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魔獣の集落

もういくつか閑話を書く予定だったのですが、なぜか全く筆が進まなくなったので繰り上げて本編更新

姉たちとか、ロンドさん関係の話も書いてみる予定だったけど。それはまた今度に。

新キャラの話も予定ではあったけどね。

あといい加減いつかの本の内容書かないとと思ったので冒頭に。

神が人々を救う前、まだ人類と魔獣が血で血を洗うような争いが続いていたころ。

絶望に沈みかけていた人類の中で、それでも生き残るための手段を自力で見つけた者たちがいた。


至高種と呼ばれる6種族だ。

彼らは種族の中から現れた王種と呼ばれる者たちの導きによって、それぞれの方法で生き残ることができるようになった。


魔獣の手の及ばない場所で生きることを選んだ二種

空の天翼族。

海の水鱗族。


自分たちが有利に戦える領域を作り出せた二種

森の精霊属。

夜闇の闇族


種として魔獣を圧倒できる力を手に入れた二種

谷の竜人族

島の鬼族


これら六種を神々が驚嘆を込めて、至高種と呼んだらしい。


ただ、これら至高種や、神々に保護された人類以外にも、とある種族がこの世界で文明を築いている。


魔族


彼らは生き残るために魔獣を取り込んだ一族と、逆に魔獣でありながら人族とともにあることを選んだ者たちの総称だ。


魔獣を取り込んだ一族は魔人族とも呼ばれていて、見た目的には、体の一部が魔獣の特徴を継いでいる。

彼らがどのように魔獣と混ざり合うことになったのかはいまだに謎が多い。

そして、その見た目から獣人と混同されることもおおく、彼らの排斥の原因にもなっていた。

とはいえ、彼らは基本的に積極的に人類にかかわりを持とうとはせず、どうしてもというときはあくまで最小限の接触にとどめてきていた。

厄介なのはもう一方のパターンだ。

魔獣としてこの世界に現れ、魔族として魔人たちとともにあることを選んだ者たちだ。

彼らはあくまで魔獣の一部の知能の高い個体がが違う考え方を持って生き方を変えたものたちなので、はたから見ると普通の魔獣たちと区別がつかない。


要するに


「うーん、あいつらはどっちなんだろう。」


今、私たちはギルドからの依頼でとある魔獣たちの集落を偵察している。

仮面の望遠効果を生かして、私は集落を見下ろせる高台に伏せながら様子をうかがっている。

バスターさんの指導を終え、ランクが上がる条件を満たしたということで、新しくギルドカードを用意してもらっているところに、フェリウス国に所属する町の周辺に、オーガを中心にした魔獣の中でも人の形をした魔獣たちが集落を作っているという連絡が入ったのだ。

結界があるとはいっても、町の近くに魔獣たちが集落を作っているとなったら人が通行できなくなる可能性があり、早急に対処する必要があった。

カードが出来上がるまでしばらく時間があったので、その時にギルド内にいた冒険者たちが臨時に大規模なパーティーを組んでやってきたというところだ。

もちろん駆け出しである私たちがメインで動くわけではなく、バスターさんたちベテランたちがもしもの時は主になって戦うわけだけれど、戦闘になったなら一人でも戦える者たちがいたほうがいいということで、バスターさんにお墨付きをもらって私たち三人もこの作戦に参加することになった。


この依頼がうまくいったら、難度的にもしかしたらDランクへのランクアップも可能性があるらしい。

そうなったら念願の国家間の移動許可がもらえる。

私は張り切ってこの作戦に参加していた。


とはいっても、今眼下に広がっている魔獣の集落、ひょっとしたら魔族として人族と敵対する意思のない者たちの可能性がある。

もしそうなった場合、下手に攻撃して魔族との間に軋轢ができるのはまずいらしい。

基本的に町の近くに集落を構えてきているあちら側が気を使う必要があるのだろうが、いくら魔族として敵対する気がなかったとしても結界を越えられない彼らは町に連絡を入れる手段が限られているので何とも言えない感じだ。

その場合はこちらからコンタクトをとるしかないんだけど、彼らがただの魔獣だった場合は普通に襲ってくる。

そのための斥候として今回の作戦なんだけど……


改めて集落を見てみる。

集落の中にいるのはオーガ5、オーク10に、ゴブリン多数に……あれはトロルが2、いや3匹かな?

全員なにかしらの武装をしている。オーガはゴブリンを集めて格闘技の訓練みたいなことまでしていた。

ゴブリン単体なら間違いなく魔獣なんだけど、知能がある魔族が力で従えている場合があるってきいたからなぁ。

もしくは人由来の魔族がいたなら全員魔族認定できるんだけどなぁ。

見る限りは魔獣種しかいないからわからない。

集落には木で組まれたテントのような家がいくつかあった。

配置を覚えながら高台から身を引いて、仲間が待っている場所まで気配を消しながら戻る。



「戻りました。」


「!!っうおおぅ。びっくりした。」

私が拠点に戻って見張りに立っていたベテランさんに声をかけるとものすごい驚かれた。

いや、気配隠していたとはいえ見張りなんだから気が付かないとまずいでしょ。

そのままパーティーが待機している天幕へ入る。

中にはバスターさんはじめ、ベテラン冒険者が10人ほどと、その他冒険者が8にんいた。

その中にはもちろんジャステア君とマリンさんがいる。


「無事に戻ったかシラユキ。すまんな、なんせ急造のパーティーだったもんだから斥候できるやつがそろってなくてな。駆け出しにあぶねえことさせちまった。」


バスターさんが申し訳なさそうに私に言ってくる。


「気にしないでいいですよ。それよりも、偵察しただけではどっちなのかはわからなかったですね。」


そうして私は偵察してきた内容を全員に伝える。


「オーガに、トロールか……」


ベテランさんの一人が苦い顔でつぶやいた。

その二種はベテランでも一対一では危険な相手だ。

オーガは地球でみた仁王像みたいな外見の筋肉隆々なみためで、さらに人並みの知能を持っている厄介な相手だ。

トロールは知能は低く、単体ではゴブリンと同様間違いなく魔獣認定される種だ。

力がとんでもなく強いので、その辺の木を引っこ抜いてこん棒のように振り回すことができる。

正直そんな攻撃を食らったらひとたまりもないだろう。


「シラユキ、その村に畑とか、家畜を囲う柵とかはあったか?」


バスターさんが確認してきたが、それらしいものはなかったはずだ。

否定しておく。


「ううん。そういえばどれも武装していましたね。

オーガに至ってはゴブリンに戦い方を教えてましたよ。」


「……これは魔獣で間違いないかもしれねぇな。」


彼らは町に直接攻め込めないとはいえ、町に至る道を通る人たちまで結界は守ってくれない。

それを襲われるとまずい。

私たちは戦闘することを覚悟して拠点を引き払った。





「うう。だいじょうぶかな。そんなにいっぱいいるなんて。」


マリンさんが不安そうにうなだれながらつぶやいている。

私たちは今、隊列を組んで集落へ向かっている。

先頭にはベテランが集まっていて、私たちは後ろからついていっている。


「落ち着け。僕たちはあくまで控えだ。前線はベテランの冒険者がきっちりとめてくれる。」

ジャステア君はそういいながら腰に下げたクロスボウを取り出す。

私が錬金術で付与したもので、狙いがつけやすく飛距離も長くなっている。

あれからいくつかジャステア君に頼まれていろいろ付与しては売っている。

おかげで結構儲かってアイテムポーチを増やすことができた。

今腰には三つのポーチがくっついている。

これの中には私の秘密兵器が入っている。 フフフ。


集落のある場所が近づいてきたので、後衛職や駆け出したちは村を囲むように潜伏しながら移動する。

私たちが移動したのを確認してからバスターさんたち前衛組が村の正面へ向かい、声を張って叫ぶ。


「ここの住人に確認したい!!あなた方はわれらに害する者たちか!!」


しばらく集落からは反応がなかった。

訪れた静寂に潜伏している私たちも緊張が走る。


「ギャギャギャ!!」


ようやく集落の中から反応があったが、出てきた魔獣たちは手に武器を持っていて、完全に戦闘モードだった。

知能の高いオーガやオークも共通語を理解している様子はない。


「やはり魔獣かよ。全員!戦闘開始だ!!」


バスターさんが盾とこん棒を構える。

同時に隠れていた後衛組が矢や魔法で攻撃を加える。

私たちはまだ待機だ。


正面の前衛組に突っ込もうとしていたゴブリンたちは、横からの攻撃になすすべなく撃ち抜かれていく。

先にそちらを処理しようにも前衛組が盾で抑えにかかっているのでなかなか狭い道の中身動きができない。

まごまごしている間に遠距離からの攻撃でゴブリンたちはみるみる数を減らしていく。


後ろにいるオーガはとりあえず前衛を無視して後衛組をどうにかするつもりのようだ。

オークとトロールを前衛に向かわせ、自分たちはこちらに向かってくる。


「う!このオーガ、割と考えてやがる!!」


さすがにトロールをけしかけられては前衛組もその場に張り付け続けることは難しい。

適切に対処するために抑えを解いて広がってトロールたちを囲む。


前衛の抑えを抜けたゴブリンとオーガが後衛の隠れている方へとむかってくる。

後衛組も魔法や弓で対処するが、ゴブリンが持つ板切れを盾にされてなかなか効果が出ない。


「よし。いまだ!俺たちも攻撃を仕掛けるぞ!!」


そのタイミングで控えていた私たち低ランクチームが攻撃を始める。

後衛組とは全く違う方向に隠れていたために、オーガたちは私たちの攻撃に挟まれることになる。


私も持ってきていた弓で正確にゴブリンたちを撃ち抜いていくのだが。


「はーはははっ!!オラオラオラ!!」


ジャステア君がノリノリだ。

彼の持つ石弓はドドドドドッとすさまじい勢いで矢を打ち出している。

明らかにおかしな連射だけど、私が、材料費は持つと言ってくれたジャステア君の言葉に、自重なしでいろいろ付与しまくったために結構とんでもない性能になっていることが原因だ。

アイテムポーチを応用して作ってもらった矢の装填システムのおかげで矢切れの心配もしばらくない。


一方マリンさんの方もえげつない。


「いけ!ファイアーリボン」


本から帯状の炎が飛び出してゴブリンたちをなめるように焼いていく。

この二人の活躍でゴブリンたちのほとんどはたおせたんじゃないかな。

いや、私も打ち漏らしたゴブリンを処理したりして役に立ってるよ?


しかし、さすがというべきか、オーガはこちらからの攻撃を巧みによけ、五匹ともが生き残っている。

そしてこちらをにらみつけて、五匹のうちの三匹がこちらに向かってきた。


今の状況的に、一番人数の多いのはここだからこっちに多めに人数を割いてきているようだ。

しかしこっちにいるのは低ランクばかり、これは少しまずいかな。

あまりの迫力に、ジャステア君たちも含めてみんなが及び腰になっている。

このままだとおびえて逃げ出し始めるかもしれない。そうなったら各個撃破されるかもしれない。

まずい状況を見て私の切り札を一つを使うことにした。


狙うは一番前のオーガ。

私はこちらに向かってくるオーガに向かって、ポーチから取り出した細長い瓶を取り出して投げつける。


バキン ばちゅん!


「!? ガアッ」


うまく当たって割れた瓶からは液体が飛び出し、空気に触れたその液体は発砲して膨らむ。

それは先頭を走ってきていたオーガの体を包み込み、高い粘性を発生させる。

そしてそのまま倒れこんだオーガは、地面にくっついてネバネバで動けなくなる。


「やった!トリモチ爆弾成功しました。」


実は実戦で使うのは初めてだったので、うまくいって一安心。

後ろからは、おお、と感心した声が聞こえる。

でもまだ油断はできない。

後に引きがまだこちらに向かってきている。


「ジャステア君!!ボクが一匹ひきつけておくから、その間にもう一匹の方みんなでどうにかしておいてください!」

「ええ!?おい、シラユキ!」


私は腰から長めのナイフを二本抜き、こちらに向かってくるオーガ向かって走り出した。

オーガもこちらを認識して一匹が私を迎撃するために進行方向をずらしてくる。

私とオーガがまさに激突するかといった瞬間。

予想以上に鋭い拳が私向かって突き出される。


「っっぶない!!」


とっさに突きを飛び上がって躱す。そのまま伸びきった腕の上に手をつき、オーガの頭を超えるように宙返り。

飛び越えたついでにオーガの後頭部に蹴りをくれてやりながら着地する。


たたらを踏んでよろけるオーガは、そのままこちらを振り返る。

腕からはは手をついたときについでに切りつけておいた傷跡から血が流れていた。

表情が歪んでいて、どうやら予想外の反撃に怒りでわれを忘れているようだ。

あ、青筋浮いてる。


「ゴォ……ッアアアアアア!!」

「ひゃぁ!怒ってますねぇ」


とりあえずこいつはこちらにひきつけることに成功したみたいだ。

念のためにもう一方の様子を横目に見ると、低ランク組がジャステア君を中心に連携して抑えることに成功している。

いくら強敵とはいえ、八人いる彼らなら倒すことはできるだろう。


ゴゥ!!


「っと、ボクもこいつをどうにかしないと。」


勢いよく振り下ろされた剣をよける。

それと同時にこっそり握りこんでいた砂を顔めがけて投げつける。

ふいに飛んできた砂を避けられずに、目つぶしは成功した。

オーガは顔を真っ赤にしながらこちらに対して喚き散らす。


「オオオ、ゴッ!ゴゴゥ!」

「もしかして卑怯者とか言われてますかね?」


砂をぬぐわれないうちに剣の死角に入って切りつける。


「ッアアアアオ!!」

「こっちは命がけなんですよ。卑怯とか気にしている場合じゃないんです。」


がむしゃらに振りぬかれた剣を余裕をもってしゃがんで躱す。


さて、今のうちに状況を確認しましょう。


前衛組はオークが四匹ほど倒せてるね。

トロールは傷だらけだけどまだ全部健在。


後衛組は撤退しながら引き撃ちで対処してるね。

問題なさそうだ。


低ランク組は変わらず。ていうかまだにらみ合ってる。


そして地面に張り付いたオーガ一匹。

こいつはもう大丈夫かな。


冒険者側には被害は今のところはないみたい。



そんなことを考えていたらがむしゃらに剣を振り回していたオーガの目が回復したようだ。


さて、実はまた決定打に困っている。

今は怒りでわれを忘れているのかむちゃくちゃな戦い方をしているけど、本来オーガに接近戦を挑むのは結構無謀らしいんだよね。

今更離れながら弓を使わせてくれるとは思わないし……


うん、切り札その二を使ってみようか。

私はナイフをいくつも投げつけながらポーチから小瓶を取り出す。

オーガはナイフを叩き落そうとしているみたいだけど、目がかすんでいるのでうまくいかず、ナイフはザクザク刺さっていく。

ようやく剣を使うのは悪手だと気が付いたのか、剣を捨ててこちらに突進を仕掛けてくる。


「……今!!」


私はカウンターのように瓶をオーガに投げつける。

投げられた小瓶はオーガの頭に吸い込まれるように


「ガアアアア!……ッ!……!?」

「あ」


いや、気合を入れようとしたのか急に吠えたオーガの口の中に入り込んでしまった。


「ありゃ、どうしよう。」


あれは割れて空気に触れないと反応始まらないんだよね。

急に口の中に何かを放り込まれて驚いたのか、オーガも突進を止めて吐き出そうとする。

私も予想外の事態にどうしようかと見守っていると、


「グゥウウ」

バリン


「あ!」


噛み砕いちゃった。

瞬間


ボフン!!


オーガの頭が吹き飛んだ。


「……あー」


切り札その二の爆弾。

本来そこまでの威力はなくて、炎と爆風でダメージを与える者だったのだけれど。


「さすがに口の中で爆発させたらねぇ。」


私の目の前には頭が下あごだけ残して吹き飛んだオーガの死体が残っていた。

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