【99話】切り札殺し(エースキラー) 1
望月姉妹抹殺計画。
その地獄の罠は、すでに昨晩から仕掛けられていた。
その夜、双子魔廻りの望月ミユキとミサキは透明になって、夜の巡回をしていた。
ふたりの年齢は22だが、外見が11歳ぐらいの少女なので、夜の巡回をするときは透明化の妖術ですがたを消しているのだ。
とある住宅地に来たときである。
「助けてぇー!」
近くにある業堕丘公園から、女性の悲鳴が聞こえてきた。
「ミユ、行くのです」
「ええ」
ふたりは現場に急行。
公園にいたのは着物を着た目鼻のない女鬼。
腕を振りあげ、二十歳ぐらいの女性に襲いかかろうとしていた。
ふたりは透明化の妖術を解くと、
「「ルミナスタッチ!」」
手と手を握って、望月ミヅキに合体変身。
無敵のバニーガールとなるや、跳び蹴りを放ち、女鬼を砂場へと吹き飛ばした。
「いまのうちに逃げて!」
「は、はい」
ミヅキに促され、女性はその場から逃走。
彼女が公園から出たのを確認して、ミヅキは筵をかけようとした。
しかし――。
(おかしい。霊力を感じない)
ミユキとミサキは玉兎と人間のあいだに生まれた半妖。
玉兎のウサミミには霊力を感知する力があるが、砂場に横たわる女鬼からは一切それが感じられないのである。
そのとき、
シュウゥゥ。
女鬼のからだがゼリーのように溶け、煙をあげて蒸発。
着物だけをのこして消滅した。
合体を解除すると、ミユキとミサキを顔をしかめ合った。
「あいつ、テラソイドね」
テラソイド(怪異もどき)は、極導たちのいる世界とはべつの世界で生みだされた人造怪異である。
「さっきまで霊力はたしかに感じられたわ」
「うゆ。でも、あれはこの世界の霊力ではないのです」
「ええ。そしてテラソイドに霊力はない」
霊力だけでなく、自我を持たないテラソイドは命令に従って動くロボットのような存在。
そのため、かつては特攻兵として戦場に投入されたこともある。
「となると、霊力の持ち主は――」
「襲われていた女性のほうね」
不安を背筋に這わせながら、ふたりは夜の闇に目を凝らすのだった。
(つづく)
【あとがき】
更新は毎日19時におこなう予定です。
本エピソードに登場したテラソイドという単語はギリシア語で怪異や怪物を意味するテラス(英:teras)と、~のような(もどき)を意味する-oidをかけあわせた造語です。
……某人造ウルトラマンと名前が似ているのは偶然です。




