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【75話】空からの贈り物  3


 何気なく、極導(きわみち)が着ぐるみに目を向けたそのときである。


(ん……?)


 一瞬、青い宇宙人の手が動いたような気がした。


(気のせいか)


 横目で花(はな)子(こ)をうかがうと、彼女もこちらに目配せして、こくり。


 どうやら勘(かん)ちがいではないらしい。


「ミユキさん、ミサキさん、いま、着ぐるみの手が――」


 その瞬間、宇宙人が起きあがった。


 中身のないはずの着ぐるみが、まるで糸で吊られたみたいに、すくっと立ちあがったのである。


 極導、花子、そして牢番の蒼(そう)一(いち)郎(ろう)は、すぐに身構えた。


 少しのあいだ、宇宙人は浮くように立っていたが、今度は糸を切られたみたいに、その場に崩れ落ちた。


「まさか生きているのでしょうか?」


 蒼一郎がつばを飲みこむ。


 そのとき、


「今夜11時」


 ミユキがつぶやいた。


「今夜11時、追株高校(おいかぶこうこう)の運動場。あいつ……かどうかはわからないけど、さっき頭のなかに、それを告げる声が聞こえたの」


「ミサも同じことを言われたのです」


 ミサキが言った。


 だが、そんな声、極導には聞こえなかった。


 訊(き)くと、花子も蒼一郎も聞いてないという。


 どうやら双子にしか、謎の声は聞こえていないようだった。



 *  *  *  *  *



 その夜。


 午後10時30分。


 ミユキ、ミサキ、そして極導(きわみち)と花(はな)子(こ)は、双子が聞いた謎の予告を調査するために追株高校(おいかぶこうこう)に来ていた。


 4人がいるのは運動場の隅(すみ)にあるプレハブ小屋。


 これは学校の施設ではなく、ミサキが錬想術(れんそうじゅつ)でつくったものである。


「べつに帰ってもいいわよ」


 極導と花子に向かって、ミユキが言った。


「無理して、わたしたちにつきあう必要なんてないのよ。帰って、力士がグラタンをつくる動画でも観たら?」


「そうもいきませんよ。ここ、おれの通ってる学校だし」


 極導が言った。


「声を聞いたのは、わたしとミサキだけ。ふたりが嘘をついてる可能性だってあるのよ」


「あの場で嘘ついて、なんになるんですか」


「…………」


「デアのデリートより、広(ひろ)志(し)たちのたましいを救うことを優先してくれた人が、意味のない嘘をつくはずがない。おれはふたりのことを信じてます」


 その言葉につづくように、


「わたしもミユぴょんとミサぴょんのこと、信じてるよ」


 花子がふたりにギャルピースを送った。


「ありがとう」


 ミユキが礼を言うと、


「信じてくれて、ありがとうなのです」


 ミサキもうれしそうに頭とウサミミをさげた。



(つづく)


更新は毎日おこなう予定です。


青(あお)坊主(ぼうず)は、地域によって、すがたや正体が異なる妖怪で、岡山県では青い衣装をまとった巨大な坊主のすがたで出現すると言われています。


また学校のトイレに出現する青坊主もいて、便器の中から、こちらをにらみつけてくるそうです。

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