第63話 〜初荷〜
九月の第一週、月曜日の朝。
目が覚めて、枕元の懐中時計を、握った。
温かい。
久しぶりだった。
先週、丸一週間、冷たいままで、何も来なかった。
諦めかけていた今朝に、温度が、戻っていた。
映像が、来た。
大井競馬。第十一レース。ナイター。
ダート1,600メートル。
四番が、最終直線で、外から差し切る映像。
二着が二番。三着が八番。
でも、映像は、また、ぼやけていた。
以前の、輪郭がくっきりした映像と、明らかに違う。
番号は、なんとか読める。でも、馬の毛色や、騎手の動きまでは、見えない。
*(戻ってきた。けど、これは、もう、以前の時計じゃない)*
時計を、しばらく、握っていた。
体温と、時計の温度が、混じり合って、わからなくなっていった。
*(賭ける額は、いつもの半分にしよう。映像が、ぼやけている時は、それが、ルールだ)*
時計を、テーブルの上に、置いた。
翠色の蓋が、朝の光を、淡く、受けていた。
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九月の第一週は、田島フーズの新ライン稼働の、本格スタート週でもあった。
田島さんが、設備メーカーの紹介で、新型ラインの設置を、八月中に完了させていた。
試運転を、二週間。
九月一日から、本格稼働。
ドライフードの生産能力が、月二十トンから、月五十トンに、跳ね上がる予定だった。
そして、今週末──九月七日、土曜日。
KY Pet Foods ブランドの、シェルター向け無償フードの、初荷が、八王子の「いのちの家」に、届けられる。
その日に向けて、田島さんは、特別なロットを、組んでくれていた。
原料は、いつもの国産鶏肉と野菜。
パッケージは、KY Pet Foods 専用の、シンプルな白基調のデザイン。
西村が、提携先のデザイナーに、夏休みを返上して作ってもらったものだった。
「この袋のフードは、保護犬・保護猫のために作られています」の一文が、裏面に、印刷されていた。
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月曜日の午前。
恵比寿のオフィスで、山下と、進捗の確認をした。
「会長、土曜の初荷搬送、全員が集まれることになりました」
「全員?」
「中島様、松田様、田島様。水沢さんと藤原さんも、配信のチームで同行されます。私と西村さんも、同行いたします」
「全員、八王子に?」
「はい。中島様が、ぜひお会いしたいと。田島様も、初荷の納品先を、自分の目で見たいとおっしゃっていまして」
*(七十二歳の中島さんが、八王子まで来てくれる。六十五歳の田島さんも)*
*(人を、繋ぐということは、こういうことか)*
「ありがとう、山下」
「いえ。私は、段取りをしたまでです」
「いや、その段取りが、すごい」
山下が、ほんの少しだけ、目を細めた。
「業務上、当然のことです」
いつもの返事。
でも、その「業務上、当然のこと」を、これだけのスケールで、淡々とこなす人間は、そう、いない。
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火曜日。
大井競馬場のナイターに、行った。
朝、時計が温かかった。ただし、ぼやけていた。
映像は、四番、二番、八番。
指定席に、座って、ビールを、飲んだ。
九月の夜風が、夏の終わりの匂いを、運んでいた。
第十一レース。
3連単、4−2−8。
いつもなら、十万円を入れる。
今日は、五万円。
映像が、ぼやけているから。
レースが、始まった。
四番が、中団に控えた。
最終コーナーで、外に出した。
直線、四番の差し脚が、伸びる。
二番が、内で粘った。
八番が、外から、追い込んできた。
ゴール。
4−2−8。
払い戻し。
配当、五十八倍。
五万円が、二百九十万円に、なった。
*(当たった。映像はぼやけていたけど、結果は、合っていた)*
ビールを、もう一口、飲んだ。
夜の大井のスタンドが、夏休み明けで、少し、静かだった。
*(時計は、衰えながらも、まだ、応えてくれている。完全に止まる前に、できることを、する)*
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水曜から金曜まで、毎日、田島フーズに連絡を入れて、進捗を確認していた。
ラインは、順調に動いていた。
パッケージの印刷も、予定通り。
初荷のロットは、ドライフード犬用百袋、ドライフード猫用六十袋。
高木さんとは、藤原が窓口で、当日の段取りを詰めていた。
アンちゃんが、配信用のカメラと、サブカメラを準備していた。
西村は、メディア対応の準備をしていた。
いくつかのテレビ局と、ペット系雑誌、地方紙が、土曜の搬送日に、取材に来ることになっていた。
「会長、これ、もしかして、結構な規模になりますよ」
西村が、金曜の夕方に、嬉しそうに、言った。
「なるんじゃない?」
「水沢さんの配信予告も、もう、再生数が伸びてる。当日の同時視聴、千人を超えるかもしれない」
「すごいな」
「いや、すごいの会長だよ」
「俺じゃない。みんなだ」
「ほら、そうやって、自分の手柄にしない」
西村が、笑った。
*(西村は、いつも、俺を、押し上げてくれる)*
*(俺は、それを、ちゃんと、受け取って、隣に置いて、進む)*
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土曜日の朝。
目が覚めた。
枕元の時計を、握った。
冷たい。
でも、不思議と、不安はなかった。
今日は、ギャンブルの日じゃない。
別のことを、する日だ。
窓を、開けた。
九月の朝の空気が、入ってきた。
昨日まで、まだ夏の温度だった空気が、今朝は、少しだけ、秋の気配を、含んでいた。
*(今日、初荷だ)*
シャワーを浴びて、軽い服に、着替えた。
ジャケットも、ネクタイも、要らない。
今日は、現場の人間として、行く。
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午前九時。
吉野さんの車で、田島フーズに向かった。
常磐道を、北上する。
車内で、西村と、二人になった。
山下は、別の車で、直接、八王子に向かう手配だった。
中島と松田は、健太郎の運転で、ナカジマ精工から、現地集合。
田島さんは、田島フーズで合流。
アンちゃんと藤原は、シェルター現地で、配信機材のセッティング。
「会長」
「ん?」
「俺、最近、思うんだけどさ」
「うん」
「一年前、KY Holdings 始めた時、こんなふうになるって、想像してた?」
「全然」
「だよね。俺もしてなかった」
西村が、笑った。
「居酒屋の副店長だった俺が、社用車のレクサスに乗って、ペットフード会社の幹部として、現場に向かう。意味わかんない」
「ほんとに」
「でも、楽しいよ、今」
「俺もだよ」
車が、関東平野に、抜けた。
田植えから半年経った田んぼが、今は、稲穂の重みで、頭を、垂れていた。
*(西村は、いつも、俺の状況を、言葉にしてくれる。俺一人だと、気づかないことを)*
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午前十一時。
田島フーズに、到着。
工場の前に、トラックが、停まっていた。
二トン車。荷台に、白い段ボール箱が、整然と、積み込まれている。
箱には、KY Pet Foods のロゴが、印刷されていた。
田島さんが、工場の前で、待っていた。
いつもの作業着の上に、新しい胸章が、付いていた。
「KY Pet Foods 製造責任者 田島誠二」と、書かれていた。
「桐島さん、おはようございます。準備、整いました」
「田島さん、ありがとうございます」
「いえ。今日のために、ラインを動かしてきました」
田島さんが、トラックの荷台を、指差した。
「ドライフード犬用百袋、猫用六十袋。一袋十キロ。総量、千六百キロ」
「千六百キロ……」
「『いのちの家』の月間消費量の、約二・五ヶ月分です。一回の納品で、向こうの倉庫を、いっぱいにできます」
「すごいですね」
「うちの工場の、本気の量です。これくらい、できます」
田島さんが、笑った。
誇らしげに、見えた。
*(田島さんが、自分の工場の力を、誇りに思っている。三十年やってきた人の、本物の誇りだ)*
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八王子に、向かった。
田島フーズのトラックを、先頭に、四台の車列。
俺と西村のアルファード、山下の車、中島・松田・健太郎の車、そして藤原のミニバン。
常磐道から、外環道、関越道を経由して、八王子へ。
二時間半の道のり。
車内で、スマートフォンを、見ていた。
アンちゃんから、写真が、届いていた。
シェルターの庭で、犬たちが、走り回っている写真。
その後ろに、高木さんが、立っていた。
手を、振っている写真もあった。
*「みんな、ワクワクしてる」*
アンちゃんのメッセージ。
俺は、返した。
*「もうすぐ着く」*
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午後二時。
八王子の丘の上。
「いのちの家」に、到着。
駐車場に、車を、停めた。
トラックが、入口の前まで、ゆっくりと、進んだ。
高木さんが、門の前で、立っていた。
数人の、ボランティアらしき人たちと、一緒に。
車から、降りた。
「桐島さん、お待ちしておりました」
「高木さん、お世話になります」
「いえ。本当に、こんな日が来るなんて」
高木さんの目に、少しだけ、光が、にじんでいた。
俺は、振り返って、後ろの車から、降りてきた人たちを、見た。
西村、山下、藤原。
中島さん、松田さん、健太郎さん。
田島さん。
アンちゃん、そして配信のスタッフ二人。
全員、KY Pet Foods の名前で、繋がっている人たちだった。
「高木さん」
「はい」
「ご紹介します。みんな、田島フーズの、KY Pet Foods の、関係者です」
高木さんが、深く、頭を、下げた。
「皆さん、本当に、ありがとうございます」
中島さんが、進み出た。
「中島と申します。ナカジマ精工の、技術顧問です。今日は、田島さんに、お付き合いさせていただきました」
「田島の、田島誠二です。フードを、作っております」
「松田と申します。研究所の方を、担当しております」
高木さんが、一人ひとりと、丁寧に、握手をした。
田島さんが、トラックの荷台を、開けた。
白い段ボール箱が、整然と、並んでいた。
「高木さん。今日、お届けするのは、犬用百袋、猫用六十袋です」
「百袋……」
「月間二・五ヶ月分です。次回は、二ヶ月後、十一月の初週を予定しています。それまで、これで、足りるはずです」
高木さんが、トラックの荷台を、見つめていた。
「本当に、無償なんですか」
「ええ」
「足代も?」
「全部、こちらで」
高木さんが、しばらく、黙っていた。
それから、ゆっくりと、振り返った。
後ろに、ボランティアの女性が、数人、立っていた。
みんな、目が、赤かった。
「皆さん、お聞きの通りです。今日から、うちのフードは、全部、KY Pet Foods さんから、無償で頂きます」
ボランティアの女性が、頷いた。
涙を、押し殺すように、唇を、噛んでいた。
「これで、医療費に、回せます」
高木さんが、その人に、笑いかけた。
「目の手術が必要だった子、できますね」
「やりましょう」
高木さんが、振り返って、こちらを、見た。
「桐島さん、本当に、ありがとうございます」
「お礼を言うのは、俺の方です」
「え?」
「俺たちが、こういう事業を、立ち上げる、その口実を、高木さんが、くれたんです」
「……」
「金で買えないものを、金で買えるようにする。その方法を、高木さんが、教えてくれた」
高木さんが、目を、伏せた。
しばらく、何も言わなかった。
その後ろで、田島さんが、自分のフードを、積んだトラックを、見つめていた。
長年、自分が、作り続けてきたフード。
その袋が、今日、保護犬と保護猫の元へ、届く。
田島さんの肩が、少しだけ、震えていた。
*(俺たち全員が、今日、それぞれの理由で、感極まっている)*
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搬入作業が、始まった。
ボランティアの人たちと、ナカジマ精工の若手と、田島フーズの社員が、混じり合って、段ボール箱を、運んだ。
俺と西村も、運んだ。
山下は、いつもの仕事用の服のまま、両手で、箱を、抱えていた。
「山下、それ、重いだろ」
「業務上、当然のことです」
山下らしい返事だった。
でも、その表情は、いつもより、少しだけ、和らいでいた。
倉庫の中で、フードの袋が、積み上がっていった。
白い段ボール。「KY Pet Foods」のロゴ。
「これが、二ヶ月分か」
高木さんが、ぽつりと、つぶやいた。
「うちの十年で、こんなにたくさん、フードがある日は、なかった」
「今日から、毎月、こんな日に、なります」
「……」
「これからは、シェルターを、増やしていけるかもしれませんね」
「考えてみます」
高木さんが、笑った。
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搬入が、終わった後。
アンちゃんが、配信を、始めた。
シェルターの庭。
犬たちのいるサークルの前で。
アンちゃんが、カメラに、向かって、話していた。
「今日は、すごい日になりました。KY Pet Foods という、新しいブランドが、今日、ここに、初荷を、届けてくれたんです」
アンちゃんの後ろに、トラックと、田島フーズの人たちが、映っていた。
「私たちが、月一の特集で、応援している『いのちの家』。今日から、ここの犬と猫たちの、フードの心配が、なくなります」
犬が、アンちゃんの足元で、尻尾を、振っていた。
「KY Pet Foods は、株式会社田島フーズという、茨城県の老舗のペットフードメーカーが、作っています。田島さん、ご挨拶、お願いします」
田島さんが、画面の前に、来た。
いつものぶっきらぼうな顔で、カメラを、見ていた。
「田島フーズの、田島です。三十年、ペットフードを、作ってきました。今日、このフードが、保護犬と保護猫の元に、届けられることになって。三十年で、一番、嬉しい日です」
田島さんの声が、ほんの少し、震えていた。
「私のフードは、国産の鶏肉と、地元の野菜で、作っています。安いものでは、ありません。でも、犬と猫が、健康に、長生きできるように、考えて、作っています」
「ありがとうございます、田島さん」
アンちゃんが、続けた。
「同時視聴、すごいことになってる」
アンちゃんが、画面の数字を、確認した。
「いま、二千百人。コメント欄、すごい数」
画面の横に、コメントが、流れていた。
「すごい」「泣ける」「うちも寄付したい」「田島フーズの一般販売はないんですか」「シェルターのリスト、知りたい」。
*(広がっていく)*
*(一つの事業が、一つの場所から、広がっていく)*
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夕方の四時。
配信が、終わった。
みんなで、シェルターの庭で、コーヒーを、飲んだ。
高木さんが、紙コップで、振る舞ってくれた。
中島さんが、犬の頭を、撫でていた。
大きな黒い雑種犬。最初は警戒していたが、しばらくすると、中島さんの足元に、丸まっていた。
「中島さん、犬、好きなんですか」
俺は、聞いた。
「若い頃、一度、飼っていました。妻と二人で。亡くなってから、もう三十年です」
「そうだったんですか」
「久しぶりに、犬を、撫でました。あの時の感触を、思い出します」
中島さんが、笑った。
犬が、中島さんの手を、舐めた。
その光景を、田島さんが、横で、見ていた。
「田島さんは、犬は?」
「子供の頃、いました。柴犬です。今は、もう、いません」
「飼わないんですか」
「年が年ですから。私が先に逝ったら、可哀想だ」
「ああ」
「でも、こうして、自分のフードを、たくさんの犬や猫に届けられるなら。それで、十分です」
田島さんが、トラックの方を、見た。
空になったトラック。荷台が、空いていた。
*(田島さんの三十年が、報われている)*
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帰り際。
高木さんが、見送りに、出てきた。
「桐島さん」
「はい」
「失礼な質問でも、いいですか」
「どうぞ」
「他のシェルターにも、届けるんですか」
「ええ。順次、拡大する予定です」
「全国に、五百団体あるんです。うちみたいに、フード代に苦しんでいるところが、ほとんどです」
「わかっています」
「私、できることがあれば、お手伝いしたいです。シェルターのネットワークを、まとめる役割なら」
俺は、しばらく、高木さんを、見ていた。
「高木さん、それ、本気ですか」
「本気です」
「では、お願いします。月一の搬送が、定例化したら、次に、別の団体に、広げていきましょう。その仲介を、高木さんに、お願いしたい」
「ありがとうございます」
「お礼は、まだ、早いですよ」
高木さんが、笑った。
「桐島さん、変わった方ですね」
「よく、言われます」
「いいえ。褒めています」
高木さんが、深く、頭を、下げた。
俺たちは、車に、戻った。
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帰りの車。
西村と、二人。
日が、傾いていた。
関越道を、東京方面に、走る。
西村が、しばらく、無言だった。
信号で、車が、停まった時に、西村が、ぽつりと、言った。
「会長」
「うん」
「俺、今日、なんかちょっと、泣きそうだったわ」
「……」
「あんなボランティアの女性が、涙を、押し殺してる場面で。なんか、来た」
「俺も、来た」
「来たよね」
西村が、笑った。
「俺、こういう事業、続けていきたいよ。会長」
「ああ」
「ペットフードだけじゃなくて。もっと、いろんな分野で。世の中の、足りないところに、ちゃんと届ける事業を」
「俺も、そう思う」
「やろう」
「やろう」
車が、また、動き出した。
窓の外で、九月の夕陽が、空を、赤く、染めていた。
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夜。
タワーマンションのリビング。
今日、一日、ずっと動いていた。
体が、疲れていた。
でも、その疲れは、心地よかった。
冷蔵庫から、ビールを出して、飲んだ。
懐中時計を、テーブルの上に、置いた。
握ってみた。
冷たい。
でも、不思議と、今夜は、それが、気にならなかった。
*(時計が、衰えている。それは、事実だ)*
*(でも、今日、時計の温度に、関係なく、できることが、たくさん、あった)*
*(中島さんが、犬を撫でて、笑っていた)*
*(田島さんが、自分のフードを、トラックから降ろされていく様子を、誇らしげに、見ていた)*
*(高木さんが、ボランティアの女性に、笑いかけていた)*
*(アンちゃんが、配信で、田島さんを、紹介していた)*
*(西村が、隣で、泣きそうな顔をしていた)*
*(山下が、いつもの仕事用の服のまま、両手で、段ボール箱を、抱えていた)*
全員が、今日、それぞれの理由で、繋がっていた。
*(金で買えないものを、金で買えるようにする方法を、見つけた、と、五月に思った)*
*(今日、それが、形になった)*
窓の外、東京の夜景。
九月の夜風が、少し、涼しい。
ビールを、もう一口、飲んだ。
スマートフォンに、桑原さんから、LINEが、来ていた。
*「ニュースで、見ました。本当に、実現したんですね。おめでとうございます」*
*(桑原さんが、見ていてくれた)*
返信を、書いた。
*「ありがとうございます。今度、ふくろうで、報告させてください」*
*「ええ。来週あたり、いかがですか」*
*「行きます」*
桑原さんから、ハートのスタンプが、一つ、返ってきた。
*(桑原さんも、ちゃんと、続いている)*
ベッドに、横になった。
目を、閉じた。
外で、九月の夜が、ゆっくりと、深まっていった。
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**── 残高メモ ──**
| 項目 | 金額 |
|:--|--:|
| 大井競馬ナイター第11R(3連単4-2-8・配当58倍) | +約285万円 |
| 9月上旬 片手間収益(鮮明度低下のため少なめ) | +約60万円 |
| 個人費用(外食・タクシー等) | ▲約8万円 |
| 前話繰り越し(個人) | 約25,422万円 |
| **桐島遊馬 個人資金** | **約25,759万円** |
*時計が温かい日と冷たい日の割合が、半々程度に低下。鮮明度も低下傾向だが、今月は4-2-8で当てる。*
| 項目 | 金額 |
|:--|--:|
| FORECAST 9月月次売上(横ばい) | +約760万円 |
| 不動産賃料収入(9月分・全5物件) | +約265万円 |
| オフィス賃料・人件費等(9月分) | ▲約390万円 |
| 宮本エンジニア給与(9月分) | ▲約58万円 |
| 既存融資返済(9月分) | ▲約180万円 |
| 新規融資返済(9月分) | ▲約284万円 |
| 品川マンション不動産ローン返済(9月分) | ▲約30万円 |
| KY Pet Foods初荷搬送費用(運送・人件費等) | ▲約25万円 |
| 前話繰り越し(法人) | 約11,782万円 |
| **KY Holdings 法人口座** | **約11,840万円** |
*9月の月次キャッシュフローも安定。融資借入残高:約24,265万円。品川ローン残高:約6,904万円。*
| 項目 | 金額 |
|:--|--:|
| ギフト収入合計(事務所分10%・9月) | +約42万円 |
| 企業案件収入(事務所分30%・9月) | +約40万円 |
| 人件費・ライバーサポート等(9月分) | ▲約160万円 |
| 前話繰り越し(KY Live) | 約258万円 |
| **KY Live 法人口座** | **約180万円** |
*アンの「KY Pet Foods初荷配信」が同時視聴2,100人を記録。フォロワーが18,000人に到達。佐々木10万人到達も視野。*
| 項目 | 金額 |
|:--|--:|
| 受注加工売上(9月分) | +約430万円 |
| 大手メーカー継続取引(9月分) | +約125万円 |
| 人件費(従業員14名・社保込み) | ▲約350万円 |
| 研究費・材料費 | ▲約50万円 |
| 工場賃料・光熱費等 | ▲約80万円 |
| 前話繰り越し(ナカジマ精工) | 約4,845万円 |
| **ナカジマ精工 口座残高** | **約4,920万円** |
*月次黒字10ヶ月連続。超小型インペラ論文、無事に投稿完了。査読期間中。*
| 項目 | 金額 |
|:--|--:|
| 月間売上(9月分・既存販路) | +約2,200万円 |
| 新ライン稼働分(KY Pet Foods含む) | +約400万円 |
| 原料費・人件費等 | ▲約2,300万円 |
| 設備投資前金(ライン増設) | ▲1,750万円 |
| KYHより設備投資資金 | +1,750万円 |
| 田島顧問報酬 | ▲約50万円 |
| シェルター向け無償提供(原価分) | ▲約45万円 |
| 前話繰り越し(田島フーズ) | 約1,210万円 |
| **田島フーズ 口座残高** | **約1,415万円** |
*9月、新ライン本格稼働。月間売上が約2,600万に拡大(既存2,200万+新ライン400万)。シェルター向け無償提供は月45万を原価コストとして計上。営業利益が月約65万に改善。*
| 口座 | 残高 |
|:--|--:|
| 桐島遊馬(個人) | 約25,759万円 |
| KY Holdings(法人) | 約11,840万円 |
| KY Live | 約180万円 |
| ナカジマ精工 | 約4,920万円 |
| 田島フーズ | 約1,415万円 |
| **総資産(融資別)** | **約44,114万円** |
*融資借入残高:約24,265万円。品川ローン残高:約6,904万円。KY Pet Foods初荷、八王子「いのちの家」へ無事搬送。月一の定期搬送が確立。高木代表がシェルターネットワーク仲介役を引き受け。*




