【74話】空からの贈り物 2
御手洗の屋敷に宇宙人の着ぐるみが落ちてから5時間後。
午前10時。
極導と花子は南魔地奉行所の仮牢に収容された5体の着ぐるみを廊下から、ながめていた。
ふたりのそばには牢番を務める青坊主の蒼一郎と、別世界の魔廻りである望月ミユキ・ミサキの双子姉妹もいる。
「ちがうわね」
ミユキが首を横に振った。
水色のワンピースにフリル付き白エプロンといういでたちは、まさにウサミミを生やした不思議の国のアリスである。
「怪獣も宇宙人も見たことないものばかり。この世界のものじゃないし、わたしたちの世界のものともちがうわ」
「そうですか……」
極導が、残念そうに肩を落とす。
「ミサもミユも、いろんな世界の特撮作品を観てきましたが、この怪獣たちは知らないのです」
妹のミサキが言った。
姉がウサミミアリスなら、こっちは白衣に緋袴のウサミミ巫女である。
ミユキとミサキは玉兎と人間のあいだに生まれた半妖魔廻り。特撮作品に詳しいことから、極導が呼んだのだ。
「わたしたちが自分の世界にもどっているあいだに、まさか着ぐるみが降っていたなんてね」
ふたりがこの世界にもどってきたのは、きのうのこと。
自分たちの世界で起きた怪異による連続殺人事件を捜査するために、1週間ほど向こうに滞在していたのだ。
「成多デザインに似ている気もするけど……でも、やっぱり、ちがうわね」
「うゆ。円山デザインとも護藤デザインともちがうのです」
「極導、この1週間で起きた自然災害は?」
ミユキが極導に訊いた。
ミユキもミサキも外見は11歳ほどだが、年齢は22歳。
極導より6歳も年上なのだ。
「地震も豪雨も起きてません」
「なら、次元の穴を通ってきたわけじゃないのね。ちなみに落下の瞬間を見た人は?」
「いません」
「まぁ、そうよね。1日中、空を見あげてる人なんて、いるわけないもの」
軽いためいきとともに、ミユキがウサミミを揺らした。
「下手人の正体も目的もわからない。身ぐるみから、何か手がかりが見つかればいいんですけど」
何気なく、極導が着ぐるみに目を向けたそのときである。
(ん……?)
一瞬、青い宇宙人の手が動いたような気がした。
(つづく)
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ゴモラやバルタン星人など多くの人気怪獣をデザインした成田亨氏は青森県出身の芸術家(彫刻家、画家、特撮美術監督)です。
成田氏は怪獣だけでなく、ウルトラマン(初代)もデザインしていますが、じつは彼が描いたウルトラマンのデザイン画にはカラータイマーがありません。
成田氏の描いた、この「カラータイマーのないウルトラマン」は、のちに映画『シン・ウルトラマン』で実現することになります。
※明日から大相撲七月場所(名古屋場所)がはじまります。




