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賢者、再び

現れた【ゴブリン】は5体

前回のように突っ込んで来ると思い構えていたが、距離を保ったまま来なかった。

私たちの3人が跳躍で移動した場所は幅が50メトル程のでっかい部屋で五つの入口が見えた。

【ゴブリン】どもはその通路に籠ったまま、こっちを警戒している。



「ここに敵がいるのは偶然? それとも侵入がバレたのかな?」


「そ、そんなことより、逃げましょう!!! 早くーー」


「ミルシア、落ち着いてください。

それに、今逃げては背中を狙われるから逆に危険ですよ。 」


一瞬パニックになりかけたミルシアだがキリルの声ではっとした顔になった。

この聖女様、メンタルは弱いのかも。


「じゃ……。 ど、どうすれば?」

「見た感じまだ囲まれてはないようだ。 まずはこっちのシステムに強制的に介入をしてみる。

キリル、すまないが周辺の警戒を」


「うん!」

【ゴブリン】はさっきの攻撃以外は動きがない。


俺は力を使用した。

宇宙蜘蛛でやったのと同じやり方だ。

即座に体から模様が光出し、霧のような光の粒子が周辺の壁や床に浸透していった。


シェルターに籠ってる間。

キリルと俺は互いの力をうまく使えるように練習を重ねた。


二日しかなかったが成果はかなりのものだった。


今使ってる技もその成果の一つ。


よし、周辺の掌握に成功した。

後は通信網と乗っ取ってーーー。

と思いきや、この船の中央管理システムからの仕返しなのか物凄いプレッシャーと共に

ここら辺の通信網が全部だめになった。

俺が生身の人間だったなら今の接続の負荷で神経が焼き切れて死んだかも知れない。


「賢いな。浸食を恐れてここら辺全部を切り捨てた」

「失敗ってこと?」

「いや、通信を遮断されたけどこの辺の情報は手に入った。 

 だが、多分今の俺の試みではっきりと侵入がバレた」


「ええーーーーーー??!! ダメじゃないですか?

ばらしてどうするんですか?」


うっ、確かに俺が迂闊だったがこの聖女、自分は黙って見てた割には遠慮なく批判してくる。


「いいえ、遅かれ早かれバレるのは時間の問題でした。 もしかすると【ゴブリン】の報告が先に届いたかも知れない。 シュン、あいつらは生体兵器って言ってたよね?」


「ああ、しかもこいつらは前回の敵さんとはちょっと毛色が違う」


そうだ。こいつらは適当な何かを投擲したんじゃなく、手斧を投げ込んで来た。

即席で考えた飛び道具ではなく、ちゃんとした武器を使うなら脅威度は比較にならないほど跳ね上がる。

厄介だ。こいつらは多分強化型の【ホブゴブリン】だ。

外見と力のスペックは大差ないが、知能が全然違う。

下手するとこいつらはこの船で働いているクール(乗務員)の可能性まである。


「シュン、どうする?」

「そうだな。 得た情報だと我らの現在位置はここら辺みたいだ。 

えっとミルシアさん? どうだろう。 道案内出来そう?」


途中で邪魔されたので全体図までは出せないが短編の情報と推測を加えた立体映像をミルシアの前に

展開させた。


「うわーー。 えっと、≪アラクネ≫様の話ですとーーー」


見るからに立体映像が複雑すぎて迷っているようだ。通路などもよく分からない部分が多い。


困惑しているミルシアにキリルが助け舟を出した。


「取り合えず、方向は≪アラクネ≫からもらったあの機械で何とかわかるじゃない?

それで移動して見るのはどう?

行き止まりになったりしたらまだ周辺を再スキャンするとかして…」

「!! わ、わたしも同意見ですわ。 それで行きましょう!」


うん、この女に道案内は期待しない方がいいな。

まず、キリルのいう通りに移動しよう。

≪アラクネ≫の話が本当ならあまり時間がないかも知れない。


よし、ここはあれを使おう。


「キリル、人形作戦で行こう」


「あれを使うのね。 でも大丈夫かな?」


「絶対とは言えないけど大丈夫だろう」


俺はポケットから小さなコアーを出して床に投げた。


「目覚めの時間だよ」


コアーがブルっと震え出したかも思うと光と共に周辺の床が熱で溶けた板チョコのようになりはじめた。


そしてその中から生物の手のような物が現れる。

次に頭、同体、足


姿を現したそれは全長4メトルくらいの巨人だった。

しかし、体は今だ形成中なのか全身から少しずつ余分の質量が落ちて行き

最終的にはキリルが乗るパワードスーツより若干大き目の3メトルくらいの大きさになった。


見た目はお世辞にもいいとは言えない。

雰囲気的には物語に出て来るビックプットかな。

周辺の機材を寄せ集めて作った即席だしまあいいかな。

機材なしでも今の俺だと作れちゃうんだけどあれは酷く消耗するから今は温存だ。


「俺が作った戦闘ドローン1号、いやコアーに賢者を使ったから≪アナンシ≫と呼ぶべきかな」


『こんどは、戦闘ドローンですか、まったく使い方が荒いですよ!!

私は最高のAIで情報収集やハッキングが専門でーーーー』


「いいから、敵を打ち砕け!!!」


『うわあああああー体が勝手にーーーーーーーーーーーーーー』

巨人は敵の突進していく。


賢者≪アナンシ≫

前回の戦いで俺の体に勝手に吸収され、また復元されたあれは今も役立ってくれている。


「頑張れ」


キリルを危険な盾役に使うわけにはいかんしな。


『だから、私は戦闘は専門外ですってーー!!!』


と言いながら【ゴブリン】に近づいてゆく≪アナンシ≫。


次の瞬間には【ゴブリン】の投擲の的になり、またまく間に頭と胴体に深々と斧や槍が突き刺さった。

まだ、装甲の強度がたりないのかな。

あの攻撃、人ならいや下手なパワードスーツでも貫通していたな。


危ない危ない。

防戦だった前回の戦いとはわけが違う。

今回はこっちから敵の根城に攻め入る分、危険度が増す。

≪アナンシ≫()はやっぱり大事だ。


『うわ、突き刺さってる!! 刺さってるよ!! 痛いーーーーー痛ーーー』


「なにを馬鹿なことを痛覚神経など作ってもないぞ?」


『体ではなく心が痛いんです!! 

私のような賢者と称えらる程に優れた演算能力を持ち、知の極致を探求するため産み落とされた存在にこんな野蛮な素体としての任務など!!!!』


「賢者は商品名じゃなかったか?

わかった。わかった。

次はこんな不格好な素体じゃなく綺麗な人間の素体を与えてやるから」


『それはーーー 絶対ですよ!!!!』


やかて【ホブゴブリン】との距離を縮めた≪アナンシ≫はパンチ攻撃で軽くやつらを薙ぎ払った。

パワーは申し分ないようだ。


2体程が避けきれず倒されると残りの奴らは素早く逃げていった。

追跡の必要なないだろう。


よし、これで進められる。


「方向はこっちです!」


ミルシアが≪アラクネ≫からもらった機械を見ながら声を出した。


この先、【ホブゴブリン】程度なら問題ないだろうが

さて、何が待っているのかな。




お読みいただきありがとうございます。


これで本格的な探索が始まります。

新たな敵も登場する予定ですが、戦闘はちょっと味気ないものになるかも知れません。

主人公は狡い絡め手が好きですので。


批判、ご指摘、評価

して頂けるとありがたいです。

よろしくお願い致します。


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