↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/101

【94話】星屑の決意 4

 

「49+18-13は!?」


 大きく踏みこみ、万福(まんぷく)は甲冑の兜(かぶと)めがけて小(こ)槌(づち)を降りおろした。


 それを甲冑は後方に跳んで回避。


 直後に低空タックルで反撃した。


「ひえ~」


 両足首をつかまれ、万福は転倒。


 そのままスピニング・トーホールド(回転足首固め)をかけられた。


「ギブアップ!」


 万福はすぐに降参。


 慎(しん)吾(ご)同様、10秒で模擬戦は終了した。


「おまえ、なんで算数の問題なんか出したんだよ?」


 近寄りながら、慎吾が訊(き)いた。


「まさか筋力増加の妖術か?」


「ちがいますよ。相手が問題を解いてるうちにボコッとやろうと思ったんです」


「バカ野郎。こすいこと考えやがって」


「すみません」


「だいたい甲冑はしゃべれないだろうが」


「あ、そういやそうだ」


「そもそも、おまえ、答えをわかって出したのか?」


「わかるわけないじゃないですか。口から出まかせのテキトー問題なんですから」


「なら、もし相手がテキトーな答えを言っても、正解かどうかわかんねえじゃねえか」


「言われてみれば、そうですね」


「そうですねじゃねえよ。まあいい。今度はふたりがかりで挑むぞ」


「へえ」


 その後40分ほど模擬戦をつづけたが、ふたりが勝利をつかむことは一度もなかった。


「ちょっと小便に行ってくる」


 そう言って、慎吾は母屋のほうへ行ったが、5分経っても10分経ってももどってこない。


(えらく長い小便だなぁ)


 万福は不審に思いつつも、


(ま、その分、ゆっくり休めるからいいか)


 ニコニコとお茶を飲んでいるところへ、やっと慎吾がもどってきた。


「旦那、えらく遅かったですが、大きいほうも出してたんですかい?」


「…………」


「旦那?」


「万福、甲冑をたおれないように設定しろ」


「えっ?」


「相手はだれでもいい。ただし反撃はさせるな。突っ立ってるだけにしろ」


「どうして?」


「何も聞くな。いまから、おれはこいつをたたきまくる」


 言うや否や、慎吾は錬影(れんえい)術(じゅつ)で影の竹刀(しない)をつくった。


「影輪剣(えいりんけん)じゃないんですか?」


「いまは、こっちの気分なんだ」


「気分?」


「とにかく、こいつを何があってもたおれない木偶(でく)の坊(ぼう)に設定しろ」


「わかりやした。突っ立ってるだけですが、一応あっしの動きを登録しておきますね」


 登録と設定はすぐに完了した。


「…………」


「旦那、だいじょうぶですか?」


 慎吾の表情はトイレで用を足してきたとは思えないほど険しく、むしろ何かを溜めこんでいるように見えた。


「だいじょうぶだ」


「ならいいですけど」


「けど合図するときは離れとけよ。竹刀は使い慣れてないからな」


「へえ……」


 あきらかに、いつもと様子がちがう。


 離れるときにそっと視線を下げると、慎吾は真っ赤になるほど、こぶしを強く握っていた。


「それじゃあ、はじめますよ」


「ああ」


「はじめっ!」


 その瞬間、


「うおおぉぉ」


 雄叫び一発。


 鬼神の如き迫力で、甲冑に竹刀をたたきこんだ。



(つづく)


【あとがき】


更新は毎日おこなう予定です。


スピニング・トーホールドはカウボーイスタイルのレスラーだったドリー・ファンク・シニアの決め技で、息子のドリー・ファンク・ジュニアと、その弟のテリー・ファンクも使用したことから、ファンク家の伝家の宝刀とも呼ばれています。


なお同名の曲も存在し、これはドリー&テリーの兄弟タッグチーム『ザ・ファンクス」の入場テーマ曲にもなっています。


「生きてるって~なんだろ~」のフレーズで、どのような曲かわかった方は、おそらく犬山と同世代です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。