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【ドラゴン】VS【ドラゴン】

◆◆◆


聖女ミルシア・アリアドは目の前の光景が信じられなかった。


自分が手に入れた能力

アイテムボックス。

中にどんなものも入れられる。

どんなものを入れても状態は変化しない。


まさに魔法の力だ。 

しかし最初こそ、力を手に入れた嬉しさで一杯だったがそれは長く続かなかった。

彼女の能力は物語の魔法とは呼べない意外と現実的なものだった。

アイテムボックスの容量は無限ではなく、精々軽トラック一台分ん物が入るだけ。

ちゃんと中に物をいれると時間経過しないのは物語の魔法と同じだったけど。


生きている物は入らないし、力を使うと酷く疲れるため、長時間の使用は出来ない。


買い物とかには最適だったが、ネット注文とかドローン配達が普及してる今時

あまりにも使い道が無い。

せめて、人とか入れたり、無限収納とかが出来たらと思い

力を教えてくれた方になんとかならないか聞いてみたりもした。



答えはこうだった。


『能力の発現は人によって異なる。

そして、科学が万能ではないのと同じく、超常の力とて万能でない。

必ず限界はある。


しかし、その限界はあなた次第である』


どういう理屈化は知らないが目の前の男は自分が展開したアイテムボックスの

中に入り、何か別のものとなって現れた。

この信じがたい光景に彼女の胸の鼓動は早くなり、体が一気に熱くなるのを感じた。


彼女は知らない。

自分の背中にも奇妙な模様が光っていて、その光の強さが格段に上がってしまったことを。



◆◆◆




ゆっくりと周りを見る。


やっと帰って来た。


時空間拡張が切れたお陰で外に出たようだ。


長かった。

試行錯誤を繰り返し、自分自身を作り変える作業の連続。


自分の頭の中身までも再構築されたので自身のことさえ忘れかけていた。


特に体は自分が変わりすぎて違和感が半端じゃない。


身長も筋力も何もかもが変わってしまったせいで、なんとも落ち着かない。


以前のダグラス議長の場合も似たような感じだったのかな?


今ならちょっとわかる。


こんな気分だったんだ。


力を持つってことは。



◆◆◆



「まさか、次元マーカ(水晶)までも制御した?

その全身の光の模様!!!」


最初こそ、面食らっていたルーソ・ベルシカだっかが、それは束の間。


「あんた本当にさっきの死にぞこないなの? 見違えたわ」


ナイフと銃を使ったすぐさま連撃が入る。


やばいと思ったが、実際は体が勝手に反応してもう凄いスピードで避けてしまった。

ちょっと回避動作が大きすぎて足場だった床が凹み、まだ近くにいたミルシアは衝撃で倒れてしまった。


「きゃーー」

「ミルシアさん!」


「ふふ、まだ体のコントロールが効かないようね」


黙れ!お前だけは絶対殺してやる。

といい所だが本当に体の制御が上手くいかない。


「シュン、この女は危険よ 早く!!!逃げましょう」


キリルはやはり俺だと信じてくれるのな。

よし、まずはキリルを助けよう。


「おっと、そこまでよ。いくらあんたが早くても私の指よりは遅いでしょう?」


さすがにぶが悪いと思ったのかルーソ・ベルシカは上手く動けずにいるキリルを人質にした。


くそ、万策尽きた


と思うとても?


すぐに周辺のシステムを操作。


ここは地下の室内。


一気に全照明を落とした。


「!!!!」

「何?」


真っ暗になっても俺だけは問題なく見える。

一瞬の隙にキリルを奪い取ろうとしたが


「小癪な真似は飽きたって言ってなかった?」


ルーソ・ベルシカは上手い感じでキリルを盾にしながら俺の接近を牽制した。


キリルを後ろから抱えたまま、ハンドガンを乱射する。


いくら照明が無くても彼女にはなんの問題もないようだ。

暗視など簡単だろうし、周辺の構造も頭に全部記録されているだろう。

さすが強化人間だ。


しかし、小癪な俺が周辺になんの仕掛けもしてないとでも?


ルーソ・ベルシカが近くの壁側に身を寄せた瞬間。

壁が弾けた。

車両のエアバックのように突出するあれはキリルを盾にしていたルーソ・ベルシカの背中を直撃した。


「くっーー!!!」


あんたのいう通り小癪な真似た。少し痛いし、隙が出来るだけだ。

その隙を見逃さず接近に成功、まずキリルを奪い返えす。


「これはさっきのまでのお礼だ」


思いっきり彼女の顔面にパンチを見舞いしてやった。


「トォーーーーーーーカン」


肉の音じゃなく明らかな機械の破壊音が響く。


「おっとこれはキリルの分だ」

もろに顔面パンチをくらったルーソ・ベルシカの腕をつかみ

そのまま引きちぎった。


「きゃああああーーーーーー」


いくら機械の体でも腕や肩までの神経を無理やり破壊されるのは痛いらしい。


「キリル、大丈夫か?」

「わたしよりも、シュン? シュンでしょう?

どうしたのよ 体がー」


「おそらく変異の力で体を作り変えたのでしょうね

本当にあんたは凄いよ。

差し詰めその外見は生体兵器の【ドラゴン】でもモデルにしたんでしょうね」


キリルの質問に答えたのは意外にもルーソ・ベルシカだった。

頭部と腕を損傷でかなりのダメージを食らったのか倒れたままだ。


「キリル、傷はどうだ?」

「もうあまり痛くないよ」

笑って見せるが、かなり無理してるのは明らかだった。

俺自身の傷とか切られた腕は、体の作り変えて何とかなったけどキリルの傷はどうしようもない。


やはり、あの女許せない。

「ここは危ない。早くミルシアを連れてここから離れて」



「ふはははっはは-、もう勝ったつもり?」


ルーソ・ベルシカの下に特大のドアが形成される。

この気配には覚えがあった。

次の瞬間ドアから、のそのそと現れる巨大な怪物。

地下の部屋を埋め尽くす勢いで出たそれは、本物の【ドラゴン】だった。


地上での崩壊で生き埋めになっていたが、ルーソ・ベルシカは僅かな時間て再び呼び戻したのだ。


「さあ、私も時間稼ぎには成功したわ。【ドラゴン】と【ドラゴン】を真似た偽物さん?

どっちが強いか、やってみましょうよ」


【ドラゴン】も傷は多いが致命的なものはなく、むしろ生き埋めにされていたことで怒り狂っている。


異形のものへと変異した俺

負傷はしたが殺意はさらに強くなったルーソ・ベルシカ

怒り心頭の【ドラゴン】


まもなく、地上での戦闘とは比べられないほどの規模の激戦が

ここ地下で始まるだろう。


新しく手に入れた体のテストには丁度いい。


【ドラゴン】と 【ドラゴン】の戦い?


笑わせるな。

こっちはただの【ドラゴン】じゃないんだよ。


◆◆◆


「ミルシアさん!! 大丈夫ですか」

「ええ、何とか…、あの人はキリルさんの知り合いですか?」


「はい、シュンには今まで何度も命を助けて貰いました」


「あの奇妙な力はいったい…。 

あれって新規のパワードスーツか何かですか?」

視線の先のシュンは体のあっちこっちで複雑な模様が浮かび、発光が続いていた。

またあの模様だ。

しかも、シュンの体の周辺までも同じような模様と光が構築さえつつあった。

床、壁、天井、あらゆる物の全部をだ。


「いいえ、違うと思います。

何故かは知らないけど、とても心がざわめいて仕方がないんです」


(シュン、その力はとても危険だよ 何故気づかないの?)


キリルの心配

それは単純にシュンがルーソ・ベルシカに負けるとかじゃなかった。

根本的にこの場の戦いの勝敗とは別の次元の危険。


キリルは変わり果てたシュンをじっと見つめながら、自分の心配が杞憂で終わって欲しいと

祈るばかりだった。

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