☠死の運命☠
【活動報告】 投稿の長さと今後のスケジュールについて
読者の皆様、こんにちは!
これまでの話を読み返したところ、全体的に少しボリュームが足りていなかったことに気づきました。いつも楽しみにしてくださっている皆様、申し訳ありませんでした。
その分、今後はもっと読みごたえのある内容をお届けしたいと思い、しっかり執筆を重ねてストックをためました!
そこで、これまでの遅れのお詫びとして、本日(金曜日)は特別に 3つの時間帯(8:00、12:00、19:00頃) に分けて合計3話公開いたします!
さらに、この特別なボリュームとペースでの更新は金・土・日の3日間続きます。そして、月曜日からは毎日12:00頃の通常スケジュールに戻ります。
これからも皆様に楽しんでいただけるよう全力で書いていきますので、引き続き温かい応援をよろしくお願いいたします。
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます!
紋章がゆっくりと脈打った。
一回。
二回。
三回。
私は本を強く閉じた。
心臓が高鳴っていた。
滝の裏側。
あの少女は滝の裏側へと連れ去られていく。
ゆっくりと首を曲げた。
水のカーテンが太陽の光を浴びてきらめいていた。
そして、私にはその裏側に何があるのかが分かった。
洞窟。
さっき父親が教えてくれたばかりの、あの洞窟だ。
「あっ……」
私の声はささやきになって漏れた。
「これは今日起きることだ」
私は目を滝へと向けた。
それから本へ。
再び滝へと視線を戻す。
「今日起きることだ」
本を力強く閉じた。
心臓が痛むほど激しく鼓動していた。
滝の裏側。
少女は滝の裏側へ連れ去られてしまう。
そして――
死。
私はすぐさま両親のほうへと駆け出した。
「お父さん!」
「ん?」
ロベルトは母親に見とれるのに夢中になっていた。
「大事な話があるんだ!」
「深刻そうだな」
「深刻だよ!」
ロベルトはやっと私の方を向いた。
「どうした?」
私は滝を指さした。
「大変な人がいるんだ!」
「どこに?」
「ここ!」
「ここ?」
「そう!」
彼はまばたきをした。
「誰が?」
私は数秒間考えた。
本のことは言えない。
誰も信じてくれないだろう。
「一人の少女が」
「どんな少女だ?」
「わからない」
「知り合いか?」
「ううん」
「じゃあ、なぜ危機に瀕しているとわかる?」
「なんとなくわかるんだ!」
ロベルトは数秒間じっと私を見つめた。
それからマリアを見た。
そして私を見た。
もう一度マリアを見た。
「マリア」
「ん?」
「うちの息子がまたお話をこしらえているぞ」
「作ってないよ!」
「作ってるさ」
「作ってない!」
「作ってる」
「作ってない!」
「作ってる!」
「作ってないってば!」
ロベルトは私と同じ背の高さまでしゃがみ込んだ。
「カズマ」
「なに?」
「お前はまだ三歳だ」
「知ってるよ」
「一日の半分は修練をして、残りの半分は妙な質問をして過ごしている」
「それとこれとは関係ないよ」
「本当か?」
「うん!」
「息子よ、滝の裏に囚われたお姫様なんて存在しないさ」
私の血が凍りついた。
「お父さん、どうして僕が姫の話をしているってわかったの!?」
ロベルトはまばたきをした。
「お姫様の話をしていたのか?」
「あ」
やってしまった。
「ほら見たことか」と、彼は立ち上がりながら言った。「自分で続きを勝手にでっち上げたじゃないか」
「お父さん、本気で言ってるんだよ!」
「もちろん本気さ」
「本当に真剣なんだってば!」
「もちろん本当に真剣さ」
「その言い方やめてよ!」
マリアがくすくすと笑った。
裏切りだ。
母さんまで僕を面白がっている。
「聞いてくれ、息子よ」とロベルトは私の髪をくしゃくしゃとかき混ぜながら言った。「心配することなんて何もない。もし魔物が出てきたら、僕が何とかしてやる」
「心配なのは魔物じゃないよ!」
「じゃあ全部解決だな」
「解決してない!」
「解決したさ」
「してないって!」
「した」
私の目がピクピクと痙攣し始めた。
無駄だ。
全くもって無駄だった。
父親は自身の絶望的なまでの鈍感さという物理的暴力だけで、どんな議論をも打ち破ってしまったのだ。
「さて」と言って、ロベルトはマリアのそばへと戻った。「水に入るとするか」
「ロベルト!」
「なんだい、ダーリン?」
「水をかけないでよ」
「そんなことするわけないだろ」
スプラッシュ!
「ロベルト!」
二人がまたくだらない口喧嘩を始めた隙に、私はじっと滝を眺めていた。
ため息をつく。
もしあれを止めたいなら――
一人でやるしかなかった。
両親へ最後の一瞥を向けた。
それから遠くの水のカーテンへ。
そして、ロベルトが教えてくれた秘密の小道の入り口へと目を向けた。
「よし……」
腰に差した小さな木剣を握り直した。
「誰も聞いてくれないなら――」
自分で何とかするまでだ。
私は音もなく森の中へと姿を消した。
両親が再びくだらない口喧嘩を始めた瞬間を見計らい、忍び足で森へと滑り込んだ。
ロベルトが教えてくれた秘密の道は覚えるのが簡単だった。
数分後、滝の裏側にある洞窟の入り口へと辿り着いた。
水の轟音が激しすぎて、自分の足音すらほとんど聞こえなかった。
好都合だ。
ここで何が起きようと、誰も聞きつけやしない。
「あとは待つだけだ……」
岩陰に腰を下ろした。
ゆっくりと時間が過ぎていく。
五分。
十分。
十五分。
何もない。
「本当に魔法の本なんかを信用して、自分の人生を賭けてるのか……」
突然。
足音。
全身がこわばった。
誰かが入ってきた。
岩の陰に身を隠す。
一人の男が、意識を失った少女を腕に抱えて現れた。
金色の髪。
衛兵はゆっくりと、気を失った少女の頭上に剣を振りかざした。
「お許しください、お嬢様」
今だ。
二度と考え込むことなく、私は隠れ場所から飛び出した。
「おい!」
男が目を見開いた。
「なにっ!?」
その瞬間、私は奴に向かって手を突き出した。
「黄昏の霧よ、我が敵の目をくらませ!」
衛兵の顔の真ん前で白い煙が爆発した。
「なんだっ!? 目がっ!」
奴は反射的に兜に両手を当てた。
今がチャンスだ。
短い足が許す限りの全速力で駆け出した。
「そこだ!」
ドゴッ!
私のキックが奴のひざ裏を直撃した。
足が折れ曲がる。
男はバランスを崩し、片膝をついた。
「このクソガキが……!」
くそっ!
これだけでは足りない。
奴が視力を取り戻す前に倒さなければならない。
歯を食いしばる。
魔力が体を駆け巡った。
『肉体強化[ボディ・エンチャント]』!
熱の波が筋肉を通り抜けた。
極めて単純な魔法だ。
だが、一時的に基礎的な身体能力を倍増させてくれる。
今の私にあるのはこれだけだ。
「うおおおおおっ!」
全身全霊の力を込め、衛兵の兜めがけて渾身の拳を叩き込んだ。
ドオオオオン!!
金属の衝突音が洞窟じゅうに響き渡った。
兜が目に見えてへこんだ。
男の目がグルグルと回る。
よろめきながら左右に揺れた。
「きょ……きさま……」
そしてそのまま前のめりに地面へと崩れ落ちた。
シン――。
静寂。
私は数秒間立ち尽くしていた。
息を切らせながら。
まばたきしながら。
立ち上がるのを待った。
何も起きない。
「ぼく……勝ったの?」
まさにその時、かすかなうめき声が聞こえた。
「んぅ……」
首を巡らせた。
少女が意識を取り戻し始めていた。
青い目がゆっくりと開く。
彼女は私を見た。
気絶した衛兵を見た。
もう一度私を見た。
一瞬、これで全部うまくいくだろうと思った。
だが、彼女は肺いっぱいに息を吸い込んだ。
「きゃあああああっ――!!」




