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ヒーロー気質

すぐに鍋がテーブルにセットされた


あおいは具材を入れながら

話し始めた


あおい

「でも、ほんと5年生以来だから気付かなかった

ごめんね

背も高くなってるし

色も白くなってるし

なんか雰囲気も優しい感じになってるし

子供の頃は

日に焼けていて、わりとヤンチャなイメージだったから」


一ノ瀬はあおいをまっすぐ見つめて微笑んだ


一ノ瀬

「そりゃー、変わるでしょ?

だって15年前?16年か…

子どもから大人になったんだから

いつまでもヤンチャではいられないよ笑」


(それはそうか…私だってあの当時からすれば変わったかもね 表向きは…だけど)


あおい

「それはそうね

変わらないのは相変わらずヒーロー気質なとこかな笑」


一ノ瀬

「何そのヒーロー気質って笑」


あおい

「いや、あの気にしないで…

でも、まさかね…

ていうか…早く教えてよ笑 もう…」


一ノ瀬

「いや、これは仕返しだから笑

でもさ、花咲ほんとみんなの噂通りで正直驚いた

子供の頃はさどっちかというと大人しくて、一人でいるイメージだったから


だから、あの日、自販機に話しかけてる花咲を見て…

もしかして

すごく頑張ってるのかなって思ったんだ」


「それと…これはもう時効だと思うから言うんだけど

僕…花咲のこと好きだったんだよ?

なんか純粋っていうか

心がきれいっていうか…そんなとこが」


(いやいや、さらっと爆弾発言でしないでよ!?

子どもの頃のこととはいえ…)


一ノ瀬は少し背筋を伸ばした


「だから…僕には心の声を吐き出していいよって言ったんだよ」



(…なるほどね……そうだったんだ

一ノ瀬くんには見えていたんだね

私の本当の姿が…)


鍋のスープが沸騰しすぎでこぼれ出そうになっていた

一ノ瀬はすぐに火を弱め


一ノ瀬

「あーっ、花咲、おたまとって」


あおい

「あ、私やるから…」


一ノ瀬

「いや、火傷するかもじゃん

いいから早くおたまとって…はやくはやく」


あおいは

昔の出来事を思い出していた


校庭の掃除をしていたときのことだ

猫が迷い込んできた


あおいがその猫を抱き抱えようとしたその時


待って!引っ掻かれるといけないから、僕に任せて!


そう言って一ノ瀬が走ってきた


一ノ瀬くん、あなたのそういうところがヒーロー気質なんだよ?

わからないかなぁ笑


一ノ瀬

「花咲、何ニヤニヤしてんの?

さ、食べよ、とってあげるからお皿貸して」


あおいは

じゃあ、お願いします

そういってお皿を一ノ瀬に渡した


あおい

「っていうかさ、今日は割り勘だよ

同級生なんだから」


一ノ瀬は一瞬

いや…僕…と言いかけて


一ノ瀬

「…わかった

じゃあ、今日は割り勘ね笑」


あおい

「と言うことで

いっぱい食べよー!」


まるで5年生の頃に戻れたような気がして

あおいは嬉しかった



店を出て

じゃあまた明日、というあおいに

また駅まで送ると言う一ノ瀬


でも今日は送ってもらうことにした


あおい

「あーー、ほんとこのお店おいしいね

予約もありがとうね

でも…びっくりした

今年のビッグニュースと言ってもいいくらいに」


一ノ瀬

「いや、まだ今年始まったばかりだよ笑

これを上回るビッグニュースがあるかもしれないじゃん笑」


あおい

「いやぁ…ないと思う笑」


一呼吸おいて

一ノ瀬はふと真顔になる


一ノ瀬

「でもさ、ほんとに

溜め込まないで僕に言っていいんだからね

もう腹立つーーっとか」

「言わないと苦しくなるよ」


あおいはその真剣な顔が 

子供の頃よりもずっと頼もしく思えた


あおい

「…ありがとう

そうするよ

じゃあ、ほんと送ってくれてありがとね

また明日!」


一ノ瀬

「うん、また明日ね

気をつけて帰って」


あおいはにこやかに手を振って改札をくぐった

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