第三棚席次表の統合済みは、食事順と休憩順と帰宅順を一つにできません
晩餐会場の裏で、温皿台の火が一度だけ細く鳴った。
まだ客席へ運ぶ前の皿ではない。夜番明けの者に渡すため、布をかぶせて残してあった薄いシチュー皿だ。その隣で、慈療院へ戻す薬粥の小鍋が湯気を失いかけている。さらに壁際の帰宅灯棚では、北門へ返す一本だけが、誰かに先に消されたように暗かった。
その三つの前へ、王宮翻訳室第三棚の紙が貼られていた。
食事順・休憩順・帰宅順、統合済み。
「統合したら、最初に冷めるのは皿です」
サラは紙ではなく、温皿台の縁に指を置いた。保守印の古い角が、皿を温める小灯の温度欄にまで押し込まれている。席に座ったかどうかだけで、食べた、休んだ、帰ったまで同じ扱いにする印だ。
「火守り予備席に座る者は、食事・休憩・帰宅を同時に完了とする。――誰がそう読みましたか」
ルドが、配膳籠を胸に抱え直した。
「俺はまだ、火を見る前に一口食べる順番を書いていません。腹が鳴ったまま本火台へ立つと、鍋の火加減を間違えます」
彼は温皿の布をめくり、自分の名ではなく、夜番明けのロウナの名を先に読み上げた。ロウナは帰宅灯を持ったまま首を振る。
「食べる順なら、わたしは二番でいい。先に薬粥を戻して。ミナが起きる時刻のほうが早い」
ネリアが小鍋の取っ手をつかみ、席次表の上に椀を置いた。紙の端が湯気で少し反った。
「これは休憩順ではありません。服薬順です。わたしが休んだことにされると、ミナの椀まで『付き添い休憩済み』で閉じられます」
リリアは差し出された代理読了欄に筆を落とさなかった。代わりに、統合欄の横へ小さく書いた。
本人が食べる順。本人が休む順。本人が帰る順。三欄に分けるまで未読。
「わたしが読めるのは、表ではありません。本人が選んだ順だけです」
その一行で、温皿台の小灯が戻った。ルドはロウナへ先の皿を渡し、次に薬粥の椀をネリアの籠へ入れた。ロウナは皿を片手に、消えかけていた帰宅灯へ火を移す。
「食べたら帰る。でも、帰ったことにしてから食べさせないで」
「ええ。帰宅灯は、あなたが門をくぐるまで完了にしません」
サラは統合済みの大きな印を青い保留札で覆った。王宮の晩餐会は、皿の温度も、薬粥の時刻も、夜番の帰り道も同じ椅子へ畳めない。
ようやく一口を飲み込んだロウナの肩が落ち、薬粥の湯気が細い線になって戻った。ルドは自分の皿を最後に取り、火守りの順番札へ「食後」と書き足す。
その時、サラは席次表の裏面に残った押し跡を見た。
旧保守印写し。晩餐会当日有効。
押された角度は、サラが返納箱へしまったはずの印と同じだった。しかも脚注には、小さくもう一行が添えられている。
帰宅順未記入者は、会場内待機として扱う。




