誰も信じてくれない英雄
【活動報告】 投稿の長さと今後のスケジュールについて
読者の皆様、こんにちは!
これまでの話を読み返したところ、全体的に少しボリュームが足りていなかったことに気づきました。いつも楽しみにしてくださっている皆様、申し訳ありませんでした。
その分、今後はもっと読みごたえのある内容をお届けしたいと思い、しっかり執筆を重ねてストックをためました!
そこで、これまでの遅れのお詫びとして、本日(金曜日)は特別に 3つの時間帯(8:00、12:00、19:00頃) に分けて合計3話公開いたします!
さらに、この特別なボリュームとペースでの更新は金・土・日の3日間続きます。そして、月曜日からは毎日12:00頃の通常スケジュールに戻ります。
これからも皆様に楽しんでいただけるよう全力で書いていきますので、引き続き温かい応援をよろしくお願いいたします。
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます!
――待てって! そういうわけじゃないんだって!
――助けて! 誰か助けて!
――俺は文字通り、あんたの命を救ったばかりなんだぞ!
――誰か助けてくれーっ!
――なんで誰も主人公を信じてくれないんだよっ!?
足音が外から響き渡った。
胃がキリキリした。
――うわ最悪……。
一瞬の後、もう一人の衛兵が洞窟へと駆け込んできた。
彼はその光景を目撃する。
怯える王女。
地面に倒れている衛兵。
そして、彼女の傍らに立つ見知らぬ子供。
男の顔がサーッと血の気を引いていく。
――この野郎!
――待て、説明させてくれ!
――今すぐ王女殿下から離れろ!
――そもそも抱きついてすらいないだろ!
衛兵が俺の腕を掴みやがった。
――逮捕だ!
――もう何回目だそれ、俺はこの娘を助けたんだってば!
その時、俺たちの背後でうめき声が聞こえた。
倒れていた衛兵が動き始めたのだ。
――くっ……!
三人は揃ってそちらに視線を向けた。
男がゆっくりと体を起こす。
兜が内側にべっこりと凹んでいた。
まるで馬にでも蹴飛ばされたかのような有様だ。
――どうして……?
二人目の衛兵が目を丸くする。
――隊長殿っ!?
男は震える手で俺を指さした。
――どうやって……こんなガキが……俺を倒した……?
――俺に……訊かれても?
気絶していた衛兵がよろよろと立ち上がる。
――お前、外へ行け。
――隊長殿?
――こいつを連れていけ。
もう一人の衛兵が何度もまばたきをした。
――で、こいつはどう処置します?
男は俺を睨みつける。
それから凹んだ兜を見る。
そして再び俺を睨んだ。
こめかみに青筋がピキッと浮かび上がる。
――たっぷりとお説教してやれ。
俺の血が凍りついた。
――待てよ……お前らの言う「お説教」って、教育的なアレだよな?
二人の衛兵が無言で俺を見下ろす。
――だよな……?
どう考えてもそんな雰囲気じゃなかった。
俺の腕を掴んでいた衛兵は、まるでジャガイモの袋でも持ち上げるかのように、俺を地面からひょいと持ち上げた。
――おい! 離せって!
――子供のくせにいい度胸をしてやがる。
――どうも。
――褒めてねぇよ。
――あ、はい。
俺はそのまま洞窟の外へと引きずり出されていった。
俺たちの背後で、シャルロットがこちらを指さして叫んでいる。
――待って! 彼が私を助けてくれたのよ!
――もちろんでございますとも、王女殿下。
――本気で言ってるのよ!
――さもありなん。
――なんで誰も僕の言うことを信じないんだよっ!?
彼女の声が次第に遠ざかっていく。
数分後、俺たちはすっかり森の奥深くまで連れ出されていた。
衛兵は俺を地面に放り投げる。
――さてと。
――さてとは?
――ここらでいいか。
――何が「いい」んだよ?
男が剣の柄に手をかけた。
――お前の悲鳴が誰にも聞こえない場所、って意味だ。
俺の顔から完全に色が消え去った。
――おっと。
剣が鞘からゆっくりと引き抜かれていく。
――いや待て、よく考えたらこういうのは紳士的に話し合いで解決すべきじゃないか?
――お前、歳はいくつだ。
――細かいことは気にするなよ。
――王宮の衛兵に手を出すのは重罪だぞ。
――誘拐犯だと思ったんだよ!
――実際にそうだったが。
――はっ!?
――どうでもいい。
――めちゃくちゃ重要だろそれ!
衛兵は俺の抗議を完全に無視した。
陽光を浴びて、冷酷な刃がギラリと光る。
――運が悪かったな。
――全くもって同感だね。
――言い遺すことはあるか?
――ああ。
――言ってみろ。
――母さんがこれを知ったら、めちゃくちゃ怒ると思う。
衛兵がふうと大きなため息をついた。
――だろうな。
その瞬間、森の中に甲高い絶叫が響き渡った。
――カズマァァァ――ッ!
俺はその声を知っていた。
衛兵もそれに気づく。
二人同時に首をビュンとそちらに向けた。
数秒後、木々の間から一人の影が猛スピードで突っ込んできた。
茶色い髪。
緑色の瞳。
そして、圧倒的かつ無視できない抜群のプロポーション。
――カズマ!
俺の母親だった。




