【97話】朝焼けの青炎 2
「冬輝さま、わたしを空へ」
「えっ?」
「このまま遠距離戦をつづけても勝ち目はありません。近づいて一気に決めます」
「でも相手は炎の怪異です。雪女の煌白さんじゃ――」
「わたしは好きで130℃のサウナに入る女です。ほかの雪女よりも熱さに強い自信があります」
「けど――」
「不器用なわたしでは氷の翼をつくることはできません。空へあがるには冬輝さまの力が必要です」
「…………」
「お願いです、冬輝さま。わたしに翼を授けてください」
まっすぐな目と言葉だった。
「わかりました」
冬輝は錬氷術で、氷の壁の破片を煌白の背中にあつめ、それを翼につくり変えた。
* * * * *
氷の翼はもともと背中に生えていたように皮膚になじんだ。
「いきます!」
地面を蹴りあげ、煌白は空へ舞いあがった。
「××××が!」
青鷺火が吐きだす火球を避け、一気に距離を詰める。
そして、すれちがいざまに、
「はあぁっ」
氷で固めた脛で青鷺火の首を蹴りつけた。
氷のレッグラリアートである。
「ぬぅん……」
首を蹴られて、青鷺火は失神。
白目を剥いて、地上へ墜ちていった。
* * * * *
こうして戦いはおわった。
氷の翼をはためかせ、朝焼けの光のなかに浮かぶ煌白。
そんな彼女を見ながら、冬輝は、
(空を飛びながら、レッグラリアートを決めるなんて……やっぱり煌白さんはすごい)
あらためて手先の戦闘力に感嘆するのだった。
(つづく)
【あとがき】
レッグラリアートは膝や脛で相手の首元や胸板を蹴る、非常に危険なプロレス技です。(なので、ぜったいにマネしないでください)
もっとも有名な使い手は元プロレスラーの木村健悟選手で、彼の放つそれは「稲妻レッグラリアート」と呼ばれています。




