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【96話】朝焼けの青炎 1

 

 まぶしかった。


 羨(うらや)ましかった。


 だから殺そうと思った。


 そうしないと自分が壊れてしまいそうだったから。


(悪いのはおれじゃない。輝いてるおまえらが悪いんだ)


 相手のことなんて知らないし、だれであろうと関係ない。


 焼二(しょうじ)は青炎(せいえん)をまとい、早朝の町を走るふたりに急降下した。



 *  *  *  *  *



「あぶない!!」


 手先(てさき)妖怪(ようかい)の煌(こ)白(はく)に抱きつかれ、冬(ふゆ)輝(き)はランニングの最中にもかかわらず、派手に転倒してしまった。


 その直後に、


「×××××!」


 文字にするのも憚(はばか)られるような罵詈(ばり)と熱風が頭上を通過していった。


 一瞬、冬輝は何が起きたのかわからなかった。


 しかし、


「冬輝さま、筵(むしろ)を」


 煌白の言葉で、すべてを理解した。


 自分は――いや、自分たちは襲われたのだと。



 *  *  *  *  *



 煌(こ)白(はく)はすぐに立ちあがり、朝焼けの空に目を向けた。


 自分たちを襲ったのは全長が160センチほどもある巨大な火の鳥だった。


(あれは……青鷺(あおさぎ)火(び)!)


 青鷺(あおさぎ)火(び)は青炎(せいえん)をあやつる怪鳥。


 雪(ゆき)女(おんな)である煌白の天敵と言っても過言ではない。


 そのとき、急にまわりの空気がつめたくなった。


 冬輝が筵(むしろ)をかけたのだ。


「魔廻(まわ)りかよ。魔廻(まわ)りかよ」


 空を飛びながら、青鷺(あおさぎ)火(び)がわめいた。


「×××××どもが!」


 きたない言葉とともに青鷺(あおさぎ)火(び)が青い火球を吐きだした。


 煌白は氷の壁をつくり、火球を防御。


 反撃に氷のつぶてを連射した。


 だが相手の動きがすばやく、命中させることができない。


(接近戦に持ちこまないと)


 氷の壁を再生させつつ、煌白は冬輝にこう告げた。


「冬輝さま、わたしを空へ」



(つづく)


【あとがき】


青鷺(あおさぎ)火(び)はサギのからだが夜に青白く発光する現象で、媒体によっては怪現象とも妖怪とも紹介されます。


また青鷺火は五位(ごい)の火(ひ)、五位(ごい)の光(ひかり)とも呼ばれています。

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