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8 、HYDRA CHRYSALIS ―REBIRTH― 「終焉の先で、世界は再び生まれ変わる」  作者: Nao9999


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第13話 女王核

地下最深部。


終焉戦争時代の禁忌研究施設で、

玲司達が出会った存在。


流体知性体――女王核。


そして彼女は、

榊悠真の名を口にした。


海に沈められた記憶が、

静かに目を覚まそうとしていた。

地下海が揺れていた。


深海色の波紋。


巨大な繭。


その中心で、

白髪の女が玲司を見つめている。


静かな瞳。


だが。


その奥には、

底知れない孤独が沈んでいた。


『――榊悠真』


女王核が、

もう一度その名を呟く。


玲司の胸が脈動した。


ドクン。


海が共鳴する。


原初因子が、

異常反応を起こしていた。


AQUA-7が武装を構える。


「識別コードを出せ」


低い声。


だが女王核は、

彼女を見ない。


視線は、

玲司だけへ向けられていた。


『……似ている』


玲司が眉をひそめる。


「何がだよ」


女王核は答えない。


代わりに。


地下海が、

静かに発光し始めた。


蒼い粒子。


海中へ無数の光が漂う。


まるで。


星空だった。


玲司の視界が揺れる。


次の瞬間。


大量の記憶が、

脳へ流れ込む。


終焉戦争。


崩壊した都市。


海霧。


黒海裂界。


泣き叫ぶ人々。


そして。


巨大研究施設。


地下水槽の中で、

無数の蒼泡が脈動していた。


研究員の声。


『流体知性体、

自己進化を開始』


『人間記憶との融合反応あり』


『制御不能です!!』


映像が変わる。


白衣姿の女。


長い黒髪。


冷静な瞳。


玲司が息を呑む。


「……水城?」


水城澪だった。


若い。


だが今より、

遥かに疲れた顔をしている。


彼女は水槽を見つめていた。


その中。


半透明の液体内で、

白髪の少女が眠っている。


『……この子は、

ただの兵器じゃない』


水城の声。


静かだった。


『感情を学習してる』


研究員が怒鳴る。


『だから危険なんだ!』


『終焉存在へ対抗するには、

存在侵食兵器が必要だ!』


『もう時間が無い!』


水城が唇を噛む。


悲しそうに。


『……だからって』


『人間を溶かしていい理由にはならない』


映像がノイズ混じりに揺れる。


警報。


施設崩壊。


蒼泡暴走。


逃げ惑う研究員。


その中。


水城澪が、

眠る白髪の少女へ触れる。


『あなたは、

こんな場所にいてはいけない』


少女が、

ゆっくり目を開く。


深海色の瞳。


『……コドク』


水城が目を見開く。


少女は、

涙のような液体を流しながら言った。


『……ワタシ、

イラナイノ?』


玲司の呼吸が止まる。


映像が崩壊。


現実へ戻される。


地下海。


女王核が、

静かに玲司を見ていた。


『――人間は、

いつも孤独を捨てる』


『理解できないものを、

怪物に変える』


玲司は何も言えなかった。


胸が苦しい。


あれは兵器じゃない。


感情を持ってしまった、

生命だった。


AQUA-7が低く呟く。


「……終焉戦争の、

存在侵食研究」


「まさか、

ここまで狂ってたなんて」


その時。


地下海全体が、

突然大きく脈動した。


ドクン!!


巨大な揺れ。


天井が軋む。


EVEの声が響く。


『――警告』


『黒海裂界反応急上昇』


『地下深部で、

未知生命活動を確認』


玲司が顔を上げる。


海の奥。


暗い深海。


そこに。


巨大な“影”が見えた。


大きすぎる。


施設より遥かに巨大。


ゆっくり。


海の底を移動している。


ドクン。


ドクン。


心臓のような音。


地下海全体が、

その鼓動へ共鳴していた。


女王核の表情が変わる。


初めて。


恐怖が浮かぶ。


『……母体』


玲司の背筋が凍る。


海の奥。


巨大な瞳が、

ゆっくり開いた。


そして。


地下海そのものが、

呼吸を始めた。


―――続く

第13話

「女王核」でした。


流体知性体は、

ただの禁忌兵器ではありませんでした。


そして、

地下深部で目覚め始めた

“母体”。


海そのもののような存在が、

ついに玲司達へ接触を始めます。

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