心の声
。
。
。
そう…昨日…
ついに
心の声が漏れ出てしまった
忙しくて
お昼食べる暇もなくて
なのにみんな自分の都合ばかり押し付けてくる
もう…やってらんないっ!
いい加減にしてよっっ!
自販機の前でブツブツと…
怒りを口にしてしまったんだけど
多分、ほんとは
理不尽だと思ってたり
自分も疲れてるのに
ニコニコいい人してる自分にいちばん腹が立ってたと思う
誰もいないか
振り向いて周り確認したけど…
まさか一ノ瀬くんが見ていたなんて
一ノ瀬くん、山根係長について外回り行ってたんじゃなかった?
とか、あおいは頭の中でぐるぐると考えていたが
とにかく何を見たのか確認することにした
あおい
「あのさ、その
見たっていうのは
あれを聞いてた…んだよね?」
一ノ瀬
「はい、聞こえてしまいましたね…」
(はぁ…)大きくため息をつく
「でも、僕…なんか先輩のことかわいいなって思いました」
「あ、失礼ですね、すみません。
でも本当にそう思ったんです」
あおいはまさかのかわいい発言に耳を疑っていた
あおい
「あれをかわいいと思う人、なかなかいないと思うけど…
ぶつくさいいながら自販機でコーヒー買ってる人…」
一ノ瀬
「そうですか?
…先輩がその後周りを気にしたかと思ったら慌ててコーヒーもって走り去る姿
可愛かったけど…笑
なんか小動物が敵に見つからないように餌を抱えて走ってる感じがして…笑」
あおいは少し不貞腐れ気味に一ノ瀬をみた
一ノ瀬
「いや、からかってないですよ
ほんとにあんな一面があったんだって思ったら…ね
むしろ、こんな先輩は僕しか知らないんじゃいかと思ってちょっと嬉しかったです」
あおい
「一ノ瀬くん、変わってるよ」
一ノ瀬
「そうかな…
でも、もう僕は知ってしまったので
僕の前ではいつでもあんな先輩を見せてくれて大丈夫ですよ
二人でご飯とか食べに行けば
先輩もそういうとこ僕に見せやすくなるかもって思って…」
(…なんか、そんなこと言われたら、きゅんってなりそうになるじゃん…
…って、いかんいかん)
あおい
「それで今日誘ってくれたんだ…ありがとうね
私、ついね
いい顔しちゃうんだ
心ではね、文句言ってたり、なんか違うなーと思ってたりしてもね
そのほうが、いろいろうまくいくこと多いから…」
一ノ瀬
「そうなんですね
でもそれはそれで…いいと思います
ただ…その心の声をどこかで吐き出してください
例えば僕にとか…ねっ笑」
そういってポンっと軽くあおいの肩を叩いた
あおい
「…一ノ瀬くんってほんと、根っからの優しい人だよね笑
いい後輩くんが来てくれて嬉しいよ」
(あえて…後輩くんといっておこう)
「今日は本当にありがとう
おつかれさまでした
また明日ね…」
一ノ瀬
「こちらこそ、ありがとうございました
また明日…気をつけて帰って下さい」
(後輩くん…か)
一ノ瀬は改札を通り過ぎるあおいの背中を見つめていた
(…花咲…ぜんっぜん気付かないな…まあでも、あの頃の僕は一ノ瀬ではなかったから…
気づかないのも無理はないんだけど……)




