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雪と家族と バス事故と

「雪、そろそろ出るよ。」

「大丈夫、準備できてるよ。」

「まだいつものバス、間に合う時間だろ」


朝、いつもどうりに三人で家を出る。

とはいっても、この四月からのいつもどうりで、それまでは私は一人、あとから家を出るのが普通だった。


私たちが住んでいるのはここ十数年で開発されてきた新興住宅地。

ほぼ同時期に売りに出された物件は、ちょっと田舎なこともあり、手ごろな値段だったため新婚さんによく売れたらしく、このあたりの住人は、私たちと同世代の子供を持つ家庭が多かった。

この地区だけでも住んでいる子供が一斉に育ったため、小学校のクラスではかなりの割合でご近所さんが占めていた。

しかし、子供たちが小学校を卒業するにあたって、住人たちはやっと歩いていけそうな場所に中学、高校がないことに気が付いた。

よって、中学からは急きょひかれた路線を走るバスで通学する必要があった。


「こうやって雪ちゃんも一緒に行けるようになってよかったねぇ」

この人は私の姉、日向 伊花ねえちゃん(ハナねぇ)

高校一年生で、おっとりした感じの美人さんだ。

姉としてしっかりしようとしているのか、私が一緒に行くようになったくらいからやたらと私の世話を焼こうとしてきます。


「一緒ったって、ハナねぇはどうせ……」

ちょっととげとげしている兄、日向 夏月にいちゃん(ツキにぃ)

中学二年生で、姉とは年子

一時期ちょっと私たち姉妹をうっとうしがっていたけど、最近いつの間にかまた一緒にいてくれてます。

 

「ほら、雪またメガネずれてる。」

「ああ、ありがと、なんだかなれなくて。」

私は最近急に目が悪くなってしまったから、眼鏡をかけ始めたんだけどまだなれません。


そんな私たちがそろってバス停についてバスを待っていると、姉と同じ高校の制服を着た四人がそろってやってきました。


「やあ。ハナおはよう。」


その四人組の中の唯一の男性のヒロさんがハナねぇに親しげに挨拶したとたん、ツキにぃの機嫌が一気に悪くなりました。

多分私も同じような顔をしていそうです。


「お、おはよう。ヒロ君」

ハナねぇが少し照れながら挨拶を返しました。

彼はヒロ君。私たちと同じ地区に住んでいますが、端っこどうしなのであまり付き合いはなかったのですが。

姉と中学で仲良くなったらしくよく合うようになりました。


彼は別に悪い人ではありませんし、むしろイケメンな好青年なのですが、私は彼が少し苦手です。(多分ツキにぃも)

彼は女の子によくモテるタイプらしく、今も三人の女の子と一緒に登校中のようです。

女の子に囲まれていながら、誰が彼女というわけでもなく。間違いなく好意を寄せられているのにそれに気が付かない鈍感さで、しかもそれを周りから許されているという。

どうやら狙ってのことではなく、天然でやっていそうなのが腹立たしいのです。


それなんて漫画の主人公ですか。

私は心の中で彼をハーレム野郎と呼んでいます。


それだけなら別に勝手にやってろとか思っていたんですけど、どうやらハナねぇが彼のハーレムメンバーの一員になっているらしいのです。

ああ、また頭が痛くなってきました。


来たバスに全員で乗り込みます。

私はツキにぃと一緒に座りますが、ハナねぇはハーレム野郎たちと一緒に後ろの方の席にいってしまました。

私たちは学校が始まる時間に対しては、少し早めに家を出ているために、バスの中には他の学生は乗っていません。

私たちのほかには早朝散歩帰りの老夫婦が一緒に乗っているくらいです。


バスは私たちの住んでいる高台から、峠を下りて下の町に向かいます。

峠に入り、なかなか険しい道を走っているバスの中からぼんやりと外を眺めていると、


「ほら、雪頭痛いんだろ?」


ツキにぃが水筒からコップに入れたお茶を差し出してくれます。


「ありがとう……」


実は少しつらかったので、ありがたく受け取ってカバンの中に入れておいた薬を飲みます。

どうも最近急に頭痛がすることがあって、薬を飲んでいます。


「どうしたの雪、また痛いの?」


後ろにいたはずのハナねぇがわざわざ私たちのところまでやってきました。

心配性なハナねぇに苦笑しながらコップを返します。


大丈夫だと伝えようとしたそのとき、バスの前から運転手さんの声が。


「危ないっっ!!」


一瞬、走っているバスの中を歩いているハナねぇが怒られたのかと思ったけど、次の瞬間に急に体が振り回されるほどにバスが揺れました。

その直後に ドン!! と、何かにぶつかったような音。

体が浮き上がります。

バスの中で悲鳴があちこちからあがりました。

おかしなことに窓の外はになっています。


あれ?これって……バスが、落ちて……

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