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8 、HYDRA CHRYSALIS ―REBIRTH― 「終焉の先で、世界は再び生まれ変わる」  作者: Nao9999


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第11話 流体核

終焉戦争で封印された、

禁忌兵器「蒼泡」。


それは、

ただの兵器ではなかった。


海が生んだ、

“壊れた感情”だった。

ぽよっ。


静かな病室。


蒼泡が、

玲司の足元で跳ねていた。


半透明の身体。


内部を流れる、

深海色の光。


まるで小動物。


だが。


壁は溶け続けている。


音もなく。


存在そのものが、

崩壊していた。


AQUA-7の額に汗が流れる。


「動くな……!」


低い声。


だが玲司は、

蒼泡から目を離せなかった。


胸が痛む。


心臓の奥。


原初因子が、

異常共鳴していた。


ぽよっ。


蒼泡が、

玲司の靴へ触れる。


その瞬間。


玲司の脳裏へ、

大量の映像が流れ込んだ。


白い研究施設。


警報。


泣き叫ぶ研究員。


ガラス容器の中で、

増殖する蒼泡。


そして。


一人の男の声。


『……止まらない』


『もう制御できない』


映像が切り替わる。


海。


崩壊した都市。


空へ浮かぶ海水。


その中心。


黒海裂界。


そこへ向かって、

大量の蒼泡が集まっていく。


まるで。


“帰巣本能”のように。


玲司が息を呑む。


「……なんだよ、

これ……」


EVEの声が響く。


『――記録照合』


『蒼泡は、

深海粒子へ反応する』


『高適合者へ接触した場合、

記憶共鳴を起こす可能性』


玲司が蒼泡を見る。


ぽよっ。


また跳ねる。


敵意がない。


むしろ。


怯えているように見えた。


AQUA-7が叫ぶ。


「玲司!!

離れろ!!」


その瞬間。


蒼泡が、

急激に膨張した。


空気が歪む。


深海粒子濃度上昇。


警報が狂ったように鳴る。


『危険領域到達』


『存在侵食反応確認』


玲司の瞳が揺れる。


蒼泡内部。


蒼い光。


その中心に、

“人の顔”のようなものが浮かぶ。


苦しそうに。


溶けながら。


『……タスケ……』


玲司の呼吸が止まる。


「……っ!?」


AQUA-7も固まる。


「今……

喋ったの……?」


蒼泡の身体が震える。


苦しむように。


『イタ……イ……』


玲司の胸が締め付けられる。


兵器じゃない。


これは。


“誰か”だった。


EVEの声が僅かに揺れる。


『――終焉戦争記録修正』


『蒼泡内部へ、

人間意識残留反応を確認』


沈黙。


玲司が小さく呟く。


「……ふざけんな」


怒り。


静かな怒り。


「人間使って、

こんなもん作ったのかよ」


その瞬間。


病室全体が揺れた。


ゴゴゴゴ……。


天井照明が砕け散る。


AQUA-7が通信を開く。


「こちら隔離棟!

深海粒子反応が急増してる!」


『地下反応炉が暴走中!!』


『蒼泡群が増殖している!!』


玲司の顔が強張る。


「群れ……?」


次の瞬間。


隔離棟の床が、

一斉に波打った。


ぽよっ。


ぽよぽよぽよぽよ――。


大量。


数え切れない。


床。


壁。


天井。


無数の蒼泡が、

滲み出してくる。


まるで。


施設そのものが、

溶け始めていた。


AQUA-7が息を呑む。


「冗談でしょ……」


蒼泡達が、

一斉に玲司を見る。


深海色の光。


その瞬間。


玲司の脳へ、

声が流れ込む。


『……サムイ……』


『クルシイ……』


『……カエリタイ……』


大量の感情。


孤独。


痛み。


恐怖。


終焉戦争で、

兵器へ変えられた人々の残響。


玲司の瞳が震える。


海が泣いていた。


EVEが静かに呟く。


『――これは、

終焉戦争の亡霊』


『まだ終わっていない』


その時。


施設全域の照明が落ちた。


闇。


そして。


地下深くから、

巨大な脈動音が響く。


ドクン。


ドクン。


まるで。


巨大な心臓。


玲司が、

ゆっくり下を見る。


床の奥。


深海色の光。


何かいる。


蒼泡達が、

一斉に地下へ向かって震え始めた。


まるで。


“親”へ呼ばれているように。


そして。


地下から、

女の声が響く。


『――ようやく、

目覚めるのね』


玲司の瞳が見開く。


その声は。


どこか、

EVEに似ていた。


―――続く

第11話

「流体核」でした。


終焉戦争で生まれた、

禁忌兵器「蒼泡」。


ですが、

それは単なる兵器ではありませんでした。


次回、

地下深部に眠る

“流体知性体”が姿を現します。


そして、

EVEと酷似した存在の正体とは――。

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