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変異能力の真相

今までのまとめ


またもや事件に巻き込まれたシュンとキリル。

軍の追跡から逃げて傭兵ルーソ・ベルシカにも打ち勝ったが

異星人≪プロミネンス≫の登場でまたもピンチに。

仲間になることを強制する≪プロミネンス≫。

彼の狙いは聖女ミルシア。


咄嗟の機転でアイテムボックスに逃げたシュン。

時間を稼ぐために≪プロミネンス≫に事件の真相について質問するキリルとミルシア。

果たして≪プロミネンス≫から逃げられるのかな?

◆◆◆


「お前らはいつもそうだ。自分のやった過ちなどすぐ忘れてなかったことにしようとする」


≪プロミネンス≫はネチネチと人類への不満を述べていく。


(そうとう見下してるんだね。ムカつくけど今はどうしようもない)


隣を見るとミルシアも悔しいのは同じらしい。


「そんな、違うわ!、ちょっと間違っただけよ。

そしてやったのは彼女で私たちではーーーはっ!?


「ーーミルシアさん…」


「そう、それだよ。すぐ、自分は違うと否定する。 同じ種族だろうが。

そして私が殺した男は確かにお前らの仲間だろう?

一番の傑作は彼の作品だ。 居住区の天井を崩壊させるとは正気か?」


(ーーー逃げるためとは言え、さすがにあれはやりすぎだったわ)


「ごめんなさい」


「ふん、お前がやったことではないだろう? 何故謝るんだ。

それに、謝って許される程度のことなのか。

お前の種族の居住区で大規模の崩落事故を起こしても誤れば許してくれるのか?

お前らってそんなに慈悲深い種族なのか?」


(うーー、反論出来ないし、ムカつく。

こいつ一発殴ってやりたい。もちろんパワードスーツで!!!)


「まあ、そんなだから愚かな劣等種族のままなんだと思っていたよ」


「もう、いいです。

そこまで言うならあなたの種族はさぞ高潔で偉いんでしょうね」

「戦争もしないし、犯罪もない天国のような場所じゃなかったら納得しませんからね!」


「ふん、なにを言う。 戦争など、我々は既に捨てた行為の一つだ」


「じゃ、犯罪も?」


「勿論、我々の社会は完璧な調和を求め常にそれを実現させて平穏を維持している。

既に数万年の単位をだ」


「うそーーーー、まさかの本当に??」


「嘘なわけがなかろう」


(多分、あいつが私たちに注射しようとしてる物が説明通りなら、話は嘘じゃない)


しかし、キリルはわかっていた。

現に彼はキリルとミルシアを無理やり従わせようとしている。

ナノマシンの強制で無理やり調整された世界を平穏と呼べるかどうか。


人類を陰から操り、自分らは暗躍しながら欲しいものを手にいれるためには人命被害が出ても

気にも留めない。


(反吐が出るくらい人間とそっくり、いや、さらに最悪い。

差し詰め、最悪のAIと最悪の犯罪者を混合した進化型ってとこかな)


「世界が安泰ならなぜ、こんなことしてまで≪アラクネ≫を欲しがるんですか

ワープ(超時空跳躍)アイテムボックス(時空間拡張)も使えるでしょう?

そんな偉そうに威張るくらいの科学の力があるんでしょうが」



「ふん、簡単な理由だ。

我々は既にワープ(超時空跳躍)アイテムボックス(時空間拡張)も手に入れたし、

さらに技術を改良しつつある。


しかし、あくまでも科学の領域の話だ。



人にワープ(超時空跳躍)アイテムボックス(時空間拡張)の能力を与えたりは出来ない」


(確かに人に超能力を与えるって科学の領域じゃない。 まるで魔法だわ。

でもそれが本当ならーー)


≪プロミネンス≫は鋭い視線がキリルと倒れたシュンに向いた。


「女、お前とその男も変異の力を使っていたな?」


「…よくわからないんです。そもそもその変異ってなんですか?

ミルシアさんの力が≪アラクネ≫から由来したかは知らないが

私は≪アラクネ≫から何かを教えて貰ったりした記憶はありません。


変異……。


ダグラス議長の変化とも関係してるんでしょう?」


「彼は我々の協力者の一人だった。

変異の力と特異点の捜索を任せていたが、愚かにもそれを自分で使ってしまった」

変異の力とは生物の意思に反応して不可能を可能にする魔法みたいな力とだけいっておこう。

私としても不本意な曖昧な定義だが、今はこれが限界だ。


さあ、そろそろナノマシン処理を受けて貰おう」


(まずい!もう少し時間を稼が無いとだめだわ)


「あなたの話が本当なら私やミルシアさんのアイテムボックス(時空間拡張)の力はすべて

≪アラクネ≫が原因でしょうか?」


「その通りだ」


「じゃ、おかしいです。 あなたと≪アラクネ≫は敵同士って関係ですよね?

だから、市民投票システムの緊急時重要人物のアクセス権限を奪って≪アラクネ≫を強制的に手にいれようとした」


「お前とその男に邪魔されたけどな」


「じゃ、敵のハズのダグラス議長に≪アラクネ≫が変異の力を与えるのはおかしいです」


「ふん、なかなか鋭い指摘だ。 その通り、ダグラスは≪アラクネ≫経由で変異の力に覚醒したんじゃないんだ。 そもそも変異能力は必ずしも≪アラクネ≫が原因とは限らない」


「え? 意味がわかりません」


「≪アラクネ≫は我々が手に入れたいものを保管する金庫の番人だといったら理解出来るかな」


「金庫の番人…」


「この宇宙蜘蛛ごと破壊したりもっと本格的な攻撃をせず、まわりくどい工作をするのは全部そのためだ。 金庫の中身が壊れたらだめだからな。

勿論、番人をなんとかしないと中身にはありつけない

だが、番人がいても覗き穴で中の様子をちらっと見ることが出来る。

その覗穴がーーーーー」



「変異特異点ーーーーでしょう?」


「正解だ。 特異点は随分と身勝手な特性がある。 ≪アラクネ≫にも予測出来ない程にね」


「それが急に宇宙蜘蛛に現れた?」


「いや、正解は私が取り寄せたんだ。≪アラクネ≫攻略に役立つアイテムとしてな。

しかし、それをダグラスの間抜けが私欲のために使ってしまった。

私も時空間拡張領域の力に戸惑っていたせいで阻止できなかった。

まったく人類の愚行は予測が難しい」


「やはり、あの時空間拡張はあなたがやったのではないと?」


(多分、もうすこしで行けるはず!!)


「もちろん」


≪プロミネンス≫の説明が続くと思ったがそれ以上つづくことはなかった。


(まさか、時間稼ぎがバレた?!)


一瞬、彼の体が消えたかと思ったらミルシアの隣に現れた。

そしてその手はミルシアの細い腕と肩をしっかりと捕まえていた。


「時間を稼いで何かをやろうとしていたのはわかっていたよ。

正直、君の変異能力にも興味はあるしね。

しかし、時間切れだ。後はナノマシン処理後、ゆっくり吐かせて貰おう」


「ちょーーちょっとまってください!

最後のーーさっきの質問には答えてくれないんですか?」


キリルはこれ以上の抵抗は無意味だとわかっていたが最後にもう一度お願いしてみた。


結果。


≪プロミネンス≫は無言でナノマシン注射器の針をミルシアの首に近づけた。

ミルシアの次はキリルで処置が終わると2人とも≪プロミネンス≫の奴隷になってしまう。


(これで終わり? シュン!!!)





『あらあら、じゃ代わりに私がお答えしましょう』



ニコニコしながら明るく声を出したのは

噂の彼女

≪アラクネ≫の立体映像だった。


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