パーティ結成とお買い物
「とりあえず、この四人でパーティーをくむぞ。」
講習初日。
バスターさんが今後の方針を話し出す。
「俺が指導員になったから、最低ランクのお前たちでも俺が引率という形で同行すれば、国の外へ行く依頼も受けられるし討伐依頼も受けられる。
折角だから、そのあたりの依頼を実際に受けながら冒険者のノウハウを教えてやろう。」
なるほど。今日からはこれまでとは違う依頼を受けられそうだな。
「とりあえず、何ができるのか。それぞれのやりたい戦い方をおしえてくれ。」
「僕は家で剣を習っているから、剣を使っていきたいかな。」
「なるほど、ジャステアは剣か。盾は装備できるのか?」
「あまり使ったことはないが。まあ大丈夫だと思う。」
「じゃあ、ジャステアは剣と盾だな。今の装飾剣だと、さすがに魔獣には歯が立たないかもしれないから後で買い物にも行こうか。」
「ボクはナイフをよく使うよ。身軽なのも売りだね。」
「斥候向きか。感覚は鋭いほうなのか?」
「気配読むのは得意だよ。村では狩りとかよくやってたし。」
何なら魔獣とか狩ってたし。
バスターさんはしばらく考えていたみたいだけど、私は装備はそのままでいいことになった。
剣とか使えないしね。
「最後は私ですね。私は魔法を使います。」
おお。魔法使いですか。
そういえば村を出てからちゃんとした魔法使いに会ってなかった気がするね。
「なるほど。マリンは魔法使いか。どれくらいの魔法が使えるのか自分でわかるか?」
「はい。訳あって私は種類だけならかなり多くの魔法が使えますよ。」
「ふむ。それは頼もしいな。」
「ただ、魔法の準備中は無防備になりやすいので一人では冒険者できないかもってギルドで相談してたんですよ。」
そこに私たちが来たってことなんですね。
「なるほど。典型的な後衛タイプだな。」
バスターさんが私たちの顔を見回します。
「なかなかバランスのいいパーティーじゃないか。これならそこそこの魔獣なら苦労しなさそうだな。」
私たちは今、商店の立ち並ぶ通りで買い物にいそしんでいた。
「基本的に客層のかぶる店ってのは、同じ通りに密集しているもんだ。
この通りは冒険者が主な客だからな。大体の物はこの通りでそろう。」
バスターさんが私たちの引率でついて来ている。
冒険者としての基本的な道具などを教えてもらいながら装備を整えているところだ。
「まあ、普通の駆け出しはアイテム収納系の魔道具をひとまずの目標として金をためるもんだが。」
バスターさんが私の腰のポーチと、ジャステア君の持っている背負い袋を見て鼻を鳴らす。
「お前らはもう持っているみたいだな。」
「あ、あの 私まだ持ってません。」
そうだよね。マリンさん持ってないよね。
マリンさんの服装は、普通の町娘といった服に、一冊の本をベルトで固定して肩から下げていた。
ていうかカバンとか持ってないのかな。
「いや、それが普通なんだがな。ジャステアならともかく。シラユキも金持ちのせがれだったりするのか?」
「ううん。ボクの場合は村のみんなから選別でいくらかもらえたからさ……(ゴチン!!)ふぎゃ!!いっだあ~~!!」
バスターさんが私の頭に拳骨をいれる。かなり痛くて目の裏に星が見えたよ。
「もらえました……」
「お、おいバスター。さすがに拳骨はひどくないか?」
「うわぁ。いったそう!大丈夫?」
ジャステアくん!!もっと言ってやってください。
ちょっと鼻声になった私の頭をマリンさんが撫でてくれる。
ちょっとこぶになっている気がする。
「考えてみたんだが、俺も丁寧な話し方なんて教えられないからな。適当なしゃべり方するたびに殴っておいたらそのうち丁寧に話すようになるだろ。」
もうこの人と話したくないです。ひどい脳筋野郎でした。
ジャステア君に、私が提案した通りいい装備を買わせるために、この町で一番の武器屋に入る。
「ようこそいらっしゃいました。お客様、本日はどのようなものをお探しでしょうか?」
入るなりかなり丁寧な接客で出迎えられました。
さすが高級店。
ジャステア君が店員さんに希望を伝え出しましたが、付き添いの私たちは思い思いに陳列されている商品を見ていきます。
高級店だけあって魔道具化している武器などが多いみたいです。
私は錬金術を身に着けてから、ものの特性が見えるようになっているので、簡易的にだけれど鑑定の真似事ができるようになっている。
「ふむ。こんなところかな。」
ジャステア君が装備をそろえて戻ってきました。
強力な魔獣の素材を使って作られた軽鎧を身にまとって、強力そうな魔法の込められた魔剣を腰に帯びています。
「こちらは変異種の皮と希少金属を組み合わせ、わが工房の職人が仕上げた最高級の鎧となっております。
さらにこちらは剣自体に強力な魔法が込められており、たとえ剣の初心者であっても振るだけで魔獣を倒すことができるわが商店のおすすめできる最高級の魔剣です。」
お金にものを言わせてかなりの高級品を買いそろえたようです。
この後魔道具屋に行ってさらに魔道具をそろえるらしいのですが、自分で提案しておきながらなんですがずるいですね。
私もマリンさんもそこまで高いものを買いそろえることができるほどお金に余裕がないので今回はスルーします。
私もあまりエルフ制の物を連続して売って怪しまれるのは困るので、売ってお金に換えるのは最低限にとどめているんですよね。
というわけでバスターさんとジャステア君は魔道具屋へ向かいましたが、私たち二人は別行動で商店をみてまわっています。
「シラユキ君。そのお面って最近結構流行ってるやつだよね。そういうの好きなの?」
「ぅ、うん。こないだ見つけてから気に入っちゃって。ずっとつけてるんだ……です。」
今日は狐面をつけています。腕輪をつけながら顔を隠しているとたいていの人は亜人だからと思って突っ込んでこないのですが……マリンさんは普通に聞いてきます。
おしゃべり自体が好きなようで、店をのぞいているときもずっと話しかけてきました。
とりあえず適当に質問を躱しながら食料が売っている店を見に行きます。
ふと陳列されたものの中から小麦粉をながめていたのですが。
その特性に”爆発する”とかありました。
……確かに特定の条件下だとするかもしれませんが。
この特性を違うものに移せば爆弾になるかもしれません。
錬金術師にとっては小麦粉も爆薬になるんですね。
せっかくなのでいくつか小袋で買います。
「小麦粉なんて買うの?野営中は使いにくくない?」
「ええと、あるといろいろ便利なんですよ。」
錬金術については話しておいてもいいかもしれないですね。開発者のロンドは知ってほしがってたみたいだし。
さて、次は魔法薬を扱っているお店にきました。
魔法薬は魔道具と違って、効果は強力だけれど一回限りの使い切りです。
でも私なら有効的に使うことができるはずです。ふふふ。
いろいろ買って店を出ました。そろそろ集合時間ですが……
「マリンさん。何も買わないの……ですか?」
マリンさんはずっと私の買い物についてきてくれただけで、自分の物はあまり買っていなかったみたいです。
「私には普通に話してくれていいのに~
お金なくてね、魔法使いだからそこまで必要なものはないし」
早く言葉遣いを習得しないと頭がこぶだらけになっちゃいそうなので、いいと言われても丁寧な言葉遣いはやめません。
待ち合わせ場所について、しばらくお店で見た商品についてマリンさんと話していると、
バスターさんとジャステア君も戻ってきました。
昨日あんなにケンカしてたのに仲良しですね。
「ふっふっふ。今の僕はその辺の冒険者なんて目じゃないくらいに強くなってしまったかもしれない。」
わーおジャステア君が分かりやすく調子に乗っています。
「こいつ、ほんとに自重しないでよさげな魔道具ありったけ買い集めやがった。」
バスターさんがどこかげんなりとしながら買い物の時の様子を伝えてくれます。
「早速外に出て試し撃ちしてみたいな。今から行くんだろ?」
「ああ、討伐依頼と採取依頼を受けてきている。今日はこれからパーティーとしてこれらの依頼を受けるんだ。」
「今から行くと遅くならない? ぴっ!! ……なりません?」
バスターさんが腕を振り上げたので慌てて訂正します。
「折角だから今回は野営も体験してみようと思ってな。」
バスターさんが腰につけているカバンをバシバシたたきながら言います。
あの中に野宿用の装備でも入っているのでしょう。
「さて、今回の依頼は薬草採取とゴブリン退治だ。」
いかにもな初心者向けの依頼ですね。頑張りましょう。




