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8 、HYDRA CHRYSALIS ―REBIRTH― 「終焉の先で、世界は再び生まれ変わる」  作者: Nao9999


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第6話 蒼き残響

力には、


必ず“記憶”が残る。


それがどれほど時を越えても、


誰かの願いだったなら、

完全には消えない。

HYDRA CHRYSALIS


REBIRTH


第6話 蒼き残響


黒い闇が落ちてくる。


港湾都市・蒼海区。


上空を覆う、

黒海裂界。


その中心から放たれた、

終焉の侵食。


「――回収開始」


巨大な“目”が玲司を見つめていた。


完全に。


狙われている。


「玲司!!」


AQUA-7が飛び出す。


白い装甲が加速。


浮遊ユニット全開。


超圧水刃を展開し、

黒い闇へ突撃する。


衝突。


轟音。


だが。


黒い粒子が装甲を侵食する。


「っ……!」


AQUA-7の右肩装甲が消滅。


存在そのものを削られている。


「下がれ!!」


玲司が叫ぶ。


その瞬間。


黒い闇が玲司へ到達する。


避けられない。


だが。


深海色の光が割り込む。


EVE。


蒼い翼を広げ、

玲司の前へ立つ。


「――防壁展開」


深海粒子が空間へ広がる。


巨大な水膜。


黒い闇と衝突。


空間が軋む。


「――っ!」


EVEの表情が歪む。


押されている。


玲司が目を見開く。


「なんでそこまで……!」


EVEが振り返る。


その瞳。


どこか人間らしい。


「――継承者は、

まだ失えない」


その瞬間。


黒海裂界の“目”が開く。


さらに巨大に。


「――原初残響確認」


玲司の胸が脈動する。


ドクン。


ドクン。


強い。


今までとは比べ物にならない。


「がっ……!!」


頭へ映像が流れ込む。


白い病室。


雨音。


窓際に立つ男。


榊悠真。


「……っ」


玲司が息を呑む。


榊が海を見ている。


静かに。


疲れ切った顔で。


だが。


どこか穏やかに。


『……これで終わるなら』


小さな声。


『少しはマシか』


玲司の目が揺れる。


記憶じゃない。


感情まで流れ込んでくる。


孤独。


痛み。


そして。


“託す想い”。


『……誰かに繋がればいい』


その瞬間。


玲司の胸の原初因子が発光する。


暴走的に。


「――玲司!?」


AQUA-7が振り返る。


海が揺れる。


港全体の水が浮き上がる。


「うぉぉぉぉ!!」


玲司が叫ぶ。


深海色の粒子が爆発的に拡散。


巨大な水流が、

玲司の背後で翼を形成していく。


未完成。


不安定。


だが。


確かに。


“あの形”。


AQUA-7が息を呑む。


「……星海翼」


EVEの瞳が揺れる。


「――適合率急上昇」


黒海裂界の“目”が反応する。


「――危険認定」


黒い闇が一斉に玲司へ向かう。


だが。


玲司が手を振る。


巨大水流が咆哮。


龍のように空を裂き、

黒い闇を押し返す。


初めて。


黒海裂界側が後退した。


都市中の人々が、

蒼い空を見上げる。


「あれ……」


「三年前の……」


誰もが知っていた。


記録映像。


世界を救った、

蒼き翼。


玲司の視界が滲む。


頭の中で、

榊の声が響く。


『……無理すんなよ』


玲司が苦笑する。


「今さらだろ」


その瞬間。


黒海裂界が脈動する。


巨大な裂け目の奥。


さらに深い闇。


何かが動く。


EVEの表情が変わる。


「――まずい」


AQUA-7が叫ぶ。


「全員離脱しろ!!」


玲司が空を見る。


黒い“目”の奥。


そこに。


巨大な人影が見えた。


終焉存在とは違う。


もっと“人間”に近い。


だが。


全身が黒い深海粒子で構成されている。


そして。


その顔。


玲司の心臓が止まりかける。


「……嘘だろ」


その存在は、

静かに玲司を見下ろしていた。


深海色の瞳で。


まるで。


榊悠真に似た姿で。


―――続く

第6話を読んでいただきありがとうございます。


玲司の中で、

ついに榊悠真の“残響”が動き始めました。


そして現れた、

黒海裂界の奥に存在する新たな人影。


REBIRTH編は、

継承だけではなく、

“残された存在”の真実へ近づいていきます。

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