見られてた…
カクテルは少し甘かったけど
さっぱりしていて飲みやすかった
一ノ瀬
「あの…仕事以外の話をしてもいいですか?」
仕事の話を一通りして
少し沈黙が続いた頃
一ノ瀬が口を開いた
あおい
「うん、もちろんだよ笑
何かあった?」
一ノ瀬
「いえ、実は…さっき同期と話してたって言ったけど
そいつ、花咲先輩と同じ部署なんていいなーって羨ましがってました」
(いきなり何を言い出すかと思ったら
やめてよ…恥ずかしいじゃん)
あおい
「そ、そうなんだ…はは(汗)」
一ノ瀬
「でもほんと、一緒にお仕事させてもらってまだ1ヶ月だけど
忙しいときでも嫌な顔一つせずにニコニコしてるし
誰にでも親切で優しいし…
羨ましがられてもおかしくないですよね」
あおい
「あー…」
「そんな…あまり褒めないで笑
それをいうなら一ノ瀬くんだってそうだよ?」
一ノ瀬
「いや、僕は役に立ててるなって思えると嬉しくなるというだけで…」
(そうだよね、きっと一ノ瀬くんはそうだと思う)
あおい
「でもそれ、自然にできるのすごいよ」
(私は、自然とできてるわけじゃない
そうした方がいいって思ってやってるし…
心の中ではめんどくさいなぁ…ってなってたりするし…)
一ノ瀬
「そうですか…?」
本気で不思議そうにしている
とここで
急に思いついたような顔をして
一ノ瀬
「あ、先輩、そういえば僕と先輩は同級生なんですよ?」
あおい
「え?そうなの?」
一ノ瀬
「はい、僕、院を出てるんで
入社は先輩の2年後ですけど、年は27歳なんです」
(そうなんだ、知らなかった
…いや、課長がそんなこと言ってたような気もする?)
一ノ瀬
「だからなんだっていう話なんですけど笑」
あおい
「いや、そんなことないよ
そっかあ、同い年なんだあ」
なぜかわからないが
急に親近感が湧いたあおいだった
あおい
「じゃあ今日は先輩後輩というよりも
同い年として飲もう笑」
一ノ瀬
「じゃあ…そうしましょう笑」
この後、お互いに一人暮らししてることや
最近、一ノ瀬が猫の動画にハマっているとか
あのドラマが面白かったとか
そんな話をして盛り上がった
あおい
「あー、美味しかったね
でもそろそろ帰ろうか?」
一ノ瀬
「そうですね、じゃあ出ましょう
ここは僕に払わせてください」
あおい
「え?いや、いいよ
私が出すって
それが嫌なら
もう公平に割り勘にしよ!」
一ノ瀬
「いや、僕が誘ったので今日は僕に払わせてください」
(んー…いいのかなぁ
出してもらって)
あおいは少し悩んだが
あまりにもまっすぐな笑顔で見つめるので
今日のところは奢ってもらうことにした
あおい
「じゃあ、おつかれさま、また明日ね
今日はありがとう、ご馳走様でした」
一ノ瀬
「駅まで送りますよ笑」
あおい
「いいよ、すぐそこだから…
寒いし…早くお家に帰って?
ここから近いんでしょ?」
一ノ瀬はやはり笑顔で
一ノ瀬
「じゃあ、僕は近いから先輩を駅まで送りますね」
(いや…一ノ瀬くん
ほんとどこまでも優しい人だね…)
あおい
「ありがとう
じゃあ、お言葉に甘えて」
一ノ瀬
「はい笑」
。
。
。
少しの沈黙の後、意を決したかのように一ノ瀬はあおいを見た
「あの…先輩?
言っていいのかどうかわからないんだけど」
「僕…実は
昨日、自販機のところで…」
あおい
「ぇっっっ!?」
一ノ瀬
「先輩を見かけて…」
まさか…
…あれ…のこと言ってる?
見られたくないもの見られてしまったかもしれない…




