【100話】切り札殺し(エースキラー) 2
翌日――。
その日もミユキとミサキはすがたを消して、夜の巡回をしていた。
きのう、女鬼をたおした業堕丘公園の前に来たとき、
「望月さ~ん」
透明なはずなのに、入口近くのベンチに座っていた女性に声をかけられた。
昨晩、助けた二十歳ぐらいの女性である。
「きのうはまんまと罠にかかっていただき、ありがとうございました」
女性が笑顔で頭をさげる。
「わたしはムラサキカガミの紫織。あなたたち同様、べつの世界から来た怪異です」
怪異であれ、人間であれ、霊力を持った者に透明化の妖術は通用しない。
紫織には、いまのふたりが半透明に見えているのだ。
「そのカガミさんが、なんの用なのです?」
「まさか特撮のスーツ流用について熱く語りに来たわけじゃないでしょ」
透明化の妖術を解くと、ふたりはルミナブレスを装着した。
「教えなさい。あなたの目的を」
「おふたりの抹殺♪」
ほほえみながら、紫織は筵をかけた。
「あなたたちは次元を超えられる特別な魔廻り。それを厄介に思ってる怪異はたくさんいます。今回の依頼もそういう怪異から受けたものなんですよ」
「なるほど。要するにあなたは暗殺者ね」
「はい。個人的には殺し屋の呼び方のほうが好きですけど」
紫織が肩をすぼめて笑った。
「ムラサキカガミは自分の目で見たものなら、どんなものにだって変身できるんです」
言いながら、紫織は少年、老婆、自転車、ショートケーキ、○○国の大統領、女性アイドルと、つぎつぎにすがたを変えていった。
「とつぜん目の前に自分と同じすがたをしたやつがあらわれて、自分を殺そうとする。そのときの相手の恐怖に歪んだ顔が好きで、わたしはずっとこの仕事をしてるんです」
そして女性アイドルから望月ミヅキへとすがたを変えた。
「あの女鬼は、わたしがつくったテラソイド。この目でミヅキを見るための囮です」
紫織が変身したミヅキ――望月紫月がウサミミを揺らす。
「ちなみにすがただけじゃなく、相手の記憶と能力もコピーできるので、こんなこともできちゃうんですよ」
紫月は錬想術で雷の槍をつくると、
「満月の雷槍!」
ふたりめがけて投げつけた。
(つづく)
【読者のみなさまへ】
このエピソードをもって、ゴクハナは100話を迎えることができました。
筆の遅い犬山がこうして投稿をつづけられたのは、日ごろからゴクハナを愛読してくださる読者のみなさまのおかげです。
なので、今回はこの場を借りて、みなさまに感謝のお礼を申しあげたいと思います。
いつもゴクハナを読んでいただき、本当にありがとうございます。これからも犬山はゴクハナのエピソードを投稿していくので、今後とも応援よろしくお願いいたします。
2026年10月12日 犬山おはぎ




