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村人VSダイモンカケル

その場に妙な空気が流れる。

少女も彼女を追いかけてきた人たちも、急に現れて妙なことを言い出した少年に微妙な反応だ。

カンのいい数人は彼が噂のお尋ね者だとわかったらしく、衛兵を呼びに行ったのか駆け出していくのが見えた。


「……どうした。そこは俺に向かって突っかかってくるところではないのか?」


予想外に場の空気が凍り付いていることに焦ったのか、ダイモンとやらが元の流れに戻そうとしている。


「いや、だってなぁ。」

「兄さん、勘違いしてねぇか?俺らは……ッグゴォ!!」


囲んでいた男たちが経緯を説明しようとするが、あろうことか急にダイモンがそのうちの一人を殴り倒した。


「問答無用!いたいけな少女を囲んで脅すなど、どんな理由があろうと許されることではない!!」


話も聞かずに殴りかかるのは許されるのだろうか。


「や、やっちゃーん!!」

「て、てめぇよくもやっちゃんを!!」


哀れにも説明しようとしただけなのに殴り倒されたやっちゃん(?)を見て、穏便に済まそうとしていた男たちが殺気出す。

穏便に済まそうとしてたんだよね?


「くはは、本性を現したなごろつきども。いいだろう、少女は私が守ろうじゃないか。」


チラチラと赤毛の少女を見ながら対峙する男たちに宣戦布告するダイモン

当の少女はついていけずに唖然としている。

ちなみに私は出るタイミングを失って、いまだに広場を見下ろせる屋根の上で出来事をながめているままだ。


しかし、ダイモンの方はよっぽど自信があるのだろうか?

国の中だからか、本格的な武器を持っている人は少ないが、護身用のショートソードや、こん棒代わりの角材なんかを持って来ているいる人も多い。

……ほんとに穏便に済まそうとしてたんだよね!?

それに対してダイモンは見る限り素手だ。

彼はこちらに来て数日くらいしかたっていないはず。それなのにこの状況におびえている様子がない。

もしかすると彼は、かなり強力な加護をもらったんじゃないのかな?

それが彼の自信につながっているのかもしれない。

そして彼は、問答無用の言葉通り、周りを囲む男達向かって戦いをいどんんでいくのだった。





彼らが乱闘に入ってから少し時間がたった。

うん、予想通りダイモンはかなり強く、囲んでいた男たちでは歯が立たないようだ。

やっていることは、相手の攻撃をよけて殴る。それだけなんだけれど、パワーが常人離れしている。

彼に殴られた人たちは冗談みたいに吹き飛ばされる。

それを見て恐れてしまった人たちの攻撃は、腰が引けててよけるのがたやすくなってしまっている。

そこをすかさずさらに殴り飛ばす。それを繰り返すだけで男たちがみるみるやられて行ってしまう。

……動きを見る限り素人なんだけど、多分召喚されたことで身体能力に補正がかかっているんじゃないだろうか。

正直囲んでいる男たちだけだと荷が重い相手なんだろうけど、実は私もうっかりのせいで今は簡単に手を出せない。

衛兵が来るのを期待しているんだけど、今日現れるのは予想外だったのか、遠くに配置された衛兵たちはなかなか現れなかった。

私がまごまごしている間に、ダイモンは囲んでいる男たちを全員殴り倒してしまった。


「くくく、やはり最初に出てくるごろつきなど、この程度か。」


まずいな、このままでは衛兵が来る前に逃げられてしまうかもしれない。

私が相変わらず屋根の上でまごついていると、ダイモンが倒れた男の一人に近づいて行った。

……?何をするつもりだろう

ダイモンはおもむろに落ちていたショートソードを手にとってつぶやく。


「やはり、異世界では人を殺せるかどうかが重要なはずだ。経験はないが、こういうのは最初にしっかりとこなすべきイベントのはずだな。」


!?

今なんて言った?

ダイモンは片手に持ったショートソードを倒れている男に振り上げる。

マズい 私はとっさに腰にさしていた忍者刀の巻き紐をほどいて端を握ったまま、ダイモンと男の間めがけて投げつける。


「なに!!」


飛んでくる忍者刀(鞘付き)に気が付いたダイモンが、叩き落そうと腕を振るう。


スカ、ごちん!!


……が、ふるった腕は空を薙いで忍者刀は見事に彼の頭にぶつかった。

正直はじかれると思っていたので予想外だった。そういえば動き自体は素人っぽいんだったな。

忍者刀はそのままくるくる空を舞った後、少し離れた地面に突き立った。

そこはたまたま私が飛び降りようとしていた場所だったので、思わずその刀の上に着地する。

なんか、この構図って……


相手にとどめを刺そうとした瞬間に妨害し、突き立った武器の上に着地する仮面にフードの相手。

なんというか、


「く、なるほど、序盤の中ボスがここで登場ってわけか。」


鞘の金具がいい感じに入ってしまったのか、頭から少し血を流しながら私の方をにらむダイモン。

……うん、私もそんな感じだったと思う。狙ってはないけれど。

さっきまで振り下ろそうとしていたショートソードをこちらに向けて、ダイモンが私に話しかけてくる。


「貴様がこのチンピラどものリーダーだな?いいだろう。貴様も俺が退治してやろう」


リーダーじゃないよ?

なんていってもこの相手は聞かない気がする。

しょうがないんだけど、相手をするしかないかな。


さっき見ていた限りでは、彼はそこまで強い相手じゃない。

いつもの私なら問題なく勝てるだろう。

……ただ、私は今回、買い物だけをするつもりで家を出てきている。

そのために持ってきたのはポーチが一つとコート、それに『見せる』ためのこの忍者刀だけ、

ナイフのホルスターが付いたベルトや、爆弾なんかをしまっているポーチは宿の部屋の中。

さらにこの人数の中で精霊魔法はさすがに使えない。

つまり、いま私がつかえる武器は、この使い慣れない忍者刀一本。

だから衛兵が来るまで手を出したくなかったのに。

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