、連動の更新でお会いしましょう!
衛兵は凍りついた。
文字通り凍りついた。
剣が五センチほど下がる。
――おや……
彼は何度かまばたきをした。
――おや……
「お母さん!」
私は叫んだ。
マリアがこちらへ駆け寄ってくる。
「カズマ! 心配したんだからね! 急にいなくなっちゃうんだから!」
彼女は私を引き寄せて抱きしめた。
衛兵は見つめたままだ。
硬直したまま。
完全に硬直していた。
「あの……」
「衛兵さん?」
マリアが尋ねる。
「あの……」
「大丈夫ですか?」
「ああ」
大丈夫ではなかった。
この男は明らかに、今しがた自分の計画のすべてを忘れてしまったらしかった。
「うちの子に何か?」
衛兵は即座に姿勢を正した。
「なんでもありません、奥さん!」
「ふむ?」
「坊ちゃんはただ、お嬢さんと遊んでいただけでして」
「遊んでいた?」
「はい!」
男は激しくうなずいた。
「その後、道に迷ってしまったようで。それで、ご家族の元へお送りしようとですね」
私は彼をじっと見つめた。
彼は私の母をじっと見つめた。
何が起きているのか、私には痛いほどよく分かっていた。
このクズ野郎は敗北したのだ。
私にではない。
母の胸元に、だ。
「あら、そうだったんですか」
マリアは言った。
「お世話になって、ありがとうございます」
「どういたしまして!」
どういたしまし過ぎだろう、全く。
衛兵は剣を鞘に戻した。
「さて、仕事に戻らねばならんのでな」
「ご丁寧にどうも」
「なんの!」
彼はくるりと身を翻した。
数歩歩く。
振り返る。
よりにもよって、私の母を凝視する。
良心の精神的フライパンで、もう一発殴られたような顔をした。
そして逃げるように走り去っていった。
私は彼が木々の間に消えていくのを見送った。
それから母を見上げた。
そして彼が逃げ去った方向を見た。
私は深くため息をついた。
今度という今度は、お母さんの肉感的な美しさに救われたわけだ。
もしかすると、それがこの世界で最強の力なのかもしれない。
母は私の手をつなぎ、滝のほうへ連れ戻した。
数分後、日光で温められた岩の上でくつろいでいるロベルトを見つけた。
「お、戻ったか」
「ロベルト、お話があるのよ」
その口調を聞き、父は即座に姿勢を正した。
「何があった?」
マリアは腕を組んだ。
「息子が迷子になったの」
「ふむ」
「あちこち探し回ったわ」
「ふむ」
「そしたら森の中で、衛兵と一緒にいるところを見つけたのよ」
「ふむ」
「あなた、怒らないの!?」
「生きているぞ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
パシッ!
「痛っ!」
ロベルトは頭を擦った。
「わかった、わかった。続きをどうぞ」
マリアは大きく息を吸い込んだ。
「衛兵の話によれば、カズマは伯爵の娘と一緒にいたそうよ」
数秒間の静寂が訪れた。
ロベルトはまばたきをした。
「伯爵の娘?」
「そうよ」
次の瞬間、彼の顔に満面の笑みが浮かんだ。
「ハハハハハハハハハ!」
豪快な笑い声が滝のまわりに響き渡る。
「さすが俺の息子だ!」
「なんですって!?」
「三歳にして貴族に手を出すとはな!」
「そういう意味じゃないわよ!」
「伯爵だぞ、マリア! 伯爵だ!」
「伯爵がどういうものかくらい知ってるわよ!」
「このガキ、本当にタダじゃ起きないな!」
「ロベルト!」
「なんだ?」
「変なこと教えないで!」
「俺はただ、才能ある者への賛辞を送っているだけだが」
「才能!?」
「そうだとも!」
ロベルトは誇らしげに私を指さした。
「俺がこいつくらいの歳の頃なんて、問題を起こしてばかりだったからな」
「今でも問題ばかり起こしてるじゃない」
「それは弁護の助けにはならんな」
「とにかく問題なのは、うちの子がすでに貴族社会のコネを作ってきたってことよ!」
「だが森で迷子になったんだぞ!」
「でも伯爵の娘のそばで迷子になったのよ!」
「状況証拠は何も良くなってないぞ!」
パシッ!
またしても一撃。
「アァァイ!」
ロベルトは頭を押さえて後ずさった。
「マリア、君は息子の夢を邪魔する気か」
「どんな夢よ!」
「裕福な跡取り娘と結婚して、老後の親を養ってもらうという夢だ」
「ロベルト!」
「冗談だって!」
「冗談に見えないけど」
「本気だからな」
パシッ!
私は深くため息をついた。
私はたった今、暗殺未遂を食い止めたところだった。
衛兵に処刑されかけたのだ。
それなのに、両親は私を「玉の輿を狙う男」という結論に達していた。
もしかすると、あれこそがこの世界で最も強力な魔力なのかもしれない。
【お礼とお知らせ:ラストスパート連動スケジュール!】
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日時は 10月30日・31日・11月1日 の3日間、毎日12時と19時の2回更新となります。
その後は通常通り、毎日12時更新に戻ります。
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これからも作品を応援していただけたら幸いです。それでは、連動の更新でお会いしましょう!




