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チャンス

聞き間違いじゃなかったら服を脱がしてくれと聞こえた。


やばい!! これは一体!!!! 


とか5秒くらいは興奮してしまった。

しかし、キリルの表情はあまりにも無邪気で

シャワールームと書いてあるドアを見ている。


くそ、これはチャンスなんかじゃない。罠だ。


俺は馬鹿だけど間抜けでは無い。

二つにどんな差があるのかよく分からない点で馬鹿なのは確定なのだが…。


あれだ、手を怪我してるから服が脱げないんだね。


分かってますとも。

決してあれな目的での誘いとかじゃない。

ここで勘違いして押し倒したりしたら、即ゲームオーバー。


俺は極力失礼にならないように視線を逸らしながら服を脱ぐのを手伝った。

予測通り一人ではうまく動けなかったらしい。

ついでにシャワー室のドアも開けて温水が出るように調整してやった。



「あ……ありがとうーー」


「おう!、俺はタオルとか備品を探しておくよ」

(やべえ、勘違いしてたら即レイプ犯になる処だった。暴走しなくてよかった)


しかし、キリルは半分程脱げたスーツの姿のまま、シャワールームに入る途中で立止まった。


「……あの」

「なんだ? なんか他に必要な物でもあるのか?」


「……」

「うん?」


「な、何もしないの?」


え・!?

マジで?

しても良かったのか?


「私ね。前から考えてたんだ。 シュンにもう一回あったら絶対恩返ししようって。

でも、金も力も無いし何もしてあげられないーー」


「いや、恩があるのは俺も一緒でー」


「でも、シュン、私の胸は無茶苦茶見てた」


「うーぐっ!」

弁明など少しも出来ないのが悲しい。


「今回の騒動で何回も死の危機にあって、その度に考えたの。

私の人生、ここで終わっていいのかな?

後悔とかないのかなって」


「……」

「これからだって多分安全とは言えない旅路になると思う。

だからね」


こんな私だけど………。


シュンさえ良かったら私の体好きにしてもいいよ」


「!!」


「い、言っておくけど私、ビッチとかじゃないからー」


恥ずかしそうに宣言するキリル。

色気溢れる、そのたっぷりとした胸を隠しながら顔を赤らめる姿は反則だ。


しかし


見えているんだな。

足が笑っていて無理してるのが丸わかりだ。

自分を好きにしていいよって言葉が決定打だった。


彼女も不安で仕方がないんだ。

俺との同行を拒める立場にない彼女。

元々、一人で出来るだけ目立たず、人に迷惑かけずに生きて来た彼女だ。

ずっと借りがある状態では落ち着かないんだろう。


そこで俺が自分の体に興味があったことを思い出しては目いっぱい無理をして誘っているのだ。


なんか、とても痛々しく見えるが納得もいく。 


事件に巻き込まれて濃密な時間を共有したとは言え、まだ知り合って間もないんだ。

それが、自分の意志とは関係なく同室になってしまった。


自分に拒否権は無い


とでも思ったのだろう。

ある意味とても賢い女性だ。

仮に先ほど勘違いしたまま俺が押し倒しても多分拒まなかったに違いない。

それが彼女の本心じゃなかったとしてもだ。


「……一つだけ聞かせてくれ」

「……」

「キリル・タシュケント

お前には俺が恩を売っといて代わりに体を要求する人間に見えたか?」


「え?

チー違うよ、私はそんなつもりは全然ーーー

ごめんなさい。 ただ、何も他には思いつかなくてーーー私は」


くそ、自分でも下心を見抜かれたことが結構ショックだったらしい。

大人げなく苛立ちをぶつけてしまった。


キリルは俺の質問に戸惑いを隠せずに泣き崩れてしまった。


これは俺が100パーセント悪い。


「俺こそごめん。

君に惚れていたのは事実だ」


「え!?」


俺もいきなり告白するとは思わなかった。


「けどな、恩を返す感覚で体を差し出すとかはやめてくれ。

正直、下心がないとは言えない。 でも本当に俺は君に感謝してるし惚れてるんだ。

傷ついた体で足も震えてる女を犯すとかーーー無理だ!」


「シュン…」


「俺の勘違いかも知れないけど君は今無理してる。

そうじゃなかったら俺も遠慮はしない。特にお前のような特級の巨乳の子はな」


うわーー口に出して言ったものの酷いセクハラ以外のなんでもないことに気がついた。

これ訴えられてもいいレベルだわ。


キリルは俺の話を聞いてしばらく黙っていた。


「ごめんなさい。

何かをしてあげたい気持ちばかり先走ってとんでもないことをいっちゃった。


凄い後悔してる。


シュンのいう通りちょっと無理してたみたい」


「気にするな。俺も言い過ぎたし」


「……………」


「あ、誤解しないでくれよ。 君が魅力的だと思っているけど無理やりどうにかしたいとは

絶対ーー」


「うん、信じてるよ」


そう答えたキリルはシャワールームに入ってドアを閉めた。


ううううううう。

俺はもしかすると、ものすごく愚かなことをしでかしたのではないだろうか。

ここまで魅力的な子が誘ってくるなんて、このようなチャンスが人生で二度とくるだろうか?


「シュン?」

「はーーはい!!」


いきなりルームの中のキリルから呼ばれて心臓が止まるかと思った。


「シュンのいう通りだわ。

考えて見たら私、今はとても一線を越える勇気なんてなかった。

止めてくれてありがとうね」


「はは、いいってことよ。 俺たちは死線を一緒に突破した戦友だ。 お互いを大切にしないといけないのは当たりまえだ」


実はこれ、整備士の班長がいつも言っていた言葉だ。


「それでね。 あの……」


「?」


「一線はとても無理だけどね。 


実はとても恥ずかしいけど。


相手がシュンなら、


シュンが良ければ……さ」



「ううん??」



「一緒にシャワー浴びる?」




!!!


チャンス来た!




◆◆◆


シュンと≪プロミネンス≫が戦っていた地下の空洞。


今は黒い制服をまとった調査員らと探索用にドーロンで埋め尽くされていた。


しかし、保安維持局と軍の制服は見当たらない。


全員が市長であるカーネルバイアの息のかかる部署からの支援部隊だった。


「カーネルバイア様、≪彼≫の死体の回収が終わりました。 引き続き、戦闘の痕跡を処理致します」


「ああ、よろしく頼むよ。 なんか気になるものがあったら必ず私に報告するように」


「は!!」


作業に戻る部下の後ろ姿をみながらカーネルバイアは思う。


(≪プロミネンス≫も馬鹿なまねをしてくれたな。元老院で禁止してることに夢中になったあげく

地球人などに負けてしまうとは情けない)


そう、彼もまた異星人だった。

宇宙蜘蛛の中には少なくない異星人が潜入していた。


(≪プロミネンス≫の宇宙船を早くなんとかしないといけないんだけどな。

私には手を出すなとの命令が出ているし…。

後は≪アラクネ≫様に任せるしかないか)


現在、宇宙蜘蛛のそとに隣接したままの超巨大宇宙船。

地球人の目に触れさせてはならないため、早めにそれを何とかしたい彼としては

≪アラクネ≫が次にどんな手を打つのか気になって仕方がなかった。

いつもお読みいただきありがとうございます。


今回の話はいかがだったでしょうか?

がっかりされた方もいらっしゃるかと思います。

しかし、現実でもよくある体の関係から始まる恋とか自分的には賛同しかねないので

今回はこういう展開にさせていただきました。

それはどう見ても【あやまち】の意味が強いので…


ご意見、批判、指摘

いつも楽しみにしております。


宜しければの話ではございますが評価していただけると幸いです。

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