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一方そのころほかの人たち2

閑話二つ目 お前かよ。

「セリナ!!状況はどうなってる!?」


待機場所に指定されている少し開けている窪地で俺が待機していると、セリナとアスカが偵察に行った方向から戦闘の気配がした。

作戦通りとはいえ、あの二人だけで魔獣と戦闘させるのは初めてだったので、思わずセリナに話しかけてしまう。


(心配しなくていいよ。ヒロ君はそのまま待機していてねー)


セリナから念話で連絡が帰ってきた。

どうやらうまくいっているようで安心する。あとは二人がこちらまで魔獣を群れごと誘導してくれる手はずになっている。


「ミカゲ、そっちから二人の様子は見えるか?」


俺は背の高い木の上に登っているミカゲに確認してみる。彼女は魔眼(・・ )で二人の現状を除くことができるので安全なところから今回の作戦を指揮するのが役目だった。


「もう目の前まで戻ってきてる。ヒロ!準備して!!」


おっと、俺は手に持ったままにしていた刀を構える。

こっちに来るまで刀なんて扱ったことがないので見様見真似だが、いわゆる居合のように腰だめに構える。

ただ、さや走りとかはできないのであくまで腰の横に沿わせるだけだ。

そのままミカゲの指さした方向を睨み付けていると、木々の間からまずはアスカが飛び出してきた。


「予想外に釣れたわ!!多いけど頑張りなさいよね!」


彼女は魔法で空中に作り出した足場の上をぽんぽんと飛び跳ねながら、俺の横に着地する。そして俺の少し後ろへ下がってくるりと振り向き、杖を構えて魔法を準備する。


(いっくよー!)


セリナが彼女の召喚獣である大きな四本足の獣、おそらくネコ科の何かにまたがって飛び出してくる。

その背後から大量の魔獣が群れを成して追いかけてきていた。

機動力のある彼女たち二人が、そこらじゅうを駆けまわってひっかけてきた魔獣たちだ。


「ただいまー」


念話ではない彼女の声が聞こえる。こんな状況だというのにどこか気の抜けるような声で思わず脱力しそうになった。

気合を入れなおし、構えていた刀と視界に映る魔獣たちに意識を集中する。


「いくぞ!!」


俺の合図とともにセリナが召喚獣とともに上に飛び上がる。

これで彼女たちが巻き込まれることはないだろう。

俺はできるだけ多くの魔獣を巻き込める軌道で視界に線を引くイメージを思い浮かべる。


「断っっ空!!」


そしてできるだけそのイメージの中の線をなぞるように、腰だめに構えていた刀を振りぬいた。

その瞬間、俺に与えられた女神の加護、断空が発動。


ズッ!!


まるで目の前の景色が俺の振りぬいたラインを境にズレ(・・ )たかのように、目の前の魔獣たちが

まとめて半分になった。


「うはぁ!!大成功だよー」


セリナが感心したように声を上げた。


「まだ残ってるんだから気を抜かない!!」


アスカがそんなセリナを注意しながら魔法を発動。杖から火炎放射のように火が噴き出し、仲間の死体を乗り越えてきた魔獣たちを焼く。

セリナも気合を入れなおし、召喚獣にまたがったまま魔獣に突撃していく。

たまに不意を突いて襲い掛かる魔獣も、木の上にいるミカゲが魔法銃で狙撃してくれるので安心して戦えている。

俺も刀を構えなおそうとして、断空の反動で刃がボロボロになっている刀に気が付いてそれを手放し、腰にさしていたもう一本の刀を抜いて魔獣どもへ切りかかった。




「ふう、とりあえず今回はこんなところかな。」


魔獣を一掃し、俺たちは国へ帰る準備を始める。

国から渡されている魔獣の影響を表す水晶の色も、このあたりの魔獣を狩り始めた時に比べると、だいぶ薄くなってきていた。

このあたりが浄化されるのも時間の問題だろう。


この一年で俺たちはだいぶ魔獣たちとの戦闘にも慣れ、この程度の魔獣たちなら油断しなければ不覚を取るということはない。


「……もう一年にもなるんだな。」

「?どうしたの ひろ。」


ミカゲが俺のつぶやきに反応して声をかけてくる。


「いや、俺たちがこっちにやってきてそれくらい経ったはずだなって思ってさ。」

「確かにそうだよねー」

「もうそんなになるの?早いわね。」


そのあたりを警戒していたセリナとアスカも会話に入ってきた。


そう、俺たちが女神メルセデスに召喚されてから一年ほど経っている。

バス事故で命を失ったと知らされたときはあまりのことに絶望しかかったが、異世界へ行けると聞いた時は正直わくわくした。

しかも俺と仲のいい四人と、そのうちの一人イハナの弟妹も一緒だったから、全く知らない世界へいくことになっても心細さはあまり感じずに済んだ。

もしかしたら自分が物語の主人公のようになれるんじゃないかと期待し、これからの大冒険(予定)に期待もしていたのだけれど……


今イハナとナツキの二人は俺たちとともにはいない。

召喚の際、彼女らの妹のユキが、女神曰く神々の邪魔をしようとしている何者かの妨害によって行方不明になってしまった。

俺たちはその後、神国メルセデスの戦士として召喚されたのだが、特にイハナの取り乱し方が尋常ではなかった。

あの姉弟は妹に対して過保護なところがあったが、その理由がユキの病気にあったことをその時初めて彼女たちの口から聞いた。

命にかかわる病気を患っていたユキに対する二人の心配は尋常ではなく、異世界へ転生したことで病気は解消されたとはいえ、それでも二人にとってユキが行方不明だという事実はとんでもなく重いことだったようだ。


神国メルセデスで、俺たちを召喚した王族が俺たちに頼んだのは国の周辺の浄化だった。

魔獣を倒し続けることで、その土地は浄化され、女神が人の住めるように結界を張ることができるようになるらしい。

この国に限らず、すべての国がこれを繰り返して自国の土地を増やしているらしい。

とはいっても、王族もそれほど多くのことを俺たちにやってほしいわけではなく、せいぜい町を一つ増やせるほどの土地を開放できればいいかな、くらいの気持ちらしい。

戦士の召喚は結構頻繁に行われているらしい。別に俺たちが全部やる必要はないとかんがえられているそうで、とりあえずの浄化を終えたら自由にふるまってもらって構わないとか。

これにはかつて、戦士に無理強いしようとして、神の怒りを買った上に戦士からも手ひどい攻撃を受けた国があったらしいことが原因だ。それ以来できるだけ戦士に無茶なことは頼まないような不文律が出来ているそうだ。


そうして俺たちに魔獣の駆除の依頼が任されたのだが、イハナたち姉弟はユキの捜索を優先したがった。

しかし、メルセデスの王族たちでは、どこにいるのかわからないユキを探すには情報網がなかった。

この世界では貿易以外で国のつながりがあまりなく、王家にユキのことを頼むのはあまり現実的ではなかったのだ。

そこで彼女たちが眼をつけたのは”冒険者ギルド”と”聖女協会”

これらの組織は、基本的にどの国にも存在し、さらにそれぞれの独自のネットワークを持っている。

これを利用すればユキがどこに飛ばされたのだとしても探しやすいと考えた二人は、国の静止を振り切り、聖女協会へ所属してしまった。

しかし、この聖女協会という組織、あまりいい噂を聞かない。


聖女協会

宗教組織だが、各国にあるそれぞれの主神をたたえる”教会”とは違う”協会”

もともとは、ある一人の英雄的な女性の聖魔導士をしたって生まれた組織だったらしいが、聖女を慕う人が集まる中、性根の腐った人間が入り込んで腐敗していったらしい。

聖女の名のもとに、と信者に金品を差し出させたり、聖魔法の適性のある子供を拉致同然に囲い込み、治療魔法を独占し、治療院で大金を吹っかけたりといったあくどい行動が目立っていき、最後には心優しい聖女を言いくるめ、進行を集めるために無茶な力の使わせ方をさせて聖女をを使いつぶしてしまったらしい。


さらに近年、肉体魔法という新たな魔術が発見され、医療術という元の世界の外科医療を魔法で行えるような技術が発達。聖魔術による治療院に頼らずともけがの治療ができるようになっていった。

これに焦った聖女協会が医療術を外法だといちゃもんをつけ、肉体魔法と医療術の生みの親を迫害させた。

これらの悪行によって一気に信者が激減。近年では最盛期の影響力を失いつつあった。


聖女協会の腐った上層部は新しい旗印になる聖女を求めていた。

そこに現れた高い適正と加護によるチートのような全能治療が可能なイハナ。

協会はイハナを聖女として取り込み、信仰の回復を狙った。

対してイハナは協会を使ってユキを探すつもりらしい。

もちろんイハナも協会の黒い噂のことは知っている。

だからナツキがイハナのナイト役としてついている。


イハナは意思を秘めた目で、なんとしてでもユキを見つけ出すと宣言して俺たちから離れていった。

俺たちもとりあえず今の場所が浄化できれば、冒険者ギルドに入り、そちらからユキを探すように頼まれている。

とはいっても、すでに登録自体はしている。

女神の神託で伝えられたことによると、ユキには高い魔法の適正と、一年限定だが強力な成長補正の加護がかかっているらしいので、うまくいけば強力な魔法使いとして名声が広がっているかもしれないと聞いたが、一年たった今でもそのような人物の情報がはいってくることはなかった。

もしかしたらすでに……ともおもったが、もしもユキに何かあるならメルセデスにユキへ与えた加護の力が返ってくるのでわかるはずらしい。

それがないということはまだユキは生きているはず。


「もっと楽しく冒険とかできると思ってたんだけどなぁ。」


思わず俺はため息をついた。

あの妨害さえなかったら、俺たちは今のように離れ離れになるようなこともなく、この世界で楽しく過ごせていたはずだ。

もちろん魔獣と戦う必要はあるが、俺たちがこうやって戦えているように、異世界の戦士に与えられている加護は強力。


俺の断空は、一日に回数制限があるものの、大量の魔獣を一度に倒すことができる強力な力だ。

生まれ変わったこの体は勇聖族とか言う高い身体能力を持つ種族のもので、ほかの種族と比べても頭一つ飛び出るような力を持っている。


俺と一緒に行動してくれている三人も、当然女神からもらった加護をもって、頑張って魔獣を倒してくれている。


アスカはマナムーブとか言う加護をもらったらしい。

同意を得た相手と、魔力を自由にやり取りできる上に、魔力の操作が抜群にうまくなるらしい。

さらに刻印族という魔法に優れた種族に転生。

完全に魔法に特化しているので、当然魔法使いとして訓練している。

本来魔法を覚えるためには基本だけでも数年かかると言われているらしいが、魔力操作がうまいためか、かなりのスピードで一人前の魔法使いと呼べる実力を身に着けている。

そういえば体のどこかに刻印があるらしいので、どこにあるのか聞いてみたら、顔を真っ赤にして怒られた。

しかしそのあと、


「でも……どうしても見たいっていうんなら……」


とかもじもじしながら言ってきて、思わずドキッとしてしまった。

もちろん俺はへたれてしまって……うん、この話はもういいか。


セリナは念話の加護をもらっている。

遠くの人ともパスさえつなげば念話ができるといった能力だけど、実はこの世界には電話に似たものがすでに存在していて、役に立たない力をもらってしまったんじゃないかと彼女は最初落ち込んでいた。

しかしこの力は、人以外とも会話ができるものだった。

その力を生かして、セリナは多くの召喚獣と契約に成功。

国内でも類を見ないほどの多くの契約に成功した召喚術師になった。

もちろん念話自体も思っていたより役に立つものだった。

実は、パスをつなげている相手の心の声を一方的に盗み聞きすることが出来たりもする。

今回みたいに作戦中に全員にパスを通して連携がとりやすくするような使い方もできた。

今ではこのパーティで一番役立つ存在といってもいいかもしれない。

彼女の種族は小人族。

とはいっても彼女はあっちの世界でもちんまい感じだったので印象は変わらない。

小人族特有の気まぐれで奔放な性格ももともとの彼女にマッチしていた。

その小ささを利用して、よく召喚獣の上に乗っかっていたりもする。

年は俺と変わらないはずなのに、どこか妹っぽい雰囲気があって、思わず頭をなでてしまったり、

世話を焼いてやりたくなってしまう空気を持っている子だ。


ミカゲはマッピングの加護をもらっていた。

一度見た場所はマッピングによって記録され、さらにマップ内の生物や、特定の物をサーチできる。

種族は魔眼族

魔眼の効果はタカの目。

視界をある程度自由に飛ばすことができる。

これと加護を組み合わせるとかなり遠くまでの状況を把握することができるようになっている。

それを生かすために魔法銃という遠距離武器での狙撃を練習した。

この銃は魔力を弾にして打ち出す特殊な武器らしい。

でも魔法がある世界ではあまり重要視されていない武器だったけれど。

いつだかの異世界人がロマンを求めて開発したとかしないとか。

そんな武器だったけど、ミカゲは銃の才能があったのか、これが一番しっくりくるとのこと。

あまり口数の多いほうではないが、話をするときはこちらの目をじっと見つめてくる。

その目に心の中まで見透かされるようで、思わずどぎまぎしていたら、かわいいと言われてしまった。


ええと、何が言いたかったんだっけ。

とにかく、傾向的にどうやら加護に合わせた種族に生まれやすいらしい。

それらの力を使って、この一年俺たちはかなりの成長をすることができたと思う。


あわただしく出て行ったイハナたちが、どんな加護を得たのか確認できなかったけれど、伊花の加護に関してはすぐに噂が立ったので知ることができた。

一日に一度、どんな怪我や病気も完治させることができる力。

協会はこれを使って、各地の有力貴族を取り込みだしているらしい。

さらにイハナは、普通の回復魔法もめきめきと上達していて、今では協会内でも最高位の治療魔法師らしい。

ナツキに関してはあまり噂を聞かないが、いつもイハナのそばに寄り添っているらしい。

ただ、妙な話を聞いた。

ナツキは眼鏡をかけているらしい。

眼鏡をかけていたのはユキの方で、夏月の方は目は悪くなかったはずなんだけどなぁ。


「ねえ、ヒロ そろそろいこう」


ミカゲが声をかけてきた。

思わず考え込んでしまっていたようで、気が付くと撤収の準備は終わっていた。


「ああ、ごめんごめん。」


俺も自分の荷物をまとめてメルセデス国へ戻る準備をする。



もうすぐこの場所の浄化も終わる。

国としてはここだけじゃなくて、余裕があるのならほかの場所の浄化もしてほしそうだけれど、

悪いけど、今の状況をどうにかする方が先決だ。

とりあえずここが終わったら俺たちの方でも本格的にユキを探すことにしようということにしている。

そうだな、とりあえずまずは冒険者が集まるって言われている迷宮都市を目指すことにしよう。

ハーレムさんのハーレム要因

明日香はツンデレ系

世里奈は天然妹系

美景はクーデレ系

のイメージ

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