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8 、HYDRA CHRYSALIS ―REBIRTH― 「終焉の先で、世界は再び生まれ変わる」  作者: Nao9999


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第7話 深海の亡霊

人は時々、


“忘れられなかった想い”だけで、

存在し続けてしまうことがある。


それが救いなのか。


呪いなのかは、

誰にも分からない。

HYDRA CHRYSALIS


REBIRTH


第7話 深海の亡霊


黒海裂界が揺れていた。


空を覆う巨大な闇。


その中心。


裂け目の奥から現れた、

黒い人影。


深海粒子で構成された身体。


背中には、

崩れかけた蒼い翼。


そして。


深海色の瞳。


玲司は動けなかった。


「……榊、悠真」


無意識に名前が漏れる。


その存在は答えない。


ただ静かに、

玲司を見下ろしている。


AQUA-7が武装を構える。


「全隊、戦闘態勢!!」


だが。


声が震えていた。


EVEの瞳も揺れている。


「――違う」


小さな声。


玲司が振り返る。


「……何が」


EVEが黒い人影を見る。


悲しそうに。


「――あれは本人ではない」


黒い人影が動く。


ゆっくり。


空間を歪めながら。


その瞬間。


都市中の海水が暴走する。


ビルの配管。


地下水。


人体内部の水分まで共鳴し始める。


「うぁぁぁっ!!」


人々が苦しみ始める。


玲司の胸も激しく脈動する。


「がっ……!」


膝をつく。


頭へノイズが流れ込む。


終焉。


孤独。


絶望。


大量の感情。


「――残響侵食」


EVEが玲司を支える。


「――精神を持っていかれる!」


黒い人影が口を開く。


ノイズ混じりの声。


『……海……』


玲司の目が揺れる。


その声。


確かに榊に似ていた。


『……還レ……』


黒海裂界が脈動する。


巨大な“目”が開く。


「――回収対象、安定化」


AQUA-7が叫ぶ。


「こいつ……終焉側に利用されてるの!?」


EVEが頷く。


「――終焉存在は、

残留因子を取り込んで学習する」


玲司の背筋が凍る。


つまり。


榊悠真の残留因子が、

黒海裂界へ取り込まれた結果。


“あれ”が生まれた。


「……ふざけんな」


玲司が立ち上がる。


怒り。


胸の奥が熱い。


「死んだ人まで利用すんのかよ」


その瞬間。


黒い人影が玲司を見る。


深海色の瞳。


一瞬だけ。


悲しそうに揺れた。


『……逃ゲロ……』


玲司が息を呑む。


「……っ!」


黒海裂界の“目”が反応する。


「――自我ノイズ確認」


次の瞬間。


黒い粒子が、

人影の身体へ突き刺さる。


『■■■■■■ッ!!』


絶叫。


空間が震える。


都市中のガラスが砕け散る。


玲司が耳を押さえる。


「やめろ!!」


黒い人影が暴走する。


崩れた蒼い翼が拡大。


空を覆うほど巨大化する。


海が浮き上がる。


津波。


都市全域へ。


AQUA-7が叫ぶ。


「防壁展開!!」


NEREID部隊が水障壁を形成。


だが。


押し切れない。


「クソッ……!」


玲司が空を見る。


暴走する蒼い翼。


どこか苦しそうな人影。


その瞬間。


玲司の中で、

榊の残響が響く。


『……止めろ』


玲司の瞳が深海色へ染まる。


「……分かった」


海が共鳴する。


深海色の粒子が玲司を包む。


未完成の星海翼が展開。


「――玲司!?」


EVEが目を見開く。


玲司が空へ飛ぶ。


一直線に。


暴走する人影へ。


「うぉぉぉぉ!!」


咆哮。


水流が加速する。


その瞬間。


黒い人影も玲司へ向かって突撃した。


蒼と黒。


二つの翼が、

夜空で激突する。


轟音。


都市が揺れる。


そして。


玲司の拳が、

黒い人影へ届いた瞬間。


大量の記憶が流れ込んだ。


白い世界。


青い星。


そして。


一人で深海へ沈んでいく、

榊悠真の後ろ姿――。


―――続く

第7話を読んでいただきありがとうございます。


ついに現れた、

“深海の亡霊”。


それは榊悠真本人ではなく、

終焉に利用された残留因子の集合体でした。


そして玲司は、

その奥に眠る榊の記憶へ触れ始めます。


REBIRTH編は、

ここからさらに深い真実へ進んでいきます。

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