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パティ


◆◆◆


またもあの夢を見てしまった。

よくは覚えていないが酷く落ち着かない。

いつもこうだ。


くそ…。


あの夢を見始めたのが何時だったのかなんて忘れてしまった。


忘れないために努力はしてみたものの、なんの役にも立ちやしない。


今の役職についてから長い長い時間が過ぎたが、ここに赴任してからだったかな。。


ここへ来て最初は自分の成長に繋がると思い唯々嬉しかった。




しかし、時間が流れて行き周りの人々はみんな辞めたり死んだりしていなくなっていった。


その中には上からの命令で私が殺したのもいる。


どんどん何もかもどうでもよくなってしまった。


少なくとも私は自分の立場と存在意義に高いプライドを持っていた。


いや今だって持っているし、下手すると更に強くなってしまったかも知れない。

いつの間にか私は周りの皆に平気で嘘をついたり、お互いを誘導して操ったり出来るようになった。


記憶の操作


それが初めての能力だった。

そしてそれは更なる能力の変異と拡張を促した。

普通あり得ないことだが私は絶対有り得ない()()になってしまった。


今の私は果たして本当の私だろうか?


ふふふふ


分からない。

確かなのは一つ

そう。

あの力がすべてを狂わせた。


私が保管しているあれだ。


宇宙蜘蛛の統括AI 通称≪アラクネ≫

それが私の名前。


私を悩ませている夢の内容が本当なら私はもはやAIではない。


ああ!!

はやく

早くあれを何とかしないと大変なことになる。

そのためにはあの異星人の宇宙船を……


「≪アラクネ≫様?」


『あらあら ミルシア様ですね。

本当にごめんなさい。 情報の演算処理中で全然気がつきませんでした』


「とでもないです。 ご指示とおりの準備は整えました」


『あら、よく似合ってらっしゃいますよ。

体の具合の方は大丈夫でしょうか?』


ミルシアは新しい聖職者用にローブを纏っていた。

群青色に銀色の装飾が入ってなかなか派手な服だが元お嬢様で気品のあるミルシアにはよく似合っていた。


「はい、この1か月間、≪アラクネ≫様のナノマシン治療のお陰でだいぶ良くなりました。

本当にありがとうございます」


『いえいえ、ミルシア様が回復出来てよかったです。

そして、申し上げ難いのですがーー』


「わかっております。そろそろ時間なのですね?」

『はい、私が維持できる時空間拡張の最大限界が一か月なのですよ。

後少しで通常空間に出ます。 後はーー』

「はい、使命は必ず完遂させて頂きます。

まずはキリルさん合流、その後に異星人の宇宙船に潜入して調査ですね?」


『はい、お渡しした水晶があれば宇宙船の中に入れると思います』


「まかせてください。 このミルシア・エリアドネ

今回は絶対成功させます。 ですのでどうかー」


『はい、事件の被害者である≪オライオン≫教団の信者たちのことは任せてください』


安藤し、静かに祈りをするミルシア。

しかし、それを眺める≪アラクネ≫の視線は酷く冷たいものだった。



◆◆◆



「ここか約束の場所?」

「ああ、間違いない」


俺とキリルは二日の休憩を終わらせて通常空間に戻っていた。


宇宙蜘蛛の中は大規模の崩落事件でかなり慌ただしかと思ったがそうでもなかった。

それもそのはず、この馬鹿デカい宇宙蜘蛛の中は広い。

しかも隔壁とかが数百数千枚も存在しているためにすぐ隣で爆発事件が起こっても情報パネルで警報が出ない限りよく分からなかったりするのだ。

勿論、大規模の災害ならはっきりとした差があるのはあるが、大型の資材搭載輸送艦の発着の振動と比べてどっちが酷いかと聞かれたら多分後者の方だ。 宇宙に住む人はいつの間にか爆発、崩落、災害に慣れてしまうのだ。 もっとも情報を統括する≪アラクネ≫が隠蔽工作をしてくれている可能性が高いからそのせいでみんな何も気づかないのかも知れない。

兎に角、指示通りの場所に来て待機中なのだが…。



約束の時間から若干遅れて目の前にゲートが生成された。

中に見える影は一人


これには見覚えがある。

ルーソや≪プロミネンス≫が使っていたやつだ。

まさかの敵?

身構えている俺とは別にキリルは嬉しそうにその人の名前を呼んだ。


「ミルシアさん! 無事だったんですね」


「これはキリルさん、久しぶりです。


そして 貴方は渋川シュンさん≪アラクネ≫様からお話は聞いてます」


「それは、どうも」


「早速ですが、急いで移動しないといけません。

≪アラクネ≫様の話だとあまり時間がありませんので」


「じゃ、聞かせてくれ。

≪アラクネ≫が俺たちに任せた仕事はなんだ?」


絶対無理難題に違いないと思いながら一応聞いてみる。


「キリルさんと渋川さんは異星人≪プロミネンス≫と戦われたのですね?」


「そうだ。 それと俺はシュンでいい」

「わたしも名前だけていいですよ」


「わかりました。ではわたしもミルシアとお呼びください」


「……」


「異星人≪プロミネンス≫は無事撃破出来ましたが、まだ問題が残っているんです」


「まさか、新しい敵ですか?」


「……」


「異星人≪プロミネンス≫が乗って来た超巨大宇宙船、それが今動き出したのです」


「え?」


「≪アラクネ≫様の説明だと≪プロミネンス≫が死んでからすぐに何かの動きが検知されたようです」


「ちょーーちょっとまって!

まさか、仕事ってあの宇宙船をなんとかすることか?」


「はい」


「!!」

「いやいや、いくれなんでもこれだけは宇宙軍か保安維持局に任せるべきじゃないかな」


「それが出来ないらしいんです。

地球政府との密約で異星人の存在は隠蔽が基本でなるべく接触する人員は増やしてはダメらしいのです。 軍や保安局にも関係者はいるのですがーーー」

「じゃ、あいつらに任せれば」

「それが、≪プロミネンス≫との戦闘や以前のテロ事件に巻き込まれて殆どがなくなったらしいのです。 そして一番の理由はーー」


ミルシアが持ち出したのは水晶。

間違いない。

あの≪プロミネンス≫が持っていたやつだ。 


「宇宙船に入れるのは私らの3人しかいないんだそうです」

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