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異能の検証

「うう……まだくらくらする。」


私はまだ少しふらつく頭を押さえながら町を歩く。

あの後、急激に頭にわいてくる錬金術についての知識に振り回されつつも、

装飾された本を開いてみたら、それはロンドの日記だった。


要約すると、

かつて異世界から来た人間が錬金術という概念の技術を持ち込み、自らを錬金術師と名乗った。

錬金術師は錬金術を使ってありとあらゆる奇跡を起こした。

しかし錬金術師は後世に技術を継承せずに生涯を終えた。

以降、その技術を再現しようと多くの人間が様々な方法で研究をすすめた。

しかし、研究は思ったように進まず、ほとんどの人間が挫折していった。

ロンドはここから、錬金術は技術のみならず、魔法もしくは異能。ひょっとすると加護の力をもって初めて使えた技術ではないかと考えた。

ロンドは過去、始まりの錬金術師が残した記録、痕跡を徹底的に調べ上げ、さらに生涯を駆けて再現を試みた。

そして、ある日自分に異能が発現させることに成功した。

始まりの錬金術師の技術そのものではないものの、それに限りなく近い異能を開発し、様々な”力あるもの”

を作ることが可能になった。

ロンドはそれを発表しようとしたが、かつて錬金術師を目指したものの広めた悪評のせいで、それはかなわなかった。

錬金術という名に着いた悪評

それは錬金術という奇跡の力を再現するといって、有力者から研究費を受け取っておきながら、ろくに成果を出せなかったどころか、とんでもない粗悪なものを成果として渡した者たちが、数多くいたためについた

「錬金術師を名乗るものは詐欺師だ。」というものであった。

ロンドは研究成果を研究者ギルドに報告しようとしたが、ろくに評価もされずに詐欺師の誹りをうけ、

さらに証明したければ、と無茶なものを作ってくるようにと強要された。

それを作るためには普通の素材だけでは作れない。

エルフの森へ入る必要があった。

エルフに頼んだところで、他種族にはあまり心を開かないエルフが素直に取らせてくれるとは思わない。

エルフは森を荒らすものを許さない。取りに行くなら命がけになるだろう。

これが私の最後の日記になるのかもしれない。



といった内容だった。

ロンドは死を覚悟してまであの場所まで入り込み、そして死んだ後も自分の研究が心残りであそこでさまよっていたのかもしれない。

私に義眼を渡しながらも継承について何も言わなかったのは、私が子供だったことと、それ以上にエルフだったから。なのかもしれない。

自分を殺して未来にあったかもしれない夢を奪ったエルフという種族に夢を頼むことは、どうしてもできなかったのかも……

ロンドさん。あなたの作り上げたこの錬金術は、私が確かに引き継ぎました。

あなたは嫌がるかもしれませんが、どうか安らかに……




使い方はわかるけれど、実際にやってみないことにはどうなるのかわからない。

宿に戻った私は適当に拾ってきたものを並べてみる。

その中から選んだのは、石と木の棒。


「まずは石の”特性”を可視化する」


知識の通りに【異能】錬金術を使うと、石から光の帯が伸びてくる。義眼から出てきたものとよく似ているが、これが錬金術の中で一番重要なものになる。


「この帯の中から必要な”特性”を取り出す」


今回は石の”固い”という特性を選ぶ。

特性を抜き取ると、抜き取られた方の石はひび割れ、砕けてしまった。この石からはもう特性は取り出せないし、すでに石でもないものになっている。


「そして取り出した特性を、今度は木の枝に付与する。」


これでこの木の枝は、”固い”木の枝になった。

注意するのは、石から取り出したからと言って石のように固くなっているわけではないことだ。

あくまで固い[木]でしかない。


同じような木の枝をもう一つ取り出して、付与をした木の枝にたたきつけると、付与した方の固さに耐えきれず、普通の木の枝は折れてしまった。


「うん、どうやら成功したね。」


次に取り出したのは魔法薬屋で買ってきた変声薬。

これから”声を変える”という特性を取り出す。

そして買ってきたチョーカーに特性を移す。


「あーあー、うん、ちゃんと声が変わってるね。」


これによって時間制限があった薬の効果を装備をつけている間永続的に発生させることができるようになった。


「わぁ……わかっていたけれど、【異能】錬金術。かなり強力な能力だね。」


もしかしたらこの能力があれば、私の攻撃力不足を補うことができるかもしれない。


次に素材の変質と成形を試すことにした。

使うのはまたも石と、ただの布。

まずはそれぞれに変質を使う。

すると石は粘土のように、布はアルミのようになった。

つまり加工がしやすい状態に質感が変化したのだ。

そのうえで成形を行う。

石の粘土を成形を使って複雑な形に変形させる。

空洞の球体の中に小さな球体を閉じ込めたり、いくつもの輪っか状にしたものを複雑に組み合わせたり。

いくら質感が粘土のようになっているとはいえ、どんな道具があっても人の手でここまで複雑な形をきれいに作り上げることはできないだろう。


「うん、その気になれば精密機械でも作れそうだね」


ナイフ等の武器も素材さえあれば自作できそうだ。

これで投げナイフとかを無理して回収する必要はなくなりそうかな?


とはいえ、そもそもが使える武器は限られているから、今使っている武器をいくら強化したところで大した強化にはなりそうもないな。

何か新しい武器を考えないと……

いい加減そろそろストーリーを進めたいと思います。

あと、またベスターから手に入れた本の内容を入れることが出来なかった。

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